個人的な記録のつもりで始めた転記に、時々「いいね」を頂けて嬉しいです。
総菜料理の紹介が出来るようになったら、時々は実際に作ってお見せしたいなとか、色々と考えています。
…いつの日になるのか本当に分かりませんが。
今回は、あく抜きの方法からです。
ほぼ説明がなかったので、分かりやすいように番号を振っています。
□灰汁抜き法のいろいろ
1.芥子(辛子)のあく抜き
①芥子粉を小さい丼鉢に入れ、大根の搾り汁又は番茶の煮汁を少し加えてよく練る
②浮かないように丼の底に塗り付け、その上に日本紙(和紙)を張り付ける
③②に熱湯を注ぎ、よく熾った炭火を入れて沸騰させる
④そのまま冷まして水けをきり、丼を逆さして地面に伏せる
『30分くらいこうしておきますと、辛くなります。灰汁抜きした芥子は、蓋をしておきますと、寒い時分なら5~6日辛みを保つことが出来ます』
エスビー食品株式会社が日本で初めてチューブ入りの「洋風ねりがらし」を発売したのは1970年の事です。
それ以前は「辛子粉」という粉末が売られていて、必要な分だけ小さな器にとってぬるま湯で練って使っていました。「からしは力任せに混ぜると辛くなる」と言われていたのを覚えています。その後、風味が出るように10分ほど置くのですが、その際には器を逆さにしていました。
②の和紙を張り付けるのは熱湯で溶けてしまわないようにでしょうが、なぜ熱湯を入れた上に熾火まで放り込むのか…。
せっかくの風味が溶け出てしまわないか心配です。
2.砂糖の灰汁抜き
①砂糖1匁(375g)に卵の白身半個分の割合で鍋に入れる
②箸を二膳くらい持って混ぜながら、清水2合(360cc)を加える
③中火ひかけてしばらく置くと上面に泡が浮くので、弱火にして10分くらい煮る
④おろし際に清水を盃1杯いれる
⑤火からおろしたら1~2分おいてから絹漉で漉す
『これは羊羹や、きんとん、氷蜜、飲料などに用います』
コンソメスープを作る時に、肉、野菜と一緒に卵の白身を入れて煮ると、白身が灰汁をまとめてくれるので澄んだスープが出来ると教わったことがあるので、同じ理由だと思いますが実際はどうなんでしょうか。
株式会社パールエースのwebサイトに伺うと、砂糖の歴史が詳細に書かれていました。この書籍が世に出た頃は砂糖の生産量が飛躍的に伸びた時期だったようです。国内に近代的で大規模な製糖工場が創業が続いたと書かれています。
おそらくですが、精製が進んだとはいえ、当時の砂糖を水に溶いただけの状態で飲むとミネラル特有の雑味を感じたのではないでしょうか。
現在でも灰汁抜きを行う事があるかと思い「砂糖 あく抜き」で調べると、「蒟蒻は、砂糖を揉み込んであく抜きすると美味しいです」という記事が並んでいました。
3.鹽(塩)の灰汁抜き
①塩5合(900cc)に卵の白身半個分、又は鶏卵の卵の殻5個分の割合で鍋に入れる
②手で良く混ぜてから水一升(1800cc)を加え、火にかける
③木杓子でかき回して、塩が溶けて上面に泡が立ってきたら、他の鍋に漉し取る
④③を火にかけてしばらく煮立てる
⑤金杓子を差し込んでおくと結晶状の塩が集まってくるので、この塩を砂か灰を広げた美濃紙の上に乗せる
『こうして水気がなくなるまで繰り返して、出来た塩は紙の上に乗せます。出来上がりましたら十分に乾かして瓶に蓄えておきます。この塩は吸い物、粥、煮物などに用います』
塩は昭和30年頃まで『入浜式塩田』という海水を使って作る手法が主でしたので、ミネラルが多い分雑味があったのではないかと思います。また、安価な外国産の塩の輸入も行われていたようです。
灰汁抜きの理屈は砂糖と同じだと思いますが、塩が結晶化するまで煮詰めるのはなかなかの重作業だったと思います。当時の奥様はすごいです。
□煎茶・番茶の美味しい入れ方
『近頃は、コーヒーや紅茶ばやりになりましたが、しかし日本のお茶を上手に入れたのは、又捨てがたい味があります。殊に冬向きは、おいしく入れたお茶で、生菓子を頂くのはうれしいものです』
