作家・宮島未奈による人気シリーズ『成瀬』シリーズ。
このたび、シリーズの完結編となる『成瀬は都を駆け抜ける』が発売の運びとなりました。
滋賀県を舞台に、エキセントリックな女子高生・成瀬あかりとその周囲の人々の愉快な日常を描く物語。今作では、京都大学に進学した成瀬の姿が描かれるそうです。
私もウキウキの気分で書店に駆け込んだのですが、人気作よろしく平積みにされているその本を手にとった瞬間、鈍器で頭を殴られたような哀しみに襲われたのです。
本そのものに対してでは、ありません。
帯です。
このような人気作品の帯には、著名人や文化人の推薦コメントが付くものと相場が決まっています。
『成瀬は都を駆け抜ける』の帯も多分に漏れず、各界の有名人の推薦文がデカデカと掲げられていました。
たとえば、舞台『成瀬は天下を取りにいく』主演の女優・山下美月さんのコメント。
成瀬が愛おしくて、羨ましくて、誇らしい。気づけば涙が滲んでいた。
ふんふん。さすが成瀬役を演じているだけあって、そのキャラクターについての愛着を感じる素晴らしいコメントです。
続いて、滋賀県出身の漫画家、森田まさのりさんのコメント。
読んでて無性に成瀬の顔を描きたくなった。小説読んでてこんなの初めてかも!
なるほど、漫画家という立場ならではの、生き生きとした人物表現を称賛する魅力的な推薦文です。
さらに、京都大学出身の文芸評論家・三宅香帆さんのコメント。
成瀬がいてくれる京大生活を体験できて、嬉しかった!ありがとう成瀬!
ほほう、作中人物と同じ大学にいたという観点から作品への感謝を綴っています。
そして、滋賀県出身のお笑い芸人・ダイアン津田のコメント。
この子やっぱりおもろいな!成瀬の大学生活は、ゴイゴイスー!
⋯⋯⋯⋯は?
あの、新潮社の上層部は止めなかったんでしょうか、コレ。この悲劇を、目前に防ごうとは思わなかったのでしょうか。
新潮社のエラい人(顔は古田新太とか生瀬勝久とかそこらへんのイメージ)が、だだっ広い会議室のデカくてふわふわの椅子に背をのけ反らせ、
「ああ、『成瀬』の帯コメント? ちょうど舞台の滋賀出身のダイアン津田とか最近テレビでよく見るし、ソイツでいいんじゃない?」
と傍らに妾をはべらせタバコの紫煙をくゆらせながらにべもなく言っている姿が、見える見える。
許しません。