母が生きていた頃、実家に数日間帰省し、自宅に帰る時によく持たせてくれていた食べ物があった。
母の茹でたゆで卵を数個と、スーパーで買った助六寿司。
「こんなのどこでも買えるんだからいらないよー!」と私は言っていた。
けして多くはない年金でつましく暮らしていた母に余計な出費をさせたくなかったのと、どこでも手に入れられる物をわざわざ買ってくれなくてもいいのに、という思いがあった。
けれど、実家のある倶知安から札幌の自宅に少々疲れて帰った後、手元にあってすぐに食べられる助六寿司とゆで卵はいつも思った以上においしくて、ありがたかった。
なんてまぁひどい、傲慢な言い草をしていたのだろうと、思う。
買って持たせてくれた母にも、助六寿司にも謝りたい。
「お母さんの持たせてくれたゆで卵と助六寿司、すごくおいしかったよ!!すぐに食べられたし、助かったよ。ありがとう!」
私のために卵を茹でてくれてありがとう。
この『助六寿司』は昼食に、私も時々スーパーで買ってきて食べています。
手軽に食べられて、おいしくて。かつては運動会の定番メニューだったいなり寿司と巻き寿司。
朝早くに起きて、お母さんたちは一生懸命に作ってくれていたのでした。
自分で作ればとても手間がかかるこの料理がお店で手頃な値段で簡単に手に入るなんて、とても贅沢な有り難いことだなぁ、と今思います。
2005年リリースのブライアン・カルバートソンの『ドリーミング・オブ・ユー』きれいな曲ですね。