中学校に入って小玉くんは化けた。
剣道を教えてくれる先生が「しびれるね~」というほどの試合をする。
万年Bチームの大将がいつしかAチームの大将をはるほどになった。
みんなから「キレイな姿勢だね。大人の剣道だ」と言われた。
剣道の自信が成績にも反映してきた。
相変わらず日本語はダメだが、成績は伸びていった。
小玉くんに「君の長所はなに?」と聞くと、「体が頑丈なところです」と言う。
自分の長所がすぐ言える子になっているのがうれしい。
でも、君の良いところは実はまだまだあるんだよ。
剣道をやっている子のお母さん達の多くは君のファンだ。
「どうやったら小玉くんみたいに育つの?」と良く聞かれた。
剣道をやっている君を観ているとそれがよくわかる。
小さい子の面倒をよく見て、目上に対しては礼儀正しくて
いつもニコニコして機嫌がよい。
オヤジギャグのキレはイマイチでも、その笑顔で許せる。
高校はチャレンジだった。
剣道を続けたい3号は地元の高校を選ばずに、チカラ以上の
レベルの高校を目指した。しかも学区外だ。
小玉くんはもの覚えの良い子ではない。小さいときからそうだ。
何度も繰り返してやっと飲み込む。
そんな小玉くんが自分の意志で高い山を目指した。
私たちは見守るしかなかった。健康をくずさないように気をつけた。
夜遅くまで勉強して、朝はまだ目が開かない小玉くんにしっかりご飯を食べさせた。
「朝ご飯は食べる」がうちのルールであり、小玉くんはこれを守った
今日は小玉くんの入学式だった。
本来ならあと3年は一緒にいられるはずだったが、ちょっと早い巣立ちだ。
本人もいくらか不安があるらしい。
でも、小玉くんは言った。
「オレ、結構楽しみ」
そんなたくましさも君の長所だ。
もう、君と暮らすことはないのかもしれない。
こんな笑顔を毎日みられないんだな。
このまま大学に行って、他の街に就職してしまうんだろうな。
そう考えるとドライアイの目から涙が出る。
君がうちに来てくれてホントに良かった。
私もパパも心からそう思っている。
健康でいてほしい。優しい子でいてほしい。
たくさん友達を作って欲しい。剣道も強くなってほしい。
親っていうのは欲張りなもんです。


