サッカーU23代表は、2-0からゲームをひっくり返したので、よく頑張ったと思います。特に矢島選手の2点目が1点目の1分後というのは、相手の戦意を失墜し焦らすには十分な追い込み方でした。失点しても時間が過ぎ去らないうちに一気に取り返すというのが流れを引き寄せる一つの道ですが、韓国チームにしても2-2は負けになったわけでないので、そこからギアをあげないといけないシーンでしたが、体力が足りなかったかもしれません。三位決定戦のイラクの鬼気迫る追撃(こちらの方が伝わる気持ちが凄かった)などに見られるように、技術云々以前に蟻の一穴しかない状況でも「前へ前へ」と戦い続ける姿勢は大事だと思いました。私も1月の成績は悪いので、2月「前へ」と頑張ります。
さて、久しぶりに【広告ヒント集】の記事です。
先日参加したセミナーで、印刷系の会社の方が「デザインを教える人材が社内にいない」という問題点を質問されていました。ここのところ素材の紹介しかしていませんでしたが、頑張ってクリエイティブに関しての10年も前の記述を今回改訂してアップしてみました。今後も、そういったデザイン等で役に立ちそうな執筆は頑張ってアップしていく予定です。時間があれば (^ー^;)ゞ
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「デジタル進化と昔の技術」
(2005年3月17日執筆/2016年1月31日改訂)
近年は各業界が様変わりしましたが、淘汰された昔のアナログ技術と現在のコンピューター、そして使う人をいろいろと検証していきたいと思います。情報とデジタル化による革命の波に抜け落ちてしまった物を拾い出し復興出来ればと思います。
現在の情報産業の革命は、「簡単!便利!」「誰でも!サルでも!」を旗印に、広告印刷物の世界でも、アナログ版下作業、製版作業が無くなり、簡単な年賀状やチラシビラなどは、普通 の人が自作出来るようになりました。撮影もデジカメ スマートフォンの出現で、素人でも簡単に写真を撮り、プリンターで印画紙に刷る事で昔ラボ屋さんに頼んでいた事の真似事が出来るようになりました。
一見技術の進歩で夢のような世界ですが、コレが引き起こしている物について考えてみませんか?
かくいう私も、別段懐古主義者ではありませんので、高性能のプリンターやデジカメ、スマートフォンやタブレットの恩恵を受けて喜んでいる身ですが、昔職人の世界と呼ばれていた専門領域にコンピューターが進出し、難しい技術を補完したからといって、一般のサラリーマンが職人さんになれるでしょうか?そこに一つ、大きな問題が生じていると思っています。
コンピューターは素晴らしいです。常に進歩し、高い技術を誰でも手軽に行えるようにしてくれました。しかし、使う人は進歩しているのでしょうか?コンピューターを存分に使いこなし、従来以上の品質を短時間で制作出来るようになったのでしょうか?昔に比べると素人と玄人の格差は縮まりました。つまりコンピューターの補完で品質の平均化が行われていると言う事です。
本来ならば、手作業でいろいろやらなくてはいけなかった事が、自動化され、その分他の点へ注力出来るはずなのですが、現状はそのプラスアルファどころか、コンピューターで処理できるレヴェル(限界)が最高到達点と思えるような印刷物も世の中に出回りました。(昔から下手なチラシなども存在していましたが・・)デジタル化で下限は底上げされましたが、逆に上限はコンピューターの限界レヴェルで頭打ちしているという事です。おそらくデジタル世代の不勉強デザイナーやノンプロの人の仕事だと思うのですが、その辺の事を細かく追ってみましょう。
【デジカメ&加工ソフト】
カメラの世界も様変わりしてしまいました。昔は撮影時にポラロイド写真を撮って仕上がりを確認していたのが、デジカメで撮るとその場で、仕上がり画像が直ぐにわかりますし、編集ソフトでいくらでも編集が可能になりました。晴れの日の背景を雨天にしたり、下膨れの顔を細らせたり、こんな技術まで可能になりました。こういった一面 は、アナログ時代莫大なコストをかけてブラシ加工を行ったり、不可能であきらめていた事を1台のパソコンで可能にさせてしまったデジタル革命の真骨頂だと思います。
しかし、その反面その技術が一般の人の手元にまで広まった時、昔のカメラ職人の職域から撮影・編集ツールのみが外に出ていってしまいました。アナログの頃は、モノクロームプリントでも「軟調」「硬調」といった焼き方のテストをしてベストを探ったり、撮影時もライティングを細かく動かして調整していた(現在もプロはそうです)のですが、お茶の間カメラマンやお茶の間ラボ屋さんは、そういった知識が皆無のまま、適当に簡単なソフトで撮影し編集した写真を世間に発信ししまいます。最近はコスト軽減でアイドル写真集ですら素人撮影投稿を集めた物になっています。
この不況下に、手軽なデジカメや画像編集ソフトがあるのに、高額料金のプロカメラマンに全ての写真を担当して貰えとは言えませんが、露光が足りないまま濁った画像や眠いピントの甘い画像を恥ずかしげも無く堂々と使うのもどうかと思います。デジタルで低コストになり「俺でも撮影出来ちゃうよ」と息巻くのもわかりますが、ドキュメンタリータッチの生産農家のおじさんのシワの刻まれた顔を宣伝に使いたい時、あるいは、素人撮影の浅いトーンの写真では重みや深みの滲むイメージの写真になりません。陰影を際だたせた強い写真との些細な違いなのかもしれませんが、こういった小さな違いの積み重ねが消費者の第一印象を良い物にするか悪い物にするか、ひいては売上げに左右します。商品撮影にしても、ピントを何処にあわせ、どこにハイライトを立てて質感表現するか?ということを狙った写真とただ写し取った写真では差は歴然です。

