おはようございます。
コミュニケーション・ドクター 須海 二郎(すかい じろう)です。
昨日は『会って話す方が効率的な時もある』をお届けしましたが、本日のテーマは、「嘘によって追い込まれるか、それともひっくり返すか」です。
私が以前仕事をお願いしていた印刷会社の人に、「この人は嘘つきだ」という印象を持っていた人がいました。なぜそう感じていたかというと、事前に約束した納期を、複数回に渡って守ってくれなかったからです。
折込チラシやパンフレットなど紙の制作物を作る場合、印刷物が最終の納品になりますが、印刷を始める前に仕上がりを事前確認する「色校正」のタイミングがあります。それを取引先の人に確認してもらう日時を約束した際に、ある事件が起こりました。
約束の日時になり、私が取引先の人と待っていたのですが、時間を過ぎてもその印刷会社の担当者は現れませんでした。またかと思いながら携帯電話に連絡しても、電話に出てくれません。取引先の人をお待たせしている状況の中、しびれを切らした私は、担当者の上司に連絡し、事情を説明しました。
するとその人からは、「いま誰も連絡が取れていない状況で、もしかしたら蒸発してしまった可能性がある」という回答が戻ってきました。全く想像だにしなかった回答を聞き、一瞬途方に暮れたのですが、すぐに取引先の人に事情を説明し、誤る事しか選択肢がありませんでした。
後から話を聞いたのですが、その担当者は周りの人たちから借金もしていて、結果それも踏み倒す形でいなくなってしまったようです。自分が仕事で関係するすべての人たちに対して嘘をつき続けた結果、居場所がなくなってしまったのだろうと、後になってから思いました。
仕事の世界は「信用」の積み重ねで成り立っています。私がいた広告業界もそうですが、仕事を受注するのに、都度契約書を取り交わすといった慣習はほぼありませんでした。
こういった事例はあまりにも極端だと思われるかもしれませんが、皆さんにも「小さな嘘」をついた経験はありませんでしょうか?
本当はできないことを「できる」と言ってしまったり、こうだと思い込んでいたものが、実際は違っていたといったことは、誰でも一度や二度はあるのではないでしょうか。正直、私自身も思い当たることがあります。
もし訂正できる機会があれば、謝罪と共に伝えることもできますが、過去に戻ってそれをする、ということは不可能です。だとすると、今後はできるだけ嘘をつかない、もしくは、自分に関する嘘であれば、「その嘘を現実にするために努力する」といったことしか、やれることはないでしょう。
本日のコミュニケーション処方箋:嘘をついてしまうと自分が追い込まれていく。リカバリーするためには謝るか、それを現実のものにするしかない
今日はこのへんで失礼いたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!