前回から西洋料理の話になっていますが、前菜を飛ばしてスープから始めるなど若干の不安を感じています。
そういえばと思い「アンの青春(赤毛のアンの続編)」を引っ張り出してみると、尊敬する作家のために食事を準備する話があって「ー初めは軽いスープにして、私、玉ねぎのクリーム・スープが得意でしょう?」というセリフがあったので、当時はこんな感じだったのかもしれません。赤毛のアンは1800年後半が舞台なので参考になるかは分かりませんが。
今回は、魚料理からです。
□魚の料理
『西洋にも色々な魚の料理がありますが、その料理法は大体次の如くです』
フライ…メリケン粉、卵、パン粉等をつけて、植物性又は動物性の油で揚げる料理です。
ステツク…バターでいため、フライパンの中で焼く料理。
グリル…直接火で焼く料理。
ベーク…天火などを用いて、間接の熱で焼く料理。
ボイル…湯煮をする料理。
スチーム…湯気で蒸す料理。
スチュー…味をつけて煮る料理
ステツク?
料理の手技を見ると、足りない物は「ソテー」でしょうか。sautéはステと読めそうですが、ツクは?…炒め焼きだとStir-fried and grilled…フランス語のステーキはsteck…これが一番「ステツク」っぽいです。フランス語だと魚のステーキはムニエルかなとも思いますが、à la meunièreは「粉屋風」なので、粉を振らなかったらステーキで大丈夫なはずです。
『お魚はどうして食べるのがおいしいかと申しますと、大体に於いて味の淡泊な小魚はフライに、脂肪の濃い魚はバタでいためるか、もしくは直接火で焼きます。その薄いものは天火で焼くか茹でるかします』
この他、微妙な味のものや脂肪がとても濃い魚はスチューにしますと書かれています。
□獣鳥肉の料理
『獣肉は、西洋料理の骨子(骨組みとなる重要なもの)だと言っていい位に用いられています』
料理の種類は、カツレツ、バター焼き、直火焼き、天火焼き、茹でるの5つに分別されています。
□野菜の料理
▼『単独の料理としてー野菜は、主として肉料理、魚料理の付け合わせや、スープの中実、香料、調味料として用いられますが、野菜の一品料理としても淡泊でおいしいもんです。
料理の種類は、フリ、ソーテ、ベーク、ボイル、スチュー及びサラドと分別されています。
フリはフリッターなのかフライなのか、おそらくフライの方だと思うのですが根拠はありません。ここでソーテ(ソテー)が出てきたので、ステツクはやはりステーキが濃厚でないかと思います。
▼付け合わせの野菜(意訳)
魚肉のフライ…ジャガイモのフライは又はパセリ
獣鳥肉のカツレツ…ジャガイモのフライ若しくは茹でたもの、裏ごしにしたもの、季節の野菜をあっさり煮たもの
魚のバター焼き…野菜のバターソテー又はあっさり煮たもの
獣肉のバター焼き…ジャガイモのフライ又は玉葱のバター炒め
魚の直火焼き…付け合わせなし
獣鳥肉の直火焼き…ジャガイモのフライ、又は野菜のピューレ
魚の天火焼き…ジャガイモ、トマト、マツタケなど、季節の野菜の天火焼き
茹でた魚…ジャガイモを薄い塩味に茹でたもの
茹でた肉…肉と一緒に似たジャガイモ、人参、玉ねぎ等
魚のシチュー…小粒の玉ねぎ
肉類のシチュー…玉葱、人参、エンドウ豆をあっさり煮て
豌豆を読むのに手間がかかりました…エンドウ豆だそうです。
▼サラド(サラダ)
『サラドと言うのは、最終の肉料理の後に出すもので、日本料理でいえばまず酢の物、おひたしなどにあたるものです。いろんな野菜を用いますが、生のままで用いるものと、茹でて用いるものとがあります。生のまま用いるのは、萵苣(チシャ)、芹(ウォーターレタス)、甘藷(キャベツ)、白菜、玉葱、うど、胡瓜、セルリ、トマト等、茹でて用いるのは花甘藷(カリフラワー)、アスパラガス、筍、蕗、莢隠元(サヤインゲン)、小豆(ランチイユ)、豌豆、馬鈴薯、牛蒡、松露(キノコ)などです』
野菜の名前は当時のままにしてみました、小豆と書いてランチイユと読んでいますが、ランチイユ(lentille)はレンズ豆の事です。
あっさりと頂くサラダには『多少の香料と調味剤』で香りを高める必要があると書かれています。香料としては、玉葱、パセリ、セロリなどのみじん切り、調味剤としては、塩、コショウ、辛子、酢、植物性油などが紹介されています。
色どりのために赤大根(ラディッシュ)の輪切りを添えるとの事です。
今回は、漢字とフリガナを合わせるのに労力を使いました。
ランチイユがレンズ豆なのは間違いないのですが、この時代に日本で食べられていたという記述が見つかりません。
lentilleはフランス語なので、もしかしたら作者さんはレンズ豆を食べたことはなく、料理本で紹介されているランチイユは小さな豆―小豆という意訳をされたのかもしれないです。
この辺りは想像するしかないのですが、インターネット等ない時代にここまで色々な事を調べて紹介している作者さんには尊敬しかありません。