出典(c):広告写真の撮り方

出典(c):ポートレート完全攻略(ピントあわせの比較例)
もちろん、ノンプロの人が撮った写真ですから「プロにかなわないのは当たり前だろ」と言う声が聞こえそうですが、上手い下手の事ではありません。意識の問題だと思うのです。私だってプロカメラマンのような撮影など出来ません。ただ、クリエイティブ業界に長くいると、良い写真と悪い写真の区分けが出来、写真でアピールする場合どの程度のクォリティーが必要か(見る側にとって視覚訴求が重要か、物さえわかればよいのか)わかっています。しかし、お茶の間カメラマンの方は、プロの撮った良い写真をあまりみていません。だから本当に良い写真(脳裏に好イメージを起こす写真)を知らないまま、オークション出品用のようなピントの甘い写真でも自身で「良し」としてしまう事に問題があります。
依然好景気ではないのですから、低コスト、スピード仕上げのデジタルツールを使わない手は無いのですが、「良い写真とは?」というものを理解した上で使うのと、ただツールに使われてしまうのでは全然違います。状況によってはアナログのブローニーカメラの撮影の方が向いている被写体もあります。撮影が素人でアンダー気味になっても編集ソフトでしっかりと調子をあわす、

出典(c):ポートレート完全攻略
沢山のカットアングルを撮って良さそうなのを選んでみる、本などを読んで勉強してみる等、使うツールは高性能でも使い手はずぶの素人なら、足りない知識やテクニックをどこかで補完しなければいけないのです。やはり良い写真はお金を奮発してプロに撮って貰えばベストですが、その状況に無い場合、自分の撮った写真と有名ブランドの商品写真や写真集の写真と見比べて何が足りないのか知恵を絞るくらいは必要だと思います。
これはデジカメに限らず、他の項目にも言える事ですが、デジタルツールを使いこなしているのでなく、低コストだから、簡単だからと必要な知識や選定眼も無いまま機械のボタン一つに頼り切ってしまった結果 、便利になったのに品質が下がった作品が出てきたという逆転現象が起きてしまったのです。面倒くさがらず、コスト削減ばかりに目を向けず、コストを削った分、カットされたテクニックや知識を自分が頑張って補完するような意識がないとデジタルツールに頼り切り使われる人間となってしまい、品質も低い物が世間に溢れてしまうと懸念しているのです。ツールを使いこなす事を目指すべきです。
他参考サイト
初心者でも安心!シチュエーション別デジタル一眼レフカメラ撮影の基本設定まとめ
誰でもプロみたいなポートレート写真が撮れるとっておきの撮影方法教えちゃいます!
【プリンター】
概ね伝えたい事は、デジカメの項目で書きましたが、プリンターの進化も素晴らしいです。しかし、プリントと従来の色校正などをおこなって刷っていた印刷方式とは、まだ違いがあります。プリンターは未だグラビア印刷はおろか、本紙色校正などで色調を確認し、調整して刷るオフセット印刷にも及んでいない(一部の高性能機器のしっかりした設定を除いて)と思います。また一般の人には理解が薄いRGBの光の色空間とインキで再現するCMYKの色空間の違い(光る色が沈み込むという事です)も、まだまだ認知されていないようです。世間は従来からの印刷の色を出す技術、方式を認識していない(できていない)人が多く、グラビアやオフセット印刷機の仕上がりと高性能カラープリンターとの差がわからないようです。インディアンのような肌感と薄紅ながら健康的で明るい肌感、本当のくっきりした白とピンクがかった白、キリッと締まる黒の中にある微妙な階調と濃く潰れたままの暗部の違い、

