手術当日はすっきりとした目覚めでした。

肺炎予防のために、朝はしっかり歯磨きをしました。

そして術衣に着替えた後に家族が来てくれたので、談話室でしばらくお話をしました。

父は二十代のころに神経腫かなんかで腰椎の手術をしたことがあり、我が家唯一の全身麻酔経験者です。

当時の話を聞いていたりしてるうちに八時半になったので、術前の確認のためにベッドに戻りました。

手術当日は大きい手術なのでHCUに一泊予定だったので、T字帯や平おむつ、歯磨きセットなどを小さなバッグに詰めました。

時間になり、歩いて手術室前まで家族と看護師さんと一緒に行きました。

また会えると信じて、お別れは簡単に。

入室すると男女のオペナースが迎えてくれました。

入院時にあいさつに来てくれた女性の看護師さんと名前と手術部位の確認をして、ドアの並んだ廊下を歩いてオペ室に入室しました。

三回目なのでもう慣れたもんです。

オペ台に寝転がり、毛布を掛けられてガウンを脱ぎました。

そしてモニター類を装着。

ルートキープは病室に来てくれた若めの男性麻酔科医。

痛い手背に刺したにも関わらず失敗。

オイ!!

そのせいで反対側の腕に。

「血管を広げる薬ですよ。いやだったらすぐに外しますので言ってくださいね」

そういって、口にマスクを当てられました。

でもこれが最悪の感覚でした。

二~三呼吸したあたりから体の平衡感覚がなくなって、いわゆる気を失う寸前みたいなグラグラ感。

ゆらゆら回転させられながら落ちていくような気の遠くなる感じ。

薬が効いてきて、あ、これダメだ…そう思っても、意識がもうろうとしてやめてくださいとは話すことすらできません。

身体も動かせないし、ただ耐えるのみ。

あとで麻酔の先生に聞いたら臭気ですかね?とのことでした。

臭気麻酔…恐ろしい。

ルートキープが終わったのでマスクを外してくれたけれど、しばらく意識もぼーっとして体も動きませんでした。

なのにすぐに横を向いてください…と言われても無理です。

数回深呼吸をしたら落ち着いてきたので横をむきました。

「これから背中から麻酔の管をいれます」

と女性の麻酔医が言い、しみる感じがします…と局所麻酔の注射をしました。

でも、この先生はすごく上手だったおかげでそんなに痛むこともなく、しかもあっという間に硬膜下麻酔が入りました。

上向きに寝直し、口にマスクが当てられました。

「酸素ですよ、ゆっくり深呼吸してください」

と言われ、5~6回くらいか深呼吸したところで意識がなくなったのだと思います。

私としては数を数えてください、というのがやってみたかったのですが。

というか、酸素じゃなくて麻酔じゃん!!

多分、先ほどの臭気麻酔をものすごく嫌がったのがわかったので、誤魔化したんだと思われます。

でも、二度目のものはグラグラする変な感じがすることなく、すうっと意識がなくなりました。

私の場合は、検査した結果、膵頭部ではなく、膵頭部に限りなく近い膵体部だという事を先生から説明されていましたが、正直お腹を切って見ないと膵頭十二指腸切除術か、膵体尾部切除術かはわからないと言われていました。

完全に膵体尾部切除術ならば、腹腔鏡手術という侵襲の少ない方法もあったのですが、私の場合は門脈と脾動脈に接しており、浸潤してる可能性もあるので、入院までは膵頭十二指腸切除術の可能性の方が高かったんです。
だから、膵頭十二指腸切除術ならば、術後は好きなものが食べられなくなる可能性もあるんじゃないかと思い、入院前は好きなものを食べまくりました。
だから、ストレスで減ったはずの3キロは、あっという間に戻ってしまいました。

