1986年にDENONから発売されたDCD-3300 200,000円
1号機を発売してから4年目。業務用の技術を投入しDENONの技術を結集させた意欲的なプレーヤー。
この時代のDENONの技術者はとても意欲的でした。その後の3500シリーズの大ヒットを生みます。
CDの読み込みが上手くいかないということで修理の依頼がありました。ピックアップはSONY製のKSS-123A。DENONやNECのプレーヤーに多く使われていました。
動作確認をしたところ、確かにCDの読み込みが甘いですが、出来ないわけではないので、サーボ調整をしてそれなりに読み込めるようにしました。根本的にはピックアップの劣化なので、交換しない事にはすっきりと改善しませんが、レンズの清掃とピックアップレールの注油など、コントロール基板の半田修正など一通りのメンテナンスをして終了しました。
それからしばらくして、再生は出来るようになったけれどもノイズがひどいということで再び修理の依頼がありました。
う~ん、おかしいな??動作確認をした時には、ノイズなどなくきれいな再生音でした。
再び送られてきたプレーヤーの動作確認をしたところ、確かにひどいノイズです。再生は普通にできていて、フォーカスがずれているときのようなザッザッザというノイズではなく、終始ザ~というノイズが入っています。ノイズの奥に音楽が流れている状態。
コントロール基板を再び確認。あれだけ散々半田修正はしたはずです。
で、まじまじと基板を見ること数十分・・・・ありました!
赤い矢印の基板が垂直に刺さっているところの半田が、微妙に割れています。この写真は、既に半田を修正した後のものなので、割れているのは確認できませんが、本当に微かに所々割れていました。
確かに、こいつは半田修正はしていませんでした。電源周りとレギュレターなどの負荷のかかるところを中心に半田を修正したので、まさかこいつに割れが生じているとは、気づきませんでした。それこそ顕微鏡で覗かないと分からないような微妙な割れです。
この基板の正体は、写真の赤丸の部分で、デジタルフィルターのICが装着されいる基板です。
ザ~というノイズは、個々の信号処理が上手くいっていないから起きてたのでしょう。
がっつり半田を盛って、しっかり固定して動作確認。
ウソのようにノイズが消え、以前のようなクリアーな音が出力できるようになりました\(^o^)/
おそらくですが、輸送中の振動で、基板に垂直に固定されている基板が揺さぶられて、経年劣化によってもともと不安定だった半田に亀裂が入ってしまったのでしょう。
この時代のオーディオは、アンプも含めてこのような基板が多く、垂直に固定されていることが多かったように思います。その後は、コネクターやフラットケーブルでの結線が主流になり、このような基板を垂直に固定することは少なくなったように思います。
このザ~というノイズの故障はあまりないですが、それでも比較的この時代のプレーヤーには多い故障です。
単にピックアップの劣化ではないノイズの場合は、その原因を突き止めるのが難しく、今回のように単に基板の固定の問題である場合はすっきり解決しますが、そうでない場合は、一つ一つ切り分けで検証しなければ原因を突き止めることはできません。
以前、CDP-557ESDも同じようなノイズが発生して、やはり同じようにデジタル基板上の問題であることまでは突き止めましたが、それ以降は特定できず断念したことがあります。ICのトラブルであればお手上げですが、そうでない場合は修理は可能なので、もう少し探求していきたいと思います。