出典(C):オフセット印刷とオンデマンド印刷の違い (暗くなっている影の部分のつぶれ具合、彩度のぎらつき(プリンタ)と色調グラデーション幅の大きさ(オフセット印刷)を確認してみてください。)
こういった物が理解されないまま、安価でスピード処理のプリンター印刷に移行されている現状があります。プリンターは使い勝手も良いので否定はしませんが、日本の印刷技術はグラビアでもオフセットでも高い水準にあったのです。トナーでベターッと刷る濃い発色の印刷物をみて「最高値」としないで欲しいです。「お金と手間をかければ、もっと良い物が出来るのだが、仕事の規模を考えたらプリンターで賄うべきだ」という風に高水準の印刷もわかって貰った上でプリンターを選んで貰わなければ、歴史ある日本の高い印刷技術や慣習は崩壊し、機種によって色転びするプリンター印刷が日本の水準となってしまうでしょう。(オフセット等でも技術が足りなくて仕上がりが悪いケースの例もあることは補足しておきます。)
【デザインツール】
デザインツールも25年前と様変わりしました。そして沢山の人のパソコンにAdobe IllustratorやPhotoshopがインストールされるようになりました。これは良い事だと思います。しかし、ワードやエクセルとは違うソフトなので、使い手がワード感覚で組版してチラシやパンフレットを作っていたら、非常に勿体ないですし、質の低下を発信していく事になるのです。
アナログ時代は、デザインレイアウトシート→写植打ち込み→版下作成→スキャニング→製版作業と複数のパートで各々の専門家が受け持っていた工程がパソコン一台で出来てしまうような時代になりました。素晴らしい進化です・・・。ただし、本当に複数の専門家の仕事を1台のパソコンに集約出来ていたらの話です。
デザインレイアウトに関しては、手作業で行っていた頃、紙を切り貼りしたポスターを何枚も壁に貼って眺めながらチェックしました。新聞の大きな段広告や大判チラシも原寸サイズを距離を離してじっくりと眺め微妙なバランスまで調整していました。しかし、モニタ画面でデザインが出来るようになってから、距離の近い小さな画面でデザインを終わらす人も出てきました。プリントを出すのが面倒だったり、画面でちょこちょことさわれてしまうからなのでしょうが、これでは昔のように壁に貼ってバランスを検討していた目が養われなくなってしまいます。パッケージを作るのに箱を試作しないとか。先日セミナーで有名なデザイン業の講師の話を引用すると「パソコン上で”機械的に真ん中があわさるからよし”で納得する世代が出た事に危惧を抱いている」という内容もありました。見た目のセンター、これがわからないデザイナー(にわかデザイナー)は、やっぱり修行不足を自覚して頂きたいところなのです。
人間の目は錯視もありますし、背景によって見え方も全然違います。モニタの中の見え方というのは例えwebでもスマホやタブレットと気を使います。ポスターなら壁に貼らないと原寸の見え方は理解できません。箱は組み立てないと見え方はわかりません。便利さにかまけてパソコン内で全てやってしまおうとしては、感覚が養われなくなってしまいます。機械が自動的に測定する中心点と人間の見た目の中心点は必ずしも一致しない時もあるのです。

出典(C):見た目センターの位置に貼る難しさ(機械的中心への配置ではこう見えません)
また最近はadobe illustrator等のソフトで文字間を自動で調整できるようになりました。しかし、ワードなどでは、依然日本語の文字組の美しさが実現できない仕様のケースがあります。文字詰めというデザインや写植の基本はしっかり理解しておきたいことです。

