バタフライの指導(4)
バタフライを泳がせる
一般的な指導を見ると、両手が持ち上がったタイミングで呼吸をさせていることが多いが、この指導が実はバタフライが泳げない子供を増やしてしまうことに繋がっている。
それでは、どのタイミングで呼吸をさせるのか?
まず、クロール指導の時に水をかき終えた状態で、体が横向きになっている状態で呼吸をさせたことを思い出して欲しい。
指導のポイント
1)キックを2回した後で手をかき始める
2)ストロークは、両手で壁をよじ登るようなつもりで水をかく
3)水は最後までかかせる
4)水をかき終わるタイミングで顔をあげさせる
5)手が水上に出るタイミングで、頭を勢い良く突っ込ませる(意識して額から水に入れる感じ)
6)リカバリーの際に、肩から順番に腕が沈んでいくことを意識させる。
7)両手が前に伸びるタイミングで1回目のキックをさせる
※両腕が完全に水上に出なくてもよい。
※肩から沈ませることを意識すると、それほど水の抵抗は大きくなくなる。
呼吸のタイミング
水泳道では、両手をかき終えるときに、意識して顔をあげさせて呼吸をするように指導する。
※平泳ぎの時のように両手のフィニッシュの直前に顔をあげることを意識させてみてもよい。
※↑実際には2回目のキックした足がキック前の位置に戻るタイミングになる。
※2回目のキックが終わってから手をかき始めるのは、このため。
※競泳では、フィニッシュと同時にキックをし、同時に顔をあげる選手が多い。
これは一番加速する際に一瞬で呼吸を終わらせ頭を突っ込むタイミングで腕を前に出しているからだ。
◎実際のバタフライのタイミングと、違うではないか?という疑問があるかもしれないが、これは、少しでも楽にバタフライを泳がせるための指導テクニックであり、実際、試してもらえばわかるが、このタイミングを覚えて泳げるようになると、自然にキックのタイミングが呼吸のタイミングに近づき、力の抜けた、綺麗なバタフライが泳げるようになってしまう。
バタフライがうまく泳げないという人へ
少し早いのではと思うかもしれないが、この両手をかき終える瞬間に顔をあげることを、意識してみて欲しい。
呼吸に少し余裕が生まれ、息継ぎをするために両手をかくことを意識すれば最後までしっかりと水をかけるようになり、バタフライ本来のタイミングに自然と近づく。
さらに、頭は意識しておでこから水に突っ込みながら、その突っ込むタイミングで、腕を前に戻す。
この際、指先から入水するのではなく、肩から順番に入水するようなつもりで泳ぐだけで、かなり楽に泳げるようになる。この練習をこなしていくと、実際の競泳の時には、選手と同じタイミングで呼吸が出来るようになり、バッシャン、バッシャンと、水しぶきを上げながら、泳ぐ、かっこ悪いバタフライとおさらばできるので、試してみて欲しい。
※キックをし終わった後なので、足が元(上)に戻るタイミングなので、頭があげやすい。
※そして、このタイミングであれば体も沈みづらい。
※呼吸の時間が短いと感じるのであれば、ここで動きを止めて気をつけキックの時の呼吸をしても良い。
※息を吸う前に、完全に鼻から息を吐かせることは言うまでも無い。
両手を水面に上げることを意識させしすぎる指導の弊害
※タイミングも取れていない生徒に対して、リカバリーの手の形(水の抵抗を受けない時点)を指導している指導員が居るが、これは本末顛倒と言わざるを得ない。
(あんたら、プロだろ?それじゃ・・・いつまで経っても泳げるようにはならないよ・・と)
実際、スイミングスクールなどに何年も通っているのに、バラフライだけが綺麗に泳げるようにならないという生徒が居るのを見ればわかる通り、形だけの指導は、多くの弊害を生んでいる。
生徒は、「両手をあげなくちゃ」=「早く呼吸をしよう」にばかりに気を取られ、その結果、プールなどで見かける、格好の悪いバタフライが世の中に蔓延する結果を生み出している。
顔をあげ、息を吸ったら、おでこから意識的に勢い良く水に突っ込ませる
この時に「肩」⇒「ヒジ」⇒「指先」の順に水の中に入れるようなイメージで、両手を前に移動させるように指導する。タイミングが取れるまで、この方法で泳がせて見て欲しい。
早い子は、最初の指導だけで、そのままバタフライを泳ぎ始める。
しかも綺麗に
もしも、顔をあげることが難しい生徒が居たら、もう一度、気をつけキックをやらせてみよう。
このタイミングさえつかめれば、バタフライがそれほど、特殊な泳ぎではないことがわかる。
自分の泳ぎが見えていないため、今までの自分のバタフライのイメージと違いがあるかもしれないが、実際にはこのようなタイミングを取ることを意識することで、バタフライ本来の美しく華麗な泳ぎになる。
指導員は、実際の泳ぎと、生徒が感じているタイミングとの違いが理解できていない人が多い。
この意識の違いを理解することで、バタフライの指導は非常に楽になり、バタフライが上手に泳げない生徒が居なくなるはずだ。