私の「ブランドプロデューサー」という
職業は
案件によって任せてもらっている範囲が変わるという話を
ひとつ前のブログで書きましたが
「Daniella&GEMMA」という
今年デビューした
靴のブランドに関しては
「クリエイティブディレクター」という
肩書きをいただいて
かなり広い範囲、頑張らせてもらってます。

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そもそも、この仕事がスタートしたのは
1年5か月前の去年の1月。


数々の有名セレクトショップの
靴を作っている
OEM会社さんからの
「せっかくベトナムに自社工場もあるし、
いいものを手ごろな価格で作れるスキームがあるので
自社ブランドが欲しい。
さてさて、どういうブランドにしたらいいか、
考えてくれないか?」という
ご依頼から始まりました。


ファッション雑誌に15年以上いたし、
もちろんおしゃれは嫌いじゃありません。

でも、昔ほどブランドものを買い漁ったり
することもなくなり、
物欲がぐんと減り、
おしゃれに対するモチベーションが
昔に比べ、下がっているのも事実。


何より、
おしゃれは好きだけど、
メーカーにいたわけでもないし
靴がどうやって作られるのかもわからない。

でも、実際、靴を買うときに
「なんでこうなのかなあ~」
「こういうのあったらいいのになあ~」
と常々思うところが多々あったのも事実。


様々な不安はあるものの、
「やりたい!」という気持ちが勝ち、
お受けすることになりました。


やるからには、
絶対絶対成功させなくては!

私が任せてもらえたのはかなり広範囲。

ブランドネームの決定から
ロゴの決定、
ブランドコンセプトの考案、
店舗デザインのディレクション、
HPなどのディレクション、
そして、もちろん靴のディレクション、
さらにはプレス業務までお引き受けしました。



ブランドネームを考え、
ロゴを考え、
コンセプトを考え、
店舗デザインを考え、
HPを作り、
ECサイトを作り、
ビジュアル撮影をし、
カタログを作り。。。

もちろん徹底的に努力はしましたが
このあたりの仕事は
rinatoを始めいろいろなブランドで経験があったことなので
わりとスムーズにできました。

とにかく壁にぶち当たりまくったのが
肝心の靴作り。

私は、ディレクターとして
ブランドがターゲットと定めた女性たちが
欲しい靴の概要を考えます。

それを、コレクションなどを見て
ファッションの最先端を知る
この道20年以上の
ベテランのデザイナーさんに伝え
具体的なデザインを上げてもらいます。


次の打ち合わせでは
靴の完成予想図ともいえる
絵型というものが上がってきます。


それをもとにまず、
「木型」というものが上がってきます。

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この「木型」が靴ブランドの命。

同じ23.5サイズでも
「このブランドの靴は私の足に合ってるな」というものは
そこのブランドの木型が合っているということです。

靴は当然ながら履いて歩くもの。

だから、洋服より
「サイズが合ってればいい」というだけではなく
「サイズも合っているし、自分の足になじむ」
ブランドにならなくてはいけないわけです。



ここで少しブランドの紹介をさせてください。

「Daniella&GEMMA」は
2つのブランドからなります。

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エレガントな「Daniella Tam」



カジュアルでモードな「GEMMA LINN」

このブランドの複合体が
「Daniella&GEMMA」です。




コンセプトを考えた時に
真っ先に思ったのが
「日本の靴ブランドの靴は
えてして野暮ったくてコンサバなものが多い。
インポートの靴は
シンプルなパンプスでも木型が美しくて素敵。
でも高すぎて
全てをそれにそろえられない。
それにブランドによっては、
当然日本人用に作られていないから
木型が合わず、買ったはいいが痛くて履けないものもある。
インポートのような美しさとおしゃれ感が漂う、
日本人の足に合う、
プライスもドメスティックブランド並みのブランドが欲しい」
でした。

この想いは
私の知人のエディターやスタイリストさん、
おしゃれ好きなワーキングウーマンたちに取材しても
同じでした。


それをそのままコンセプトにするのは
なんだか違うな、と思ったので、
裏テーマにして
「おしゃれが好き、でも、おしゃれに命をかけているというより
ライフスタイルの中の一つとして
おしゃれを楽しんでる人」
ということで
ファッションエディターをモチーフに考えました。

そして、”インポート見えする靴”が
裏テーマだったので、
場所をNYに。

パリやミラノにしなかったのは
「ワーキングウーマン」をモチーフにしたかったので
世界一のビジネスタウン
NYにしたのです。

かくして
HPにもありますが

「NY在住のシニアファッションエディター
Daniella Tam。
おしゃれを熟知している彼女が欲しい靴は
あくまでもエレガントで上質なもの、
そしてきちんとモード感もあるもの。
そんなDaniellaさんの
シューズクローゼットをイメージしたブランドが
Daniella Tam」、



「ブルックリン在住の駆け出しのファッションエディター
GEMMA LINN。
おしゃれは大好きだけれど、
まだそんなにお財布に余裕もない。
そして、まだまだ走りまわからなくてはいけない立場。
そんな彼女が求める靴は
ローヒール中心のコンフォート靴、でも
しっかりモード、
そして、お手頃価格であること。
そんなGEMMA LINNのシューズクローゼットを
イメージしたブランドが
GEMMA LINN」

