【今週の真似したいPRの切り口 FROM US】
去る11月2日に行われた、アメリカの中間選挙では、共和党の予想以上の
圧勝で幕を閉じた。この結果、下院では少数派に転落した民主党は、今後
この歴史的大敗の結果、ねじれ状態となった上院と下院の中で、難しい
政局運営が迫られている。
さて、そんなアメリカ中間選挙の過程で、大きなブランドプロモートの機会
を、幸運にも得たのが、今回紹介するセブンイレブンだ。
※7-Eleven Website
http://www.7-eleven.com/
今回の一件、そもそもの発端は、中間選挙前の遊説中にオバマ大統領が
行った演説にある。
先月7日にメリーランド州のボウイ州立大学でオバマ大統領が行った演説の
中で、下記のような一節があったのだ。
「While The Democratic Party was sweating and pushing to get the
US economy out of a ditch,The Republicans... are just standing
there fanning themselves -- sipping on a Slurpee.」
「我々民主党が汗をかいて、米国経済の立て直しに取り組んでいるにも
かかわらず、その間共和党は、ただ左うちわでSlurpeeをすすりながら、
傍観しているだけだ。」
日本のセブンイレブンでは、残念ながら販売されていないのだが、
演説の中に出てきた、「Slurpee」は、実はセブンイレブンで販売されて
いる、フローズンドリンクの商品名だったのだ。
ちなみに、アメリカのある政局ウォッチャーによれば、オバマ大統領は
中間選挙前の過去2カ月の遊説中に、およそ20回はこの「Slurpee」を
共和党とかけて演説していたという。
もともと、この「Slurpee」は、アメリカでは知名度もあり、また夏場
を中心に人気のフローズン・フレイバードリンクではあるのだが、
ある固有商品を、かの大統領が、しかも大切な中間選挙の遊説中に
何度も言及したとなれば、その宣伝効果は抜群。
また特に、対抗陣営を揶揄する表現やコメント（ある意味、失言とも
言えるのだが）は、もちろん各メディアがこぞってニュースにも
取り上げるため、さらにその知名度と影響度が増したというわけだ。
さて、これに対し当のセブンイレブンの広報担当は、AFP通信に対して、
下記のようなコメントを発表し、その対応も含めて、より一層の
人々の関心を集めることになった。
「Slurpee is bipartisan, but we thank President Obama for the
free advertising for our popular drink」
「Slurpeeは超党派ですが、セブンイレブンは私たちの人気のドリンクを、
無料で宣伝してくれたオバマ大統領に感謝を表します」
と、ここまでが中間選挙までの話しなのだが、今月2日に中間選挙が終了
してすぐ、セブンイレブンはこの好機をさらに有効に活用しようと、とても
スピーディーに次の一手を打って出たのだ。
それが、「Purple for the People」というスペシャルフレイバーの
ドリンクコンセプトとともに、11月5日にダラスからスタートした
「Slurpee Unity Tour」と名付けられたキャンペーン展開だ。
ちなみに、今回の特別フレイバーの名前にもなっている、「Purple（紫）」
は、アメリカの国旗でもあり、国を代弁するカラーでもある、「赤」「青」
を混ぜ合わせてできあがる色。
実は、今回の一連のキャンペーンについて、セブンイレブンの広報担当は、
「The more people that drink Slurpees, the happier we are.
Republicans, Democrats, independents, tea partiers, whoever.」
「より多くの人々がSlurpeeを飲んでくれれば、私たちはより幸せに
なります。共和党員、民主党員、無党派員、ティーパーティ、誰で
あろうとも。」
というコメントを発信しており、また、キャンペーン名にもあるように、
「Slurpee」を通じて、人々の関心が高まり、アメリカ国民としてより
強固に結束することを実現したいとのだと、その取り組みを説明して
いる。
実は、今回のダラスからスタートしたキャンペーンは、そのゴールである
ホワイトハウスのあるワシントンまで、アメリカ各地のセブンイレブン
で横断的に展開される「Slurpee」の無料配布キャンペーンなのだ。
※Slurpee Facebook page
http://www.facebook.com/Slurpee
FacebookやTwitterを通して、その状況や、次に無料配布が実施される
場所の告知が行われているのだが、Facebookではすでに200万人を
超えるファンを獲得している。
さらに、今回のオバマ大統領の「Slurpee」発言から、今週18日に
開かれる予定の議会に対して、名付けられたのが、「Slurpee Summit」。
セブンイレブンはこの会議の場において、オバマ大統領が望むのであれば、
アメリカを代表する、「赤」と「青」でデコレーションされた「Slurpee」
ミキサーを議会に運び入れて、「紫色」のスペシャルフレーバーのドリンク
を提供する準備もできているとのコメントも、合わせて公式に発表している。
ちなみに、実際に「Slurpee」がドリンクとして提供される会議となるか
否かは別として、この一連の騒動に対し、あるレポーターにコメントを
求められた当のオバマ大統領は、
「I might serve ... they're delicious drinks.」
「（Slurpeeを）サーブするかもしれない。美味しい飲み物だから」
という返答を返したというのだから、さすがはジョークとユーモアの国
アメリカの大統領だとも言える。
【今週の目ウロコ度】
４ウロコ
「Winning the lottery is an unexpected windfall.」
＝棚からぼたもち
【編集後記】
メルマガ読者の皆様、こんにちは。編集担当の秦泉寺です。
今回のトピックス、いかがでしたか？
さすが、アメリカ、ユーモアの国！と、天晴れを送りたくなって
しまった今回のセブンイレブン、並びにオバマ大統領の対応でした。
ちなみに、この記事を書くにあたってのリサーチで学んだのですが、
実は今回の「Slurpee Summit」ならぬ、「Beer Summit」が既に昨年
オバマ大統領によって開かれていたとか。
また、歴史を少しさかのぼると、1959年には、当時のアメリカ大統領
であったリチャード・ニクソン氏と、ソビエト首相のニキータ・
フルシチョフ氏との間では、「Kitchen Debate」なるものも行われ
ていたそうです。
日本でなら、「お茶漬け会議」？「日本酒サミット」？
いずれにせよ、政治とその商品への関心をかき立てられずには
いられなくなりそうです。
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