出典(C):デザイナーならこだわりたい文字詰め
さて、長々講釈をたれてきましたが、殆ど自分の自戒も込めているのです。自戒だけでなく、アナログを知っている者として「便利な物は手放せないが、これで本当によかったのか?」という疑問を投げかけてみました。コンピューターの進化で、垣根が無くなり、会社の庶務の兄ちゃん姉ちゃんでも、クリエイティブもどきをして、自分の作った物を世の中に流せるようになりました。インターネットに関しては世界配信できます。とても便利で普通の人でも扱えるようになったのは賞賛すべき技術の進化なのでしょうが、職人の伝統ノウハウや知恵、知識、養われた感覚まではコンピューターソフトで補完できていないのです。
いつの時代も「本当に良い物」「本当に質の高い物」というのは生き抜いていきますから、無くさないように心がけていかなければいけないと思いつつ、時代と共に無くなっていくのも世の常なのかなとも感じています。コンピューターに使われる人間にならず、コンピューターは手づくりの温もりが無く数値計算で再現する 一つの道具に過ぎないので、人の手の作業を補完出来るようになりたいものですね。次はそういった時代になっていくと思いますよ。
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では、本日もがんばります!( ・∀・)マイタイ
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9条Tシャツです。(個人的には政治思想はないですけど (^ー^;)ゞ)
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「デジタル進化と昔の技術」
(2005年3月17日執筆/2016年1月31日改訂)
近年は各業界が様変わりしましたが、淘汰された昔のアナログ技術と現在のコンピューター、そして使う人をいろいろと検証していきたいと思います。情報とデジタル化による革命の波に抜け落ちてしまった物を拾い出し復興出来ればと思います。
現在の情報産業の革命は、「簡単!便利!」「誰でも!サルでも!」を旗印に、広告印刷物の世界でも、アナログ版下作業、製版作業が無くなり、簡単な年賀状やチラシビラなどは、普通 の人が自作出来るようになりました。撮影もデジカメ スマートフォンの出現で、素人でも簡単に写真を撮り、プリンターで印画紙に刷る事で昔ラボ屋さんに頼んでいた事の真似事が出来るようになりました。
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かくいう私も、別段懐古主義者ではありませんので、高性能のプリンターやデジカメ、スマートフォンやタブレットの恩恵を受けて喜んでいる身ですが、昔職人の世界と呼ばれていた専門領域にコンピューターが進出し、難しい技術を補完したからといって、一般のサラリーマンが職人さんになれるでしょうか?そこに一つ、大きな問題が生じていると思っています。
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【デジカメ&加工ソフト】
カメラの世界も様変わりしてしまいました。昔は撮影時にポラロイド写真を撮って仕上がりを確認していたのが、デジカメで撮るとその場で、仕上がり画像が直ぐにわかりますし、編集ソフトでいくらでも編集が可能になりました。晴れの日の背景を雨天にしたり、下膨れの顔を細らせたり、こんな技術まで可能になりました。こういった一面 は、アナログ時代莫大なコストをかけてブラシ加工を行ったり、不可能であきらめていた事を1台のパソコンで可能にさせてしまったデジタル革命の真骨頂だと思います。
しかし、その反面その技術が一般の人の手元にまで広まった時、昔のカメラ職人の職域から撮影・編集ツールのみが外に出ていってしまいました。アナログの頃は、モノクロームプリントでも「軟調」「硬調」といった焼き方のテストをしてベストを探ったり、撮影時もライティングを細かく動かして調整していた(現在もプロはそうです)のですが、お茶の間カメラマンやお茶の間ラボ屋さんは、そういった知識が皆無のまま、適当に簡単なソフトで撮影し編集した写真を世間に発信ししまいます。最近はコスト軽減でアイドル写真集ですら素人撮影投稿を集めた物になっています。
この不況下に、手軽なデジカメや画像編集ソフトがあるのに、高額料金のプロカメラマンに全ての写真を担当して貰えとは言えませんが、露光が足りないまま濁った画像や眠いピントの甘い画像を恥ずかしげも無く堂々と使うのもどうかと思います。デジタルで低コストになり「俺でも撮影出来ちゃうよ」と息巻くのもわかりますが、ドキュメンタリータッチの生産農家のおじさんのシワの刻まれた顔を宣伝に使いたい時、あるいは、素人撮影の浅いトーンの写真では重みや深みの滲むイメージの写真になりません。陰影を際だたせた強い写真との些細な違いなのかもしれませんが、こういった小さな違いの積み重ねが消費者の第一印象を良い物にするか悪い物にするか、ひいては売上げに左右します。商品撮影にしても、ピントを何処にあわせ、どこにハイライトを立てて質感表現するか?ということを狙った写真とただ写し取った写真では差は歴然です。

