さて、前回のブログ《ヴァンソン編》で書き忘れたことがあります。

 

コンサートの前々日(4月5日)の夕方日本に到着したヴァンソンをホテルで出迎えていきなりびっくり仰天した私。

 

なんとヴァンソンが左手の中指に7センチ四方角の大きなバンドエイドを巻き付けているではありませんか!

ピアニストにとって何よりも大切な指に!何があったの???😱

 

熱々のスープを指にこぼしたそうで、チラッと見たら痛々しい様子でしたが、本人は至って呑気に笑いながら「大丈夫、心配しないで。ちゃんと弾くから」と!

 

中国で活動していた時にも感じたことですが、外国人は日本人に比べて心身共に強い。

少々のことでは弱音を吐いたり弁解をしたりしません(少なくとも一流の人は)。これには本当に脱帽!

 

さて今日の本題に入りましょう。

 

今回のコンサートの目玉的存在だった女流作曲家、ヴィアルドについてです。


彼女との出会いはプログラムにも書いた通りです。

 

コンサートのプログラムが決まったところで企画をフランス語で書き、それを友人知人に見せたところ、同じアパートに住む友人Dianaが大変興味を示してくれました。

その企画書の中で私がヴィアルドのことを《日本ではまだそれほど知名度のない女流作曲家》と書いたので、それならこの際彼女について詳しく調べて日本に紹介しましょう、ということで色々情報を集めてくれました。

日本語でも弱いネット情報、ましてやフランス語でとなると私一人では到底辿り着けないさまざまな情報を彼女が見つけ出してくれました。

 

そして昨年(2023年)の9月17日(日曜日)

フランスでは毎年9月の第3週の週末は『世界文化遺産の日』と言って、通常の日には一般公開されていないような歴史的な施設に無料で入れるのです。

なんと言っても1番の目玉は《エリゼ宮》で毎年この期間に何万人もの人が押し寄せ入館まで何時間も待たされるようです。


その日はパリのみならずフランス全土で文化遺産の日の催しがあります。

 

さて、何年にも亘り長い間ず〜っと修復中だったパリ近郊ブージヴァルにあるヴィアルド邸がその文化遺産の日に合わせて再公開されて、その屋敷の中でコンサートもあるらしい、という情報をDianaが見つけてくれたのはそのコンサートの数日前。

 

ネットではもうコンサートは売り切れとなっていますが、とりあえず行ってみましょうということになりました。

 

フランスでは絶対に無理そうな時でもダメ元で押し掛ければなんとかなる場面も多々あるので(笑)。とにかく推しの一手で行こう!

 

こうしてDianaと一緒に訪れたヴィアルド邸です。

 


ポーリーヌの崇拝者であったロシアの文豪ツルゲーネフが彼女のために立てた屋敷、その同じ敷地内に彼も住みなにかと彼女の家族の面倒をみたそうです。なので入り口の看板はツルゲーネフ美術館となっています。










今回のコンサート冒頭で歌った《Bonjour mon cœur 》の楽譜を見つけました🤩👍


ツルゲーネフの住まいから見下ろすポーリーヌの屋敷


因みに、せっかく新装オープンのヴィアルド邸はコンサートの準備で入れてもらえず、屋内の写真は全てツルゲーネフ美術館のものです。








若い頃はお世辞にも美人とはいえなかった彼女ですが晩年の肖像画で見るとその生き様が顔に表れてなかなか良いお顔になっていました。まあ写真ではなく肖像画ですからどこまでが真実かは謎ですが(笑)😆





この日はボランティアさんがいっぱい詰めていて、その人たちに企画書を手渡してみたところ、「嗚呼、Vincent知ってるわ〜上手なピアニストよね〜」と言ってくれる人にも何人か出会ったり。

後でヴァンソンに聞いたらそれもそのはず、『ツルゲーネフ美術館』の中の特殊なピアノで演奏したことが過去にあったそうです。


また別のボランティアさんは「あらシャミナードも歌うのね〜素敵ね〜応援するわ📣」と言ってくれたり!


これがその一風変わったツルゲーネフのピアノです。







実は、Dianaが色々探し当ててくれた情報の中からある人物が浮かびあがりました。

それはホルヘ・シャミネという名前のスペイン出身のバリトン歌手です。

彼はある動画の中で「ヴィアルドを世界に広めたい」というようなことを喋っていました。

Dianaは「彼はまだ日本には行き着いていないようだからこれは良い機会かもね!助けてあげられるのでは?」と。


そこでコンタクトを試みてみましたがこれがなかなか難しい・・・・


私がシャミナードを歌うという事で応援を約束してくれた先のボランティアさんもシャミネにコンタクトを取ってみると親切に申し出てくれたりしたのですが、とうとうシャミネさんからお返事はありませんでした。

 

加えて、実際にこの目で見てきた感じではブージヴァル市、ツルゲーネフ美術館、そして《Centre Europian de Musique de Bougival》という財団の長であるシャミネ氏、この三者の間はちょっとギクシャクしているような印象・・・・

 

面倒臭いことに外国人の私が首を突っ込むのは得策ではないし、私は歌うことの方がこういう政治的な事よりはるかに大事なので、これ以上この件に関わろうとするのはやめました。

 

結局押しかけてみたものの定員オーバーということでコンサートにも入れて貰えずDianaと少ししょんぼり帰路に着いたのでした😉



長くなるので今日はここまでにします。


つづく・・・・