お茶の産地としては、静岡(番茶)、宇治(煎茶)、狭山等が有名と記されています。『どこのお茶がよいと、一口には言えないので、飲む人の嗜好によってそれぞれ調合すると、口に合った美味しいお茶になります』
夏はあっさり、冬はこってりしたお茶を歓迎すると書かれたうえで、煎茶は一斤(600g)2~3円、番茶は80銭~1円が一番売れ行きが良いようだとの事です。以前調べた当時のレートで考えると少しお高めな気もしますが、物価の詳しいところは分からないですね。
香味と甘未・苦味
『煎茶の本格の入れ方は、三煎に汲み分けて仕立てるのです』
以下抜粋
①よく煮たぎった湯を少し冷ます
②急須に注ぎ、程よい頃を見計らって3~4滴ずつ茶碗に注ぎ廻し『ほんの少しを勧める』
『口中に香味が漂って、何とも言えぬいい気持ちにひたる事ができます』
③②と同様にして注いだものを勧める
『今度はいいお茶の甘味が出て、下を刺激します』
『三煎目は、少し苦味が混ざった味で、これもまたいい味です』
『しかし、忙しい日常生活ではこういう訳には参りませんし、多くの場合、お茶は渇をいやすために頂くものですから、お茶の量も相当多くしなければなりません。そしえその一煎の中に、前のような三煎の味を出すのが理想的な訳です。ですから、ふつうの煎茶を入れる時には、一椀に香味も甘未も苦みも盛るように心がける事が必要です』
喫茶店が一般的になったとはいえ、自宅で飲むのは急須で入れた日本茶の時代です。美味しいお茶を入れることが出来る女性は、良いお嫁さんになると言われた事でしょう…現在なら「それってハラスメントですよ!!」な案件になりそうですが。
■煎茶をおいしく入れる方法
『第一の秘訣としては、よく煮たぎった湯を用いることと、お茶の分量を多めにすることです。それから急須には始終湯をためておかぬ事です。ですから初めに急須に湯を入れる時に、入用な分だけ注ぎ、余分に注がぬことが肝心です』
更に、お茶は最後に振って落としたような数滴に最もよい味が残っていると書かれています。紅茶も同じように最後の一滴まで注ぐとよいとされていて、「ゴールデンドロップ」と呼ばれています。国は違っても心がける事は同じのようです。
現在は、お茶は三煎まで美味しく頂けると言われていますが、この書籍では、『二度目になると、香気などもなくなって、余程味が落ちて来ます』とされ、少しの茶葉を足したり、番茶の中に入れて煮だすと良いとされています。製茶の技術もこの百年で飛躍的に進化したのでしょうね。
■番茶のおいしい入れ方
『番茶は焙じて入れるのが最もおいしいのです、そして毎その日に使う分量だけを焙じておくと良いのです。焙じるには焙烙(ほうろく)を使うのが一番よく、すっかり焙じましたら、一寸空気中にさらして、熱を冷ましてから缶に入れておきます』
番茶を焙じたら「焙じ茶」…と困惑していたのですが、番茶も焙じ茶も「番茶」でまとめる地域もあるそうです。この筆者の方
がたまたまその地域の方だったのか、当時は番茶も焙じ茶も同じくくりだったのかは不明です。
焙烙は片手で持てるサイズの土鍋で、胡麻や豆、お茶などを煎るのに使います。実家の焙烙は、よく銀杏を煎っていました。
『入れ方の要領は煎茶と同様ですが、特に番茶は熱いのをすすめる事が肝心です。なお、特別に美味しい番茶を仕立てたい時には、番茶の中に上等の煎茶とか、玉露などを少量混ぜて使うのです。こうしますと、実意おいしい番茶が出来ます』
玉露、煎茶、番茶はそれぞれ適温が違うので素直に頷けないところですが、少量だったら風味だけが移るのかもしれません。
『最後にお茶は、湿気と塩気を嫌います。殊に非常に香りの移りやすいものですから、臭いのある物の傍におかぬよう、密閉した缶に入れて、保存に注意します』
次回は、西洋料理と志那料理の知識に入ります。
ようやく、総菜に一歩近づきます。