出典(c):広告写真の撮り方

出典(c):ポートレート完全攻略(ピントあわせの比較例)
もちろん、ノンプロの人が撮った写真ですから「プロにかなわないのは当たり前だろ」と言う声が聞こえそうですが、上手い下手の事ではありません。意識の問題だと思うのです。私だってプロカメラマンのような撮影など出来ません。ただ、クリエイティブ業界に長くいると、良い写真と悪い写真の区分けが出来、写真でアピールする場合どの程度のクォリティーが必要か(見る側にとって視覚訴求が重要か、物さえわかればよいのか)わかっています。しかし、お茶の間カメラマンの方は、プロの撮った良い写真をあまりみていません。だから本当に良い写真(脳裏に好イメージを起こす写真)を知らないまま、オークション出品用のようなピントの甘い写真でも自身で「良し」としてしまう事に問題があります。
依然好景気ではないのですから、低コスト、スピード仕上げのデジタルツールを使わない手は無いのですが、「良い写真とは?」というものを理解した上で使うのと、ただツールに使われてしまうのでは全然違います。状況によってはアナログのブローニーカメラの撮影の方が向いている被写体もあります。撮影が素人でアンダー気味になっても編集ソフトでしっかりと調子をあわす、

出典(c):ポートレート完全攻略
沢山のカットアングルを撮って良さそうなのを選んでみる、本などを読んで勉強してみる等、使うツールは高性能でも使い手はずぶの素人なら、足りない知識やテクニックをどこかで補完しなければいけないのです。やはり良い写真はお金を奮発してプロに撮って貰えばベストですが、その状況に無い場合、自分の撮った写真と有名ブランドの商品写真や写真集の写真と見比べて何が足りないのか知恵を絞るくらいは必要だと思います。
これはデジカメに限らず、他の項目にも言える事ですが、デジタルツールを使いこなしているのでなく、低コストだから、簡単だからと必要な知識や選定眼も無いまま機械のボタン一つに頼り切ってしまった結果 、便利になったのに品質が下がった作品が出てきたという逆転現象が起きてしまったのです。面倒くさがらず、コスト削減ばかりに目を向けず、コストを削った分、カットされたテクニックや知識を自分が頑張って補完するような意識がないとデジタルツールに頼り切り使われる人間となってしまい、品質も低い物が世間に溢れてしまうと懸念しているのです。ツールを使いこなす事を目指すべきです。
他参考サイト
初心者でも安心!シチュエーション別デジタル一眼レフカメラ撮影の基本設定まとめ
誰でもプロみたいなポートレート写真が撮れるとっておきの撮影方法教えちゃいます!
【プリンター】
概ね伝えたい事は、デジカメの項目で書きましたが、プリンターの進化も素晴らしいです。しかし、プリントと従来の色校正などをおこなって刷っていた印刷方式とは、まだ違いがあります。プリンターは未だグラビア印刷はおろか、本紙色校正などで色調を確認し、調整して刷るオフセット印刷にも及んでいない(一部の高性能機器のしっかりした設定を除いて)と思います。また一般の人には理解が薄いRGBの光の色空間とインキで再現するCMYKの色空間の違い(光る色が沈み込むという事です)も、まだまだ認知されていないようです。世間は従来からの印刷の色を出す技術、方式を認識していない(できていない)人が多く、グラビアやオフセット印刷機の仕上がりと高性能カラープリンターとの差がわからないようです。インディアンのような肌感と薄紅ながら健康的で明るい肌感、本当のくっきりした白とピンクがかった白、キリッと締まる黒の中にある微妙な階調と濃く潰れたままの暗部の違い、