入院当日は、子供の誕生日でした。
お祝いを言って、ぎゅっと抱きしめて、心の中でお別れを言いました。
出かける時、私が家を出るのに気づいた子供が泣き出しましたが、誤魔かしてソーっと家を抜け出しました。
鍵を閉めた時、もしかして二度とこの家に戻ってくることがないんじゃないか…ふと、頭を過ぎりましたが、考えても仕方ないのでバスで病院へ。
手続きをして、ベッドに案内され、今度はちゃんと病室や病棟を案内してもらい入院生活が始まりました。
その後、看護師に挨拶をして、手術の流れの確認の中でクリパスをもらったのですが、それは何故か膵体尾部切除術の物でした。
後から先生に聞いたら、みんなで色々相談した結果、こっちの術式でいけるんじゃないか、という事になり、変更したそうです。
あ、ここで失敗したこと。
次の日手術だから、足の毛は夕方シャワーをするときにそればいいや、と半ば放置して病院に来ていたのですが、私はすっかり忘れてました。
弾性ストッキングの測定があることを。
弾性ストッキングというのはきついサポートのきいたハイソックスのことです。
エコノミー症候群て有名だと思うのですが、普段の生活では歩いたり活動して足の筋肉が収縮することによって血管を締め上げ??足にたまる血液を送り返すのですが、術後の患者さんは朝までずっと寝たきりでそういう機能が長時間働きにくくなるため、血液が停滞することによる血栓ができ、動いた拍子に肺などに血栓が飛んでしまうことがあるんです。
それを予防するための弾性ストッキング。
もちろん術当日は夜に専用の機械も足につけますが。
それは専用のメジャーがあってそれではかってサイズを決めるのですが、その日担当についてくれたのは若めの男性の看護師さんでしたので、女性としてはそんな毛むくじゃらの足を見せるわけにはいきません。
帝王切開時も同体重でLサイズとわかっていたので、丁重に測定をお断りできました。
女性の方は、入院前日、手術前日にはしっかりムダ毛のケアをお勧めします!!
その後、アレルギー科の女医先生が診察に来てくれて、問題なし、と。
次に麻酔科医の先生が来棟し、お話し&同意書にサインをしました。
そして夕方ごろから、明日に備えて手術の説明と同意書にサインを書きました。
この説明なのですが、一緒に聞いてくれたのは旦那と父でした。
説明をしてくれたのは肝胆膵外科のナンバー2だろう女医さんでした。
この方は美人で、やはりいい香りのする先生でした。
肺炎球菌ワクチン打つときに外来であっていたので二度目だったんですが、この先生はものすっごく淡々としてるんです。
手術は何が起こるかわからない。
あらゆるリスクに備えて(何かあった場合の訴訟にも備えて)副作用などを詳しく、厳しく説明しなくてはいけないのはわかるんですが、表情も言葉も淡々とし過ぎて、手術が成功しないような気にまでなりました。
この時は正直看護師でよかったと思いました。
でなければ、ただただ怖い説明に不安しかなかったと思います。
私が外科で働いているあいだ術中亡くなった方は一人もいなかったし、術後もともとリスクのある人以外はほとんどみなさん元気に退院されましたから。
説明はあるけどすべて起こるわけでなく、起こったとしても入院中ならばすぐに処置や検査などできるから現代の医療技術ならば対処可能です。
だけど、もう今更どうにもできないし、その夜は何も考えずに寝ました。
 
インスリン治療だけでなく内服も含め、一番怖いのは低血糖だと思います。
血糖が高くてもすぐに倒れることはないけれど、低血糖は対処しないと危険です。
私はインスリン治療が始まって、数回食後に血糖測定したのですが、その中で血糖値71mg/dlが二度ありました。
血糖値は70mg/dlあたりから低血糖症状が出てくるらしいのですが、私の場合は全くその症状はありませんでした。
でも危険なことなので、念のためブドウ糖の多いものを摂取して対処しました。
実際症状が出たのが昨日の夜です。
普通にサラダ、肉少々、オムレツ、ロールパンを一個、エクレアを一個食べまして、洗濯物を畳んだりして二階と一階を往復して一息着いた食後一時間くらいの事でした。
いきなり意識がフワーッとなって、貧血みたいにグラグラして。
あ、これやばいやつだ、となんとなく震える手で血糖値を測ったら48mg/dl。
まずい、マズイ‼︎
冷汗もじんわり出て来たので慌ててカルピス一杯飲んで、ロールパンもう一つ食べて、チョコレートも4個食べました。
冷静になって考えると低血糖でパンやらチョコレートは血糖値の上がりがブドウ糖に比べるとゆっくりなので悪策だったのですが…。
カルピスが効いてくれて、その15分後には74mg/dlまで上昇してくれました。
本当に恐ろしい出来事でした。
インスリンのコントロールは緩めでしてもらっていたので、まさかエクレアも食べたのに低血糖になるとは思わなかったです。

低血糖の症状は人それぞれですが、対処として正しいのは、すぐにブドウ糖10gを摂取して様子を見るのが正解。
飲料で多いのはコカコーラですが、炭酸系は飲むの大変ですよね。
固形で携帯性抜群なのがラムネ菓子。
ただ、量はそこそこ取らないといけないので甘すぎて食べるのが辛い。
あとはドラッグストアなどで売ってるブドウ糖。
ネットではブドウ糖のゼリーが個包装で売ってますので、自分にあったものを探して携帯しておくと安全です。