なんとも腑に落ちない事故だっただけに、何かもやもやした気持ちをしばらく引きずりました。

 

あんなに破損していた箱を何の連絡もなしに配達する配達員と局の対応、それからそれをいとも簡単に受け取る受取人。仮に配達員が気づかなかったとして、少なくとも見れば一目瞭然の状態の箱を、何の疑問も抱かず素直に受け取る方の受け取る方。もしかしたら、家族が受け取ったのかもしれませんが、それにしてもあれだけ破損していれば、何らかのリアクションはするはずです。

 

宅急便などの荷物を受け取った人なら一度は経験があるともいますが、箱の角が凹んでいたり箱が歪んでいたり、場合によっては、箱に穴が開いていたりすることがありますが、大抵の輸送業者は、中身が破損している可能性があるので、その旨を伝えその場で商品の状態を確認します。

 

なのに何故、それをしなかったのか・・・

 

そんなもやもやがありつつ、とはいえ取引自身はとても丁寧でスムーズなので、少し面倒くさい人だけれども決して悪い人ではないという印象であったことは間違いありません。しかも、熱心の私のメンテンナンスしたプレーヤーを評価してくれているので、私自身も決して悪い気はしません。私の持論で、オーディオの好きな人に悪い人はいない、ということを確信しています。

 

そんなこんなで、年が明け、正月気分が抜けたころ、またそのプレーヤーをメンテンナンスして、ヤフオクに出品することにしました。

 

前回の取引の際に、また出品されたら是非入札しますとのメッセージを貰っていたので、その人が入札するかもという期待もあり、オークションの終了を待ちました。

 

オークション終了のメールが来たのは、1月の末頃。結果を見てみると、前回よりも大幅に値が上がっていました。今までで最高価格だったので、誰が落札したのかとヤフオクで確認してみると、やはりその人でした。

 

こんな価格で落札するなんで、余程このプレーヤーが好きなんだなと思いつつ、今まで同様に取引を進めていきました。

 

前回のこともあるので、郵便局は避けて別の業者を使おうかと思いましたが、その人が配達人はとても丁寧な人だと言っていたので、わざわざ買えることもないかと、前回同様の方法で発送しました。メッセージのやり取りでは、前回のこともあるので、無事到着するかどうか心配している様子があり、私も無事到着するように祈っていますとメッセージを送りました。さすがに2度はないだろうという思いもありました。

 

そろそろ受取連絡がある頃、無事到着したか気になったいたところ、また受取連絡よりも先に取引メッセージから連絡がありました。

 

またやられました・・・

 

絶望的な雰囲気が漂っているそのメッセージを読んで、前回のあの違和感とともに、憤りを超えたなんとも言えないやるせない気持ちがわき上がってきました。

 

直ぐに局に連絡をして、引き取ってもらったということで、前回のように箱が破損した写真や本体の状態の写真は送られてきませんでした。本人曰く、箱を開けた瞬間に傷だらけになった本体を見て、怒りとともに直ぐに箱に仕舞い、局に連絡て引き取ってもらったようです。

 

2度も同じ人に輸送事故が起きたのは初めてのことです。その人は、とにかく配達員は真面目で丁寧な人だとの一点張りで、配達員のせいではないと主張していました。今回も同じ主張を繰り返していました。

 

だったら、誰が箱を破損させるのか・・・

 

今回は写真が送られてこなかったので、どのような状況であるかは分かりません。とりえあえず、輸送事故であるなら前回同様、受取連絡をしてもらい、取引があったという状況証拠を揃えなければなりませんので、その旨を伝えたところ、その人からなんでそんなことをするのか、そちらに連絡がいくのかと、なんで余計なことをするのかと言わんばかりのメッセージをもらい、だから前回もそのようにしたから、今回も同じように証拠を揃えないと、補償してもらえませんよと、折り返しメッセージをしたところ、本人はそれで納得したようでした。

 

この時、何か隠しているな・・・と、前回の取引の時に感じた違和感と同じ違和感を受け、もしかしたらもしかする???と妙に心がざわつきました。

 

しばらくして、こちら側の引き取り局から連絡があり、何か申し訳なさそうに対応されている事故担当の人が気の毒になりましたが、前回同様の取引の確認とプレーヤーの傷有無や金額、代金の受け取りなどの照会があり、最後に、実は・・・と話しかけて、その内容を聞いて、私が今まで抱いていた違和感の原因がはっきりしました。

 

その人は、常習犯らしいのです・・・

 

配達局から聞かされた内容をため息交じりで話す担当者。配達局では以前から、その人と輸送事故に関するやり取りを頻繁にやっていたようです。配達員が真面目で丁寧なのはそのせいであることも、分かりました。とにかく、輸送事故についてのクレームが多いようでしたので、丁寧に配達していたのです。なので、その人は、配達員は真面目で丁寧な人だという主張は、間違ってはいませんでした。クレームが多い人だから、そう対応せざるを得なかった、ただそれだけだったのです。

 

それを聞いた時、私は中身が入れ替えられているかもしれない・・・と咄嗟に思いました。何故なら、今回は前回よりもかなり高額に落札されたからです。

 

中身をすり替えることは、この手の個人取引のメルカリやラクマなどでも比較的多く起こる詐欺の手口です。特にブランドものの商品は、その真贋が重要になりますので、受け取った人が中身を入れ替えて、偽物だとクレームを入れて返品返金させるという詐欺が横行しているようです。

 

どこから同じプレーヤーを入手して、中身を入れ替えて、輸送事故を装い、補償させるという詐欺を働こうとしているのでは、とそう思いました。

 

その可能性を伝え、配達局が引き取ったプレーヤーが私が送ったプレーヤーかどうか確認したいので、シリアルナンバーを確認してくれと伝えました。シリアルナンバーが異なれば、少なくとも私がメンテナンスしたプレーヤーではないので、入れ替えた可能性があります。

 

担当者も了解して、さっそく配達局に連絡をして確認をしてもらいました。

 

翌日、プレーヤーの傷の状態とシリアルナンバーの書いてあるリアパネルの写真を送ってもらい、それを見て私は衝撃を受けました・・・

 

(つづく)