物作りをする上で、
大事なのは、
イヤな事もイイ事もちゃんと言い合える信頼関係を築く事だと思います。
昔、舞台芝居ばかりしていた頃、
めちゃくちゃ仲良しだった大好きな友達がいました。
でもね、その子、忙しくなっちゃって、
芝居の予習復習が出来なくて、
前日に言われたダメ出しが直っていない。
そればかりか、数日前に言われたダメ出しを繰り返すなど、
芝居に集中できなくなってしまったのです。
生活もあるし、
生活の為にはバイトもしないといけないし、
バイトに追われていれば、寝る時間も取れないし、
だから予習復習が疎かになってします。
わからなくはないのです。
でもね、それって…
―自分を甘やかす為の言い訳だよね?
だと思ったのです。
もちろん大好きな子だったので、
その子寄りの考えに引っ張られそうになりました。
だけど、その時の私は、
演出助手兼任の取りまとめ役だったので、
「友達」のままでいてはいけなかったのです。
全体を見てみると、
その子の事をよく思っていない人も増えてきていました。
皆がみんな、同じような立場なので、
どこかでその子の状況を理解してはいるものの、
「だけど、俺たちも一緒だし」と思ってもいるのです。
なので、苦言を言わなくてはいけなくて、
私は立場上、その子との友情関係が悪化するのを覚悟で言いました。
―忙しいっていうけど、それ、自分だけだと思ってるの?
みんな、同じように生活があって、バイトがあって、
だけどそれでも芝居がしたくて舞台作りしてるんだよ。
自分だけが特別忙しいって勘違いしてない?
何が一番大事なのか、やりたいのか、忘れてない?
芝居が二の次になるなら、もう来なくていいよ。
ダメ出しも直せないような人はいらない。
真剣みの無い人はいらない。
とっとと帰ってバイトでもしてればいいよ。
こんな言い方をしたわけではないですが、
内容はこんな感じでした(笑)
もちろんね、そのお友達は怒りました。
「あんたに何がわかるの!」と思っただろうし、
年下の私に偉そうに言われてむかついただろうし、
もうね、本当に険悪になりました。
なので、この時に、
大好きな友達だったけど、明日から友達じゃなくなる覚悟をしました。
その日は一言も話す事もなく稽古が終わって、
解散となりました。
そして翌日、稽古の時に、
その子が言ったのです。
「おはよう!」
いつものように、明るく、気さくに、今まで通り。
思わず、
―え? 怒ってないの?
昨日、めっちゃムカついてたよね?
と聞いちゃいました。
そうしたら、その子は言ってくれたのです。
「そりゃ、ムカついたし、何偉そうな事言ってんだって思ったよ。
だけどさ、言ってる事が正しかったんだよ。
家に帰って、冷静になって、そう思った。
そうしたら、言いにくい事を言ってくれたんだって思って、
逆に申し訳なく思ったんだよ」
もうね、この時の嬉しさと言ったら、
今でも覚えています。
でね、照れ隠して、
―年下にそこまで言われて平気なんてバカなの?w
なんて言っちゃったくらいです(*≧艸≦)ププ☆
その子も「うん、バカなんだね♪」って返してくれました。
その時のお芝居は大成功を収めました。
その子も心を入れ替えて懸命に稽古についてきてくれたので、
あまりよく思ってなかった他のメンバーも、
その子の頑張りを認めて、
結果的に絆が深まったのです。
皆が皆、心身ボロボロになってやり遂げた舞台だったので、
打ち上げの時はみんな号泣してました。
この時の経験があるので、
私は上辺だけ取り繕って、
イイ事ばかり言う人は居心地が良いけど、
私の事を想って苦言を呈してくれる人も尊敬しています。
誰だって嫌われたくないだろうに、
そんな中、あえてイヤな事を言ってくれるのです。
それが自分の為を思っての言葉なら、
冷静になればちゃんとわかるはずです。
もちろん物作りは良い事ばかりじゃないので、
途中で投げ出したくなるようなイヤな事もあるけど、
最終目的が同じところを向いていれば、
一緒に最後まで作り上げられると思うのです。
私は、この子からその事を教わりました♪
もちろん、今でも大好きな友達で、
ずっとず~っと仲良しのままです♡
お芝居を始めた最初の頃に、
こういう経験が出来た事は、
本当にラッキーだったなと思います。
なので、これからも、
物作りをしている限りは、
イヤな事もイイ事もちゃんと伝えていこうと思います。
それが、最終目的に辿り着いた時に、
本当の意味で、成功を分かち合える絆になると思うからです♪