VRDS-20の画像
1993年に発売されたTEAC VRDS-20
 
この下位機種であるVRDS-10はFMfan ダイナミック大賞に選出されています。上位機種であるこのモデルが選出されていないのは、おそらくCPが良くないと評価されためでしょう。
 
内容やスペックは、10とほぼ同じですが、20はシャーシやピックアップメカなど全てにおいて銅製のシャーシを使っています。非常に豪華な作りとなっています。
 
それから見てもわかるように、神殿を思わせるような4本の足が特徴的です。マイクロなどの高級なアナログプレーヤーにはこのようながっちりとした構造の足を持つモデルがありますが、CDプレーヤーでは珍しい構造です。
 
内容的にもっとブラッシュアップすれば、10よりも10万円高くても評価されたかもしれません。
 
今回、初めてTEACのVRDSメカを搭載したプレーヤーをメンテしました。
いつものヤフオクで、トレイが開閉しないというジャンク品を入手。
 
 
2層構造の天板を外すと、まばゆいばかりの銅製のシャーシが目に飛び込みます。10にはない豪華な作りです。
 
これがTEACが誇るVRDSメカ、アルミダイキャストのしっかりした作りです。
 
トレイが出ないのは、ベルトが劣化したためですので、ベルトを交換すれば基本的に直ります。修理内容は簡単ですが、交換作業は別問題。
 
このモデルは、トレイ開閉ベルトとCDのリフトベルトの2本の交換が必要です。トレイベルトは、下記の写真のようにトレイを引き出すと直ぐに見える位置にありますので、交換は非常に容易です。ちなみに直径は22㎜で小さめのベルトが必要です。
 
問題は、CDのリフトベルトです。上記の写真の中央にあるモーターがリフトをしているモーターになりますが、その左にあるのがリフトをしている構造体になります。ベルトはこの状態で交換することはできません。このリフト構造体を分解する必要があります。当然ですが、この状態で簡単に分解できる構造にはなっていませんので、メカを取り外す必要があります。
 
メカと取り外すには、メカの両サイドにあるオーディオ基板と電源・サーボ基板を取り外す必要があります。配線が縦横無尽に張り巡らされているので、配線を取り外してから基板を取り外します。非常に面倒な作業です。
 
で、ようやく取り外したメカです。
 
CDリフトの構造体は、筒状になっているらせん体とリフトさせる橋げた上の構造体が組み合わさっています。筒状らせん体をモーターで回転させることによって、リフトが上下する構造です。それによって、CDをVRDSのアルミダイキャストにチャッキングさせます。
 
分解する手順は、まず橋げた上の構造体は、ピンで固定されているので、このピンを引き抜く必要があります。ピンはクリップで固定されているので、クリップを外します。とても小さいクリップなのでなくさないように注意しましょう。両サイドにクリップはありますが、片方を外すだけでピンは引き抜くことができます。橋げたが外せれば筒は外せますので、そうするとモーターが駆動しているウォームギアがその奥にありますので、取り外すことができます。ベルトはこのウォームギアとモーターの間にありますが、経年劣化のために溶けてました。直径は25㎜でOKです。
 
逆順で組み上げてると、正常にトレイの開閉ができ、CDのリフトもしっかりと上下動作をしています。
 
ピックアップは、まだ正常のようですが、しっかりと俊敏に読み込み正常に再生できました。
 
VRDSメカのプレーヤーの音を初めて聴きましたが、DACはかの有名なフィリップス社製のDAC7ですので、非常に繊細な表現力の音を聴かせてくれます。
 
初めて聴きましたが、非常に良い音です。今でも人気のある機種ですので、それもうなずけますね。しばらく、使用していこうかと思います。