英国発。障害を持つ人をメインキャストにユーモアたっぷりに仕上げたCMで好感度UPの菓子ブランド | 【スゴい★PR】PRの本場アメリカ発 最新情報&事例

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ということでPRの本場アメリカを主に海外メディアに取り上げられた最新PR事例を中心にブランディングやマーケティングの成功(時には失敗)事例をお届けしています。

 

■今号のスゴい★PR事例■

 

 

 

 

 

 

英国発。

障害を持つ人をメインキャストに

ユーモアたっぷりに仕上げたCMで

好感度UPのチョコレート菓子ブランド

 

|スゴい★PR《海外マーケティング最前線》

 

 

 

 

 

 

 


読者の皆様、こんにちは。

 

 

 


今回は、イギリスで人気のチョコレート菓子、モルティーザーズがオンエアして話題になったチャレンジングなCMをご紹介したいと思います。

 

 

 

 


Picture:Screen shot from Maltesers Official Website

 

 

 


モルティーザーズの販売開始は1937年。イギリスのほか、アイルランド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどで人気のチョコレート菓子です。クリスプなモルトをミルクチョコでコーティングしたチョコボール菓子で、発売当初は"energy balls"と呼ばれ、ダイエットに敏感な女性をターゲットにしていたのだそうです。

 

 

 

 

さて、今月初旬に開催されたリオパラリンピックに合わせて、イギリスではChannel 4が同社が展開する'Year of Disability'キャンペーンの一環として主催した、'Superhumans Wanted competition'というCMコンテストが実施されました。

 

 

 

コンテストの勝者には、パラリンピック開会式の中継放送中のCM枠(100万ポンド(130万ドル、およそ1億3000万円)相当)が贈られることになっていたもので、CM内容の条件として障害やハンディキャップ(disability)を持った人々が持つ才能やタレントが取り上げられていることがありました。

 

 

 


そしてそのコンテストで90作のエントリーの中から見事グランプリを獲得したのが、モルティーザーズでした。

 

 

 


Picture:Screen shot from Maltesers Official Youtube Video

 

 

 

 

現在、"Look on the light side"というキャンペーンを継続的に実施しているモルティーザーズ。"物事や人々の明るく楽しい一面を見よう、見つけよう!"とメッセージを発信しています。

 

 

モルティザーズは、この基本コンセプトをキープしながら、障害やハンディキャップを持つ人とその多様性、彼・彼女らが持つ親しみやすくファニーでユーモアあふれるキャラクターに焦点をあてた3つのCMを制作しました。

 

 

 

 


まずは、こちらのCMをご覧ください。

 

 

 

公園のピクニックテーブルで3人の女友達がゴシップ話に花を咲かせています。

 

 

" NEW Maltesers Ad | New Boyfriend "

 


 

 

 

 

話題の中心にいる女性は、実際に脳性麻痺を持つ女優のStorme Toolisさんです。彼女が、新しいボーイフレンドとイチャイチャしていた時のことを話しています。

 

2人のムードが高まったときに、発作が発生してしまったという彼女。女友達が、それはタイミングが悪かったね・・・と同情しかけたところ、ボーイフレンドはがっかりしなかったと彼女は言います。

 

そして、モルティーザーズの袋を握って、発作の震えによって起きたことではありますが、性的な動作を連想させる動きで袋の中身をぶちまけます。そして、3人は驚きから爆笑に・・・というストーリーです。

 

 

 

 

 

続いてはこちら。四肢にハンディキャップを持つ女性が、友人の結婚パーティーに参加した時の話をしています。

 

 

" NEW Maltesers Ad | Dance Floor "

 

 

 

 

参加者が楽しくダンスをするフロアで、あろうことか新婦の足を車いすでひいてしまったことを、チョコボールを長財布で叩き潰しながらユーモアたっぷりに暴露しました。

 

 

 

 


そして、3つ目のCMがこちら。

 

 

" NEW Maltesers Ad | Theo's Dog "

 

 


 

 

 

 

友人の男性の家を訪れた、聴覚に障害を持つ女性。友人の飼い犬がじゃれて彼女にジャンプしてきて、彼女の補聴器を食べてしまったというストーリーを手話で話しました。

 

明日中には返してくれると言われた補聴器ですが・・・苦笑ですよね。

 

 

 

 

 

実はいずれのストーリーも、実際にハンディキャップを持つ人から寄せられた実話に基づいたもの。演じるキャストも、障害者を支援する団体の協力を得て実際にハンデディキャップを持つ人から選んだのだそうです。

 

 

 

そのメイキングはこちらでどうぞ。

 


" Maltesers | Look on the Light Side of Disability | Behind the Scenes "

 

 


 

 

 

 

 

オンエア後は、概ね「よくやった!」、「とても賢い手法」、「最高!吹き出さずにはいられなかった。」など、モルティーザーズの挑戦を称える評価が障害を持つ人、そうでない人両サイドから、SNS上に続々と寄せられていました。

 

 

 


Picture:Screen shot from Maltesers Official Facebook Page

 

 

 

 

モルティーザーズを有する英マーズチョコレート社のVPであるMichele Oliver氏は、今回のチャレンジングなアプローチについて以下のようにコメントしています。

 

 

 

“As one of the UK’s biggest advertisers, we have a responsibility and a role to play in reflecting diversity in everyday media. This is a first step for us."

 


「イギリスでも主要な広告主の一つとして、我々にはあらゆるメディアに多様性を反映する責任があるのです。これはその第一歩です。」

 

 

 

 

 

※Maltesers Ofiicial Website
https://www.maltesers.co.uk/

 

 

 

 


※ニュースソース

 

※METRO
http://metro.co.uk/2016/09/08/channel-4-disability-joke-went-down-well-6116012/

※Daily Mail UK
http://www.dailymail.co.uk/femail/article-3779344/Cheeky-Maltesers-advert-sends-viewers-frenzy-female-star-makes-rude-hand-gesture.html

※CREATIVITY
http://creativity-online.com/work/maltesers-dance-floor/48908

※Campaign
http://www.campaignlive.co.uk/?src_site=brandrepublic

 

 

 

 

 


■編集後記■

 

 


 

読者の皆様、こんにちは。

 

 


スゴい★PR編集担当の秦泉寺 明佳です。

 

 

 


今回ご紹介したCM3作品をご覧になって、読者の皆様はどんな感想を持たれましたか?

 

 

 

CMがオンエアされるや否や、様々な反応がイギリス中から寄せられたのは言うまでもありません。

 

 

ハンディキャップを持つ方が体験した、面白おかしい&ちょっぴり恥ずかしいエピソードをユーモアたっぷり、しかも性的な内容を伴って、ブラックジョーク交じりに展開したCMがこれまでにあったでしょうか。

 

そしてこれらのCMが、多数の人が注目しているパラリンピック開会式の中継時のCM枠で放映されたのですから、テレビ局、制作会社、企業、それぞれの強い決意と意志が感じられますよね。

 

 


私は、「わー、こんなCMが作れる&流せるなんてスゴい!(でも大丈夫かな・・・)」と、すぐに弱気になってしまいましたが、世間の反応は概ね好評価だったようです。

 

 

 

 

 


アメリカでは見かけないモルティーザーズですが、モルトをチョコレートで包んだチョコボール、私の好きなタイプのチョコ菓子なんですよね。商品も、機会を見つけてぜひ手にとってみたいところです。

 

 

 

 

 

 

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