という
コンセプトとなりました。

ブランドコンセプトを
NYにしたので、
ブランド立ち上げの去年の夏には
デザイナーさんと
NYにも行き、あれこれ視察もしました。

ブログでも書いてましたね、そういえば。
http://ameblo.jp/suivre/entry-11888386496.html
http://ameblo.jp/suivre/entry-11891789242.html


ブランドコンセプト、そして裏テーマ、
リサーチしたターゲットの趣味嗜好などを
デザイナーさんに伝え、
上がってきた木型をもとに
革や金具の材料や色を決めていきます。

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そして、ようやくファーストサンプルが上がってくるのですが
これが、なかなか一回で思い通りに行かないのです。

本当に細かいことなのですが
トウの薄さだったり、
履き口の浅さだったり。

でも、その細かいことへのこだわりの
積み重ねが
素敵な靴を生むのです。

絵型を見て、木型を見て、材料を発注し、
上がってきたサンプルが
イメージと違う!

さっきも書いたように
靴は木型が命。
そしてデザインは型紙からできています。

だから、出来上がった木型を
「あと1ミリトウを薄くしてください」とか
「履き口の浅さを1センチ浅くしたいから
型紙調整してください」と
お願いし、やり直してもらいます。

そして、セカンドサンプルが上がるのですが、
え、また違う、
やり直し!

サードサンプル、
うーん、ここが少し違う、やり直し

…これを繰り返し
ようやく納得のいく靴が上がってくるのですが
実際、何度やり直しても納得のいく靴ができず
展示会に間に合わず、
お披露目できなかった靴もあります。

納得のいく材料を探すため
世界最大の材料市場
中国・杭州にも飛びました。

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そんなこんなを経て迎えた

「お披露目のとき」が
今年の一月の
旗艦店となる神宮前本店お披露目のレセプションでした。

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その様子は
プレスのしーちゃんのブログでもつづられていますが
http://ameblo.jp/daniella-gemma/day-20150202.html
http://ameblo.jp/daniella-gemma/day2-20150202.html
http://ameblo.jp/daniella-gemma/day2-20150203.html
本当に大好評で
それまで何かと苦労していた分
無事終わった時、
涙が出たほどでした。

そのニュースは「WWD」や「Fashionsnap」にも
取り上げていただきました。
http://ameblo.jp/daniella-gemma/day-20150203.html


先月は、ダニジェマ二回目の展示会となる
2015秋冬展示会を行い、
こちらもとても好評をいただきました。

{E9041D87-2B41-45BB-A9DE-CB1431600288:01}

その様子もしーちゃんがブログで書いてくれています。
http://ameblo.jp/daniella-gemma/entry-12030426676.html
http://ameblo.jp/daniella-gemma/entry-12030779929.html
http://ameblo.jp/daniella-gemma/entry-12032896294.html


プレス業務も引き受けることになったので、
現場のプレス活動はしーちゃんにお願いし
私の指示のもと、がんばってもらいました。


まず、
事務所の1つのスペースをプレスに作り替えました。

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予算がふんだんにあるわけではないので
広告出稿はできない、
でも、ブランドを知ってもらいたい、、
ということで、
紹介したい靴とブランドの概要をまとめた
リリースをもって
媒体へのキャラバン
(編集部をまわること)
もがんばってもらいました。


そのかいあってか、
VERY、inRed、BAILA、sweet、
STORY、HERS、GINGER、
otonaMUSE、GLOW、Anecan、anan、
FUDGE、Oggi、Domani、美人百花、
andGIRL、、、数多くの雑誌にも掲載してもらい、
スタイリストさんやエディターさんからも
お褒めの言葉を頂戴することが多くなりました。



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雑誌やモデルさんのブログに
多く取り上げてもらった靴などは
人気に火がついて
売り切れが続き、追加生産4回、なんて
嬉しい悲鳴が起こったこともありました。


先日などは
某ラグジュアリーブランドのプレスの方が
うちの靴を履いてくれていて
それを見た「VOGUE」の副編集長さんが
「その靴可愛い!」とほめてくださって
お問い合わせいただいた、なんて
嬉しい出来事もありました。

「モデルの友達から
ダニジェマの靴がかわいい、って聞いて。
聞いたら、佳恵さんがやってるっていうから~。
プレスに見に行ってもいい?」
なんて
知り合いのモデルさんから
お声掛けいただくことも増えました。


立ち上げから約一年半。

語り尽くせないほどの苦労をしましたが
(まあ、当たり前です。ブランドを作るなんて
甘いもんじゃないので)
本当に多くの方のご協力を得て
ご支持を得て、
ようやく
「”ブランド”らしくなってきたなあ」と
しみじみ思う今日この頃です。


渋谷キャットストリート沿いに
ショップがあるのですが
住所はこちら⇒
http://www.danigemma.com/shoplist.html

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WEB SHOPでもみていただけます。
http://danigemma.com/shop/


プレスがある事務所の
入ってすぐの場所には
カタログ用やWEB用にたくさん撮影した
お気に入りの写真たちをコラージュしています。

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ブランド立ち上げから約一年半経った
「Daniella&GEMMA」
今では、心の奥底から愛していて
靴も本当に自信作ばかりなので
もっと多くの人に知ってもらいたいな、と
いう想いでいます。

では、なぜ、そんなに愛している
ダニジェマのことを
一年半もの長い間
ブログに書かなかったのか、、、は次のブログで書きますね(^^)