1985年にMarantzから発売されたCD-34 59,800円
1985年の第1回FMfanダイナミック大賞に選出されています。
このプレーヤーはPhilipsのCD104のOEMで、Philipsが日本でのシャアを獲得するために投入したモデルとして有名です。
とてもとても598で採算がとれるような内容ではありません。それだけ作り込まれた意欲的なモデルです。おそらく原価が589ではないかと思われるくらい採算を度外視した内容で、爆発的に売れました。
今でも完動品は当時の定価で売られているくらい人気があります。
時折ヤフオクで出品されていますが、ジャンク品でも2万近くで取引されています。
どうしてもその音を聴きたくて、頑張ってトレイが勝手に開いてしまうというジャンク品を手に入れました。
早速開腹。
サイズに似合わない大きなメカがあります。右側にある基板はサーボ基板です。サーボ基板の裏にDA基盤があります。2段式になっています。
底板を外すと裏面はこんな感じ。
左側がCDA基板。右側にピックアップやモーターが見えます。
手動でCDをセットするとCDは認識して正常に再生できますので、ピックアップは元気なようです。
さて、トレイが勝手に出てきてしまうのは、このプレーヤーに多い症状のトレイ開閉を駆動しているギアの破損です。Philipsのプレーヤーもギアの破損でトレイが出てこなくなります。同じ素材のギアを使用しているので、日本の高温多湿の環境で直ぐに劣化してしまうのですね。
メカを取り外して向かって右側にモーターが取付けられています。オレンジ色のプーリーについているギアが丸坊主になっているのが分かります。
ちなみに、このモデルは全てトルクスネジで固定されています。T10というサイズのトルクスネジですので、分解する際はトルクスドライバーを用意してください。
モーターの部分を外すと、こんな感じです。
手前の白いギアは全く問題がありません。ベルトは伸びているのでついでに交換します。直径は35㎜位、手持ちの35㎜のベルトでOKでした。
ギアは、CD-34の修理で有名な神奈川県厚木市にあるアイテックさんから取り寄せました。
これがそのギアですが、中心のオピニオンギア部分が金属製です。これで、絶対?に欠けることはないでしょう。
交換して、逆手順で組み上げて動作確認をすると、正常に開閉するようになりました。開閉するときの音が重そうですが、まあ良しとしましょう。
ちなみにピックアップはCDM-1。アルミダイキャストのシャーシが頼もしいですね。普通はこんな低価格のモデルに使用するものではないかと思うのですが、Philipsの並々ならぬ意地が感じられますね。
それから、Philipsのプレーヤーに多いコンデンサー劣化により音が出ない、ノイズが入るなどのトラブルが頻発するようなので、ついでに交換しておきます。
DA基盤の電解コンデンサーはニチコンのFGシリーズに、チューブラコンデンサーはPhilipsの電子部品部門を引き継いだVishay製のコンデンサーに交換しました。
サーボ基板のコンデンサーも同じように交換。
それから、このプレーヤーはRCA端子がありません。直接、RCAコードが背面から延びていて、アンプに接続するようになっています。何でこんな仕様にしたのか不明ですが、コードにもこだわりたい人にとってはこの上なく不便な作りです。
なので、背面に穴をあけてRCA端子を取付けてしまいました。
下のR側は、もともとコードが出ていた穴を利用。開けたのは上のL側になります。かなりぶ厚いアルミ製の板なので、電動ドライバーで10㎜の穴を開けるのは一苦労。ちょっとずれてしまいました・・・(*´Д`)
さて、肝心の音ですが、CD-34のユーザーの誰もが言っているように、とても厚みのある深い音を聴かせてくれます。アナログプレーヤーを聴いているような、そんな錯覚を覚えます。
特に女性ボーカルが秀逸ですね!とても色っぽいつやのあるその声に魅了されてしまいます。ジャズのピアノの音も聴きごたえがあります。まさに聴き惚れてしまいますね。
598でこれだけの音を聴かせてくれるのですから、いまだにファンが多いのは頷けます。
このプレーヤーは絶対に持っておきたい一台です。