これもまた小さい頃ですが親から「家の中で新しい靴を履いたまま外に出てはいけない」と言われました。
子供の頃は新しい靴を買ってもらい、うれしさのあまり家の中で履いてしまい、そのまま玄関におりてしまうというのも、まぁ無きにしもあらずといったところです。「家の中で新しい靴を履いたまま外に出てはいけない」という考え方の由来は、お葬儀の際の儀礼にまつわるようです。
昔は一般的に自宅でお葬式を行っていました。その際に棺を家から運び出す事になるのですが、野辺送りといわれる(墓地や火葬場まで身内などで棺をかついで列を組みながら故人様を送る)葬儀の儀礼に際し、棺をかつぐ人たちが座敷や縁側で真新しいわらじを履き、そのまま棺をかついで庭先に出て出棺というながれになっていたようです。
この際の新しい履物を履いて、そのまま外に出るという行動が『この世』から『あの世』に送る時に行われる行動へと結びついて「家の中で新しい靴を履いたまま外に出てはいけない」と言われるようになったという事です。
このようないいつたえは日本のように家に上がる際に履物を脱ぐという文化があってのものなのでしょうね。TH
親切とまごころ 吹公社