1992年にMARANTZより発売された CDR610MkII 690,000円
業務用のCDレコーダーとして発売されたようですが、ネット上ではほとんど情報がありません。前年にCDR-1(950,000円)というCDレコーダーの初号機が発売されましたが、そのレコーダーと外観はほぼ同じです。
これが、CDR-1。
先日、CDR610MkIIの修理をしてほしいということで依頼がありました。何分、全く初めて弄るので、不安がありましたが、どうにか情報を集めて、トライしてみました。
症状は、再生しないといことで、ピックアップの交換が必要かもと、いろいろ調べて所、ピックアップメカは、CDM-9PROという型番らしいです。
いきなり、基板だらけ。何の基板だかさっぱり分かりません。この下にピックアップメカはありますので、とりあえず外します。
基板をひっくり返すと、ピックアップメカがお目見え。下にある基板はサーボ基板でしょうか。どうも一体になっているようなので、上の基板と後方にある基板を外し、コネクター類を全て外し、フロントパネルも外し、ようやくピックアップメカを外すことが出来ました。
これがピックアップメカ。ひっくり返して、サーボ基板を外します。
上方にピックアップのフラットケーブルが見えます。サーボ基板を外すと、ピックアップユニットが確認できます。
フィリップスのメカはスイングアームが有名ですが、このCDM-9はギアでピックアップを駆動させています。フィリップスのプレーヤーあるあるのギアの劣化がありました。すっかり溶けてなくなっています。トレイのギアもそうですが、フィリップスのメカを搭載しているMARANTZのプレーヤーには頻発しています。
幸い、このギアは海外から取り寄せることが出来るので、さっそく取り寄せること2週間。
左が取り寄せたギア。本来これだけ長いピニオンギアがあったのですね。右はオリジナルのギア。すっかりピニオンギアが消失しています。
日本の高湿度の環境で加水分解してしまうということは、すでにメーカーとして分かっていたはずだと思いますが、何故改善しなかったんでしょうね。
本来であれば、ピックアップユニットを外して交換すべきでしたが、トレイの引き抜き方が分からず、裏側からピックアップレールを外すことが出来たので、この状態で交換しました。若干ギアの径が小さいようですが、モーターのウォームギアの回転はしっかりギアに伝わっているので問題はないでしょう。
逆手順で組み戻して、動作確認。
正常に再生するようになりました。CD-Rも再生できているので、ピックアップはまだ元気のようです。
業務用のレコーダーなので、アナログのRCA端子がなく、XLR端子しかありません。同軸のデジタル端子から音を出力させて確認しましたので、このプレーヤーの本来のDACの音は確認できませんでした。
ちなみに、これがピックアップ。CDM-12と似ていますが、フラットケーブルのピン数が異なるので、互換性はないでしょう。