1988年にMcIntoshから発売されたMCD7007 390,000円
McIntoshといえば、パワーアンプやプリアンプで超有名なアメリカのオーディオメーカーです。独特のブラックフェイスの武骨なデザインがマニア心をくすぐりますが、実はCDプレーヤーも発売していました。
流石に一から開発するだけのノウハウがなかったのでしょうか、発売当初はPhilips社のピックアップメカとメイン基板を使い、DAC以降のアナログ基板だけMcIntoshのオリジナル基板を追加した構成になっていました。
やっぱり、オーディオを趣味にしている人間にとっては気になるメーカーですから、以前から手に入れたいと思っていました。
先日、ヤフオクでトレイの開閉しないというジャンク品を入手。元の定価が定価だけに、ジャンク品でもかなりの価格になります。気合で落札しました。
さっそく開腹。
メカは、Philips社のCDM-1MKIIです。このメカは、CDM-1と同じアルミダイキャストベースで、サーボ基板がCDM-1の廉価版であるCDM-2と同じ基板が使用されています。それ以外にはクランプ機構がシンプルになっています。こちらもCDM-2 に似た構造になっています。
なので、ある意味CDM-1とCDM-2の丁度中間的なメカといえるでしょう。
右端にある基板がメイン基板にありますが、これはmarinateのCD650と全く同じ基板です。DACがPhilips社の銘DACであるTDA1541です。
798のプレーヤーと一緒かよ!!と思い、幻滅しかけましたが、流石にランクは上にDACを使用しています。クラウンマークがしっかり刻印されていました。
メカの後ろにあるグリーンの基板は、McIntoshオリジナルのアナログ基板です。これは流石にアンプメーカーだけにこだわった構成になっています。
早くこのプレーヤーの音が聞きたいので、トレイ開閉の不具合を修理します。
メカは、左右に1カ所ずつ、後部に1カ所の3カ所で固定されています。ネジを取り外して、トレイを引き抜きます。
トレイの右側に開閉を駆動しているモーターがあります。MARANTZ やPhilipsのプレーヤーに多いギアの破損はありません。ベルトがスリップしています。
ベルトは、手前にギアベルトが付いていますが、これは滑ることはなく劣化もありませんので、交換は必要ありません。奥にある黒いプーリーとモーターを介しているベルトが劣化していますので、これを交換します。
この状態では、ベルトを交換することができないので、まずギアベルトを取り外します。ギアベルトは弾力性がなく、伸ばして取り外すことができません。ギアの部分は手前にずれないような構造になっています。
黒のプーリーの中心にはギアベルトがずれないようにキャップがはまっていますので、これを手間に引いて取り外すことでギアベルトを取り外すことができます。
次に、白のギアと黒のプーリーには隙間がほぼありませんので、ベルトが通るだけの隙間を開ける必要があります。白のギアと黒のプーリーは、先端がカシメてあるので、引き抜くことはできません。なので、白のギアを軸ごと手前にずらします。マイナスドライバーを隙間に入れててこの原理でギアを手前にずらします。そうすることで、ベルトが通るだけの隙間を開けることができます。
ベルトを交換して、逆転順で組み戻して、動作確認をします。
トレイの開閉はスムーズになりましたが、CDは回転せず・・・・・_| ̄|○
ピックアップの上下運動もありません・・・・・(-_-;)
電源基板をチェックします。
CD650と同じ基板なので、構造は熟知しています。
ありましたありました!
整流をしているダイオードの半田が見事にクラックしています。他もチェックしましたが、いたるところに半田クラックがあります。どんだけ環境の悪いところで使用されてきたのか・・・・
まあ、30年前のプレーヤーなので、致し方ありませんが・・・・
ついでにサーボ基板のコンデンサーを交換しておきます。CD650などに使われているCDM-2のサーボ基板と構成は一緒ですが、フィルムコンデンサーが高級なメタライズドコンデンサーに替わっています。流石、McIntoshだけあって、パーツにはこだわっています。
再び組み上げて、動作チェック。
無事再生できるようになりました。
音は、Philipsのメカとメイン基板を使用しているだけあって、Philipsサウンドそのもの。アナログチックで、厚みがあり豊かな表現が秀逸です。CD650よりは断然、繊細で表現力が豊かです。DACのランクが上であることも効いていますね。
あとでコンデンサー類の消耗品を交換して、もっと音をクリアーにしていきます。