出典(C):オフセット印刷とオンデマンド印刷の違い (暗くなっている影の部分のつぶれ具合、彩度のぎらつき(プリンタ)と色調グラデーション幅の大きさ(オフセット印刷)を確認してみてください。)
こういった物が理解されないまま、安価でスピード処理のプリンター印刷に移行されている現状があります。プリンターは使い勝手も良いので否定はしませんが、日本の印刷技術はグラビアでもオフセットでも高い水準にあったのです。トナーでベターッと刷る濃い発色の印刷物をみて「最高値」としないで欲しいです。「お金と手間をかければ、もっと良い物が出来るのだが、仕事の規模を考えたらプリンターで賄うべきだ」という風に高水準の印刷もわかって貰った上でプリンターを選んで貰わなければ、歴史ある日本の高い印刷技術や慣習は崩壊し、機種によって色転びするプリンター印刷が日本の水準となってしまうでしょう。(オフセット等でも技術が足りなくて仕上がりが悪いケースの例もあることは補足しておきます。)
【デザインツール】
デザインツールも25年前と様変わりしました。そして沢山の人のパソコンにAdobe IllustratorやPhotoshopがインストールされるようになりました。これは良い事だと思います。しかし、ワードやエクセルとは違うソフトなので、使い手がワード感覚で組版してチラシやパンフレットを作っていたら、非常に勿体ないですし、質の低下を発信していく事になるのです。
アナログ時代は、デザインレイアウトシート→写植打ち込み→版下作成→スキャニング→製版作業と複数のパートで各々の専門家が受け持っていた工程がパソコン一台で出来てしまうような時代になりました。素晴らしい進化です・・・。ただし、本当に複数の専門家の仕事を1台のパソコンに集約出来ていたらの話です。
デザインレイアウトに関しては、手作業で行っていた頃、紙を切り貼りしたポスターを何枚も壁に貼って眺めながらチェックしました。新聞の大きな段広告や大判チラシも原寸サイズを距離を離してじっくりと眺め微妙なバランスまで調整していました。しかし、モニタ画面でデザインが出来るようになってから、距離の近い小さな画面でデザインを終わらす人も出てきました。プリントを出すのが面倒だったり、画面でちょこちょことさわれてしまうからなのでしょうが、これでは昔のように壁に貼ってバランスを検討していた目が養われなくなってしまいます。パッケージを作るのに箱を試作しないとか。先日セミナーで有名なデザイン業の講師の話を引用すると「パソコン上で”機械的に真ん中があわさるからよし”で納得する世代が出た事に危惧を抱いている」という内容もありました。見た目のセンター、これがわからないデザイナー(にわかデザイナー)は、やっぱり修行不足を自覚して頂きたいところなのです。
人間の目は錯視もありますし、背景によって見え方も全然違います。モニタの中の見え方というのは例えwebでもスマホやタブレットと気を使います。ポスターなら壁に貼らないと原寸の見え方は理解できません。箱は組み立てないと見え方はわかりません。便利さにかまけてパソコン内で全てやってしまおうとしては、感覚が養われなくなってしまいます。機械が自動的に測定する中心点と人間の見た目の中心点は必ずしも一致しない時もあるのです。

出典(C):見た目センターの位置に貼る難しさ(機械的中心への配置ではこう見えません)
また最近はadobe illustrator等のソフトで文字間を自動で調整できるようになりました。しかし、ワードなどでは、依然日本語の文字組の美しさが実現できない仕様のケースがあります。文字詰めというデザインや写植の基本はしっかり理解しておきたいことです。

出典(C):デザイナーならこだわりたい文字詰め
さて、長々講釈をたれてきましたが、殆ど自分の自戒も込めているのです。自戒だけでなく、アナログを知っている者として「便利な物は手放せないが、これで本当によかったのか?」という疑問を投げかけてみました。コンピューターの進化で、垣根が無くなり、会社の庶務の兄ちゃん姉ちゃんでも、クリエイティブもどきをして、自分の作った物を世の中に流せるようになりました。インターネットに関しては世界配信できます。とても便利で普通の人でも扱えるようになったのは賞賛すべき技術の進化なのでしょうが、職人の伝統ノウハウや知恵、知識、養われた感覚まではコンピューターソフトで補完できていないのです。
いつの時代も「本当に良い物」「本当に質の高い物」というのは生き抜いていきますから、無くさないように心がけていかなければいけないと思いつつ、時代と共に無くなっていくのも世の常なのかなとも感じています。コンピューターに使われる人間にならず、コンピューターは手づくりの温もりが無く数値計算で再現する 一つの道具に過ぎないので、人の手の作業を補完出来るようになりたいものですね。次はそういった時代になっていくと思いますよ。
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