韓国の海外子女政策(2) | にほんとつながる子どもの記録

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前回に続いて、今回はそんな韓国で生きる海外子女(海外にルーツをもつ子どもたち)に対する政策についてもう少し具体的に……。

 

2008年度に施行されたこの「多文化支援法案」にもとづき、政府中央機関、地方行政機関、一般企業などが様々な支援プログラムを打ち出している。2018年度、新たに第3次の「多文化家庭支援計画(4ヶ年計画)」(女性家族部)が打ち出された韓国。

この計画をみてみると、それ以前は、海外から韓国に渡ってきた人々が韓国社会に融合・適応することを目的に、韓国語や韓国文化を教えるような具体的な支援計画が立てられ、実行されてきた。

 

2018年次の改定では、政策開始当初から10年の歳月を経て

 

①国際結婚等の理由により海外から移住してきた人々(2005年〜2008年度がピーク)の子どもたちが成長し、青少年期にさしかかっていること

(2016年時点で、全国児童のうち1.6%が海外子女→今後5年の間にこれらの子どもたちが中高生に)

 

②海外子女に至っては、中途入国者の割合も増加していること

 

などを背景に、海外子女(ちなみに韓国では「多文化家庭の子女」と呼ばれている)に対する支援の部分が手厚くなっている傾向にあるよう。

 

(他にも、結婚をきっかけに韓国に移住してきたものの、離婚を経てシングルになった世帯や、虐待などの問題も大きくなってきており、それらに対する支援も手厚くなっている印象を受ける。)

 

日本の場合、海外子女に対する主な支援政策は、文科省と外務省、(一部厚生労働省も含む)によって行われているよう。一方、韓国では17の政府中央機関が「多文化家庭支援政策」に従事しており、中でも海外子女に対する支援政策は「女性家族部」「教育部」「外交部」「KOTRA」「KOICA」「雇用労働部」などの機関に任されているようだ。

 

その支援政策は主に……

 

①多文化家庭の子どもたちの社会におけるリーダーシップ開発のための教育プログラム、母子相談プログラムの提供

 

②二重言語(バイリンガル)人材育成のためのプログラムの提供

・バイリンガルの子どもたちが特定のプログラム(多言語のプログラムや奉仕団、科学技術プログラムなど)に参加した場合の加算点付与制度

・韓国国籍のモノリンガルの人々、子どもたちに対する多重言語育成の重要性を伝えるプログラムの実施

・進路相談、進路支援プログラムの実施

 

③中途入国者に対する韓国社会への適応のためのプログラムの提供

 

などのような計画を打ち出している。

 

実際どのような具体的な活動が行われているのかについてまでは、現状がつかめていない状況だが、韓国も世界1、2位を争う少子高齢社会なので、海外から移住してきた人々(子どもたち)を社会の重要な人材としてサポートしようという試みのよう。

韓国と海外をつなぐ未来の子どもたちが、より平和で豊かな暮らしができるよう、暮らし・ことば・心などの多方面からの支援が充実していくといいな、と思う。

 

参考:女性家族部「第3次多文化家庭支援計画」(2018年)