Philips社のピックアップにCDM-1MKIIというモデルがあります。数多くのハイエイドモデルに搭載されている有名なピックアップCDM-1の流れを汲むピックアップですが、CDM-1に比べると使われているモデルが少なく、ある意味貴重のピックアップです。

 

上記は、MARANTZ のCD-880Jに搭載されているCDM-1MKII.

 

メカはアルミダイキャストで、CDM-1そのものですが、クランプ部の構造はCDM-2に似ています。サーボ基板はCDM-2と共通なので、CDM-1とCDM-2の中間的なメカといるでしょう。

 

先日、MARANTZ のCD-880Jのジャンク品を入手しました。これもCDM-1MKII搭載モデル。トレイの開かないジャンクだったので、ベルトだけで直ると踏んだのですが、外れました。ピックアップが寿命だったようで、再生できず。

 

メカを外したときにサーボ基板がCDM-2と一緒だったので、もしかしたらCDM-2のピックアップが移植できるかもと思い、さっそく実行。

 

取り外したCDM-1MKIIのピックアップ(左)とCDM-2のピックアップ(右)。ピックアップの構造は異なりますが、スイング機構はほぼ同じです。

ポン付けできるかと思い、取り付けてみましたが、微妙に高さがことなります。よくよく見ると、赤丸の部分の足の高さがことなります。

 

足の部分はネジで固定しているだけなので、簡単に取り外せます。

 

これがスイング部をベース部に取り付ける足。左がCDM-2の足、右がCDM-1MKIIの足。

高さ的に2倍くらい異なるでしょうか。これだけ違えば当然取り付けられません。

 

CDM-2のスイング部にCDM-1MKIIの足を取付けて、CDM-1MKIIのベースに取り付けます。

 

そうするとこんな感じになります。違和感なく、スムーズにスイングします。

 

サーボ基板は多少構成が異なります。信号処理が異なるのでしょうか。左がCDM-2の基板。右がCDM-1MKIIの基板。CDM-1MKIIの基板はすでにコンデンサー類を交換しているので、真新しく見えます。サーボ基板は流用はできないかもしれないので、もともと付いていたCDM-1MKIIの基板を取付けます。

 

組み戻して、動作確認をしたところ問題なく再生することができるようになりました。

 

ちなみに、CDM-2のドナーは同じMARANTZ のCD650です。これもCPの高いFMfan ダイナミック大賞選出モデルで、エントリーモデルながら名機の一つです。ドナーにするのはもったいないですが、比較的安価に手に入りメイン基板の故障が多いので、ピックアップが生きている確率が高く、ドナーとしては最適かもしれません。

 

CDM-1MKIIは使用されているモデルが少なく、当然ですがピックアップを手に入れることは困難です。流通量の多いCDM-2モデルからの移植で復活させるのが一番近道でしょう。