仕事の収拾がつかずにご無沙汰してしまいましたが、久しぶりの家庭総菜料理十二ヶ月です。
今回は西洋料理には欠かせないソースの知識からです。
□ソースの知識
『西洋料理には、日本料理のように醤油で味をつけず、ソースによって各々違った美味しい味をつけるものですから、ソースが上手に出来ておれば、たとえまずい材料でもおいしく食べることが出来ます。ソースは約50~60種類もありましょうが、それを大きく分けて、魚肉用ソース、獣肉用ソース、鶏肉用ソース、野菜ソース、サラダ用ソースと分けます。また材料から大別しますと、約10種類に分けますが、そのうち最も普通に使いますもののみを掲げましょう』
まずい材料…というのはなかなかの暴論だと思いますが、それだけソースにカバー力があるという事なのでしょう。この時代はまだ西洋の食材に慣れていないのもあるかもしれません。
以下抜粋です。
1.酢味を土台にしたソース(レモンソース)
レモンや橙の酢などで、お魚のフライにかけます。
2.酢と油を土台にしたソース(フレンチソース)
野菜、魚、鳥などを茹でたものにかけて用いたり、サラダ用です。
作り方:食塩小さじ2、酢大さじ5、サラダ油大さじ5、辛子小さじ5を良く混ぜる。
3.卵と油を土台にしたソース(マヨネーズソース)最も用いられるソースです。
サラダや魚の茹でたものにかけます。
材料:食塩小さじ1、酢大さじ2、サラダ油大さじ14(210CC)、黄身2個、辛子、小さじ1.5、胡椒0.25
作り方
①黄身を丼の中でよく溶かして、食塩、辛子、胡椒を加えて混ぜる
②①にサラダ油を2~3滴落として良く混ぜる
③②を繰り返す
④途中、ソースが固くなってきたら酢を少しづつ入れて伸ばす
⑤酢を入れると柔らかくなるのでちょうど良い加減に調節する
『日本の酢は甘味が薄いので、砂糖少々とレモン液またはレモンエッセンスを入れますと、出来上がったソースの香りが大変良くなります』
九州に住んでいる私は、スイートマヨネーズと聞くと長崎県佐世保市を思い浮かべます。ハムと野菜をはさんだ「佐世保サンドイッチ」やすっかりブランドになった「佐世保バーガー」でもたっぷり使われていて、佐世保に行ったら必ず買っています。スイートマヨネーズと佐世保の関連性は不明ですが、アメリカ海軍の存在や、長崎で室町時代から砂糖貿易が行われていた事あたりが理由かもしれません。
4.小麦粉と牛乳バターを土台にしたソース(ペシャメルソース)
これはホワイトソースとして、コキールやグラタン料理、野菜や魚の茹でたものに用いられます。
※コキールはフランス語で貝や貝殻をさし、主にホタテの貝殻に魚介を持ってホワイトソース、パン粉を乗せて焼いたものです。
材料:食塩小さじ1、バター大さじ2、牛乳大さじ10(150cc)、小麦粉大さじ2~3
作り方
①バターを熱して溶かす
②小麦粉を入れて、牛乳でのばしてドロドロにさせ、食塩で味をつける
野菜などにかける場合は少し濃く、コキール、グラタン用には少し薄めに仕上げると濃度の説明がされています。
ペシャメルソースは以外と簡単に紹介されています。現在は、溶けたバターに小麦粉を加えたらサラサラになるまで弱火で加熱する方法が主流になっているようです。
□デスセール
『デスセールとは、食事の終わりに卓上にすすめる品々の総称っです。デスセールとして供する品々は、菓子、果物、チーズなどです。コーヒーや煙草はデスセールとして出すこともあり、食堂を離れ、別室でリキュール酒とともに供する場合もあります。どちらでもいいのでしょう。デスセールに用いる菓子は、シュークリーム、アップルパイ、プッディング、アイスクリームのようなもの、外にキャラメル、ボンボン等の小菓子を添えます』
デザートに煙草と書かれているとビックリしますが、19~20世紀のヨーロッパ上流社会では、デザートの後に男性は喫煙室で煙草と食後酒を楽しみ、女性は別室でお茶を頂く文化があったようです。
□献立順序
『様式の正餐の献立の場合は、大体次のような順序で、次々に運ばれます』
1.オードゥブル
酒はセリ―(シェリー)、又は白葡萄酒
2.スープ
3.魚
(酒は白葡萄酒)
4.アントレ(肉の飾り付け料理、各種野菜の付け合わせ)
(酒は赤葡萄酒)
5.ロウティ(鳥類の蒸し焼き)
6.サラダ
(酒はシャンパン)
7.アントルメ(食後の菓子)
8.季節の果物、木の実、ボンボン類
9.別室でカフェー、煙草などが出る場合があります。
ロウテイはおそらくフランス語でrôti(ロッティ)ですね。焼き物全般を指す言葉なのでローストチキンかもしれません。
魚→牛肉→鳥肉の構成にお酒のペアリングまで含めたメニューは19~20世紀のベル・エポック文化や大正から昭和にかけての洋館文化に通じるものがあるようです。
日本橋三越で『御子様洋食』が提供されたのが1930年なので丁度この頃です。
富士山型のケチャップライス、サンドイッチ、コロッケ、ハム、スパゲティ、砂糖菓子…かなり高価だったそうですが、洋食文化は都市圏に根付いていたのでしょうね。戦前の食卓といえばちゃぶ台でご飯と味噌汁、メザシと漬物のイメージでしたが、この本を読んでかなり変化しました。
国内で「財閥」が成長した時代でもあります。地域や立場で生活に大きな差があった事でしょう。
次回からは、支那料理に移ります。
1/3近くまで進みましたが、まだ総菜12ヶ月は遠いようです。


