【今週のシナリオ】
先日、毎年恒例のある調査結果がアメリカラスベガスで、Information
Resources Inc.(IRI)から発表された。
それは、昨年2008年に最も成功した(売り上げた)商品は何だったのか?
というものであり、調査結果はいくつかの部門にわかれて発表さわれた。
食品・飲料部門の昨年の調査結果は、以下の通り。
■2008 New Product Pacesetters
~Top 10 Foods and Bevarage Brands
1位:G2 $159.1
2位:Dunkin' Donuts Coffee $111.6
3位:Healty Choice Cafe Steamers $95.2
4位:Progresso Light $75.0
5位:Hormel Compleats $71.3
6位:DiGiorno Ultimate $61.4
7位:Sminoff Ice Flavors $61.1
8位:Diet Pepsi Max $60.9
9位:Tyson Any'tizers $58.9
10位:Doritos Collision $57.7
※Year-one dollar Sales(in million) across food,drug and mass
(excluding:Wall Mart)
この結果、1億5900万ドルを売り上げて第一位になったのが、PepsoCo Inc.
(以下:ペプシコ)の、「G2」という低カロリースポーツドリンクだった。
ペプシコは、現在全世界200カ国以上で食品、飲料を製造・販売する
多国籍企業。1965年創業の同社は、現在アメリカニューヨークに本社を置い
ている。代表的なブランドは下記の通り。
・Pepsi-Cola(Pepsi/Diet Pepsi)
・7up
・Gatorade
・Tropicana Products
・Frito-Lay(Doritos)
今回、1位を獲得した「G2」は同社の清涼飲料水(スポーツ飲料)ブランド
「Gatorade(以下:ゲータレード)」の新商品だった。
ゲータレードは、スポーツ飲料の草分け的な存在。日本でも、サントリーフーズが
ライセンス契約を結び、販売が行われている。全世界80カ国以上で販売されており、
そのラインナップは、「Gatorade Thirst Quencher」「Gatorade Tiger」に、
「G2」がある。G2は、2007年9月に販売を開始したゲータレードの低カロリー
バージョンで、そのカロリーはオリジナルの約50%まで引き下げられている。
言うまでもなく、オリジナルのゲータレードはこれまで圧倒的な知名度とシェアを
誇ってきた。しかし、ペプシコでは、ある消費者の動向を察知したことから、
このG2の開発・販売に踏み切った。
それは、既存の「ヘルシー」をうたい文句にした飲料、例えばゲータレード
やVitaminwaterなどですら、実は意外に高カロリーであるということに、
消費者が気づき、警戒しはじめたという事実だった。
消費者に、「本当にヘルシーなスポーツ飲料」を求める欲求が高まって
きていたのだ。
こういった消費者の動向と、炭酸飲料の売り上げ鈍化傾向に対する危機意識
から、ペプシコは過去6年間で最も大規模に開発・販売を行う商品として、
このG2が登場したのだ。
とは言え、毎年アメリカで何百という種類が販売される飲料業界の中で、
消費者の注目と支持を集め、売上第一位を獲得するのは並大抵のことでは
ない。
また、実はペプシコは、以前にゲータレードの低カロリー版である、
「Gatorade Light」を販売したことがあった。1990年当時、それは消費者
の心をつかむことができず、結果的に失敗に終わった苦い経験を持って
いたのだ。
では、今回はどのような仕掛けを施し、売上第一位を獲得するにいたったのか?
まずは、同社が「消費者側の成熟」を見極めたタイミングでの発売だった
というタイミングが関係している。
そしてさらには、単なる「低カロリー、ヘルシーなスポーツ飲料」という
商品コンセプトから一歩踏み込んだ商品戦略(プロモーション戦略)と、
マーケティングキャンペーンの展開があった。
「アスリートが飲む飲料」
「スポーツをする時に飲む飲料」
これは、当たり前のスポーツ飲料のコンセプトであり、オリジナルのゲータ
レードももちろんそうである。
しかしこれらの基本コンセプトに、「ヘルシー」を掛け合わせるだけでは
不十分だったと、ゲータレードのマーケティング責任者であるカーラ・
ハッサン氏は述べています。
そこで考えられたコンセプトが、
「off-the-field hydrator (場外のハイドレーター)」
↓
「アスリートがトレーニングや競技を行っていない時に飲む飲料」
つまり、アスリートが最高の状態で本番に臨めるように、日常の場面から
コンディション作りをサポートする飲料という位置づけにしたのだ。
G2は、オリジナルのゲータレードと同じだけの電解質を含んでいるため、
「従来のスポーツを行っている時にも適した飲料であるが、それだけではない」
ということを示し、手に取る消費者の範囲と、その機会を広げようと
したのである。
2007年9月に販売が開始されたG2であるが、店頭でそのシェアが高まった
のは、2008年に入ってからだった。
同社は、まず2007年12月に消費者の興味・関心を喚起させるユニークな
広告をスタートした。
その15秒CMでは、ある誰のものとはわからない足が、徐々に野球場と
バスケットボールコートへとモーフィングしていく都市を闊歩している
映像が流された。そこに、「This time 」「Gatorade changes the game」
「off the field」というテロップと、商品名である「G2」が表示され、
「Coming Soon」のテロップで締めくくられるものだった。
このCMは、消費者に、「G2って何?」「この足は誰のもの?」といった興味
・関心を喚起し、話題となり、一気に「G2」への注目度を高めた。
※15Sec CM : http://www.youtube.com/watch?v=pbOFxFZ0YsM
そして、これに続く(その回答ともなる)第二弾が、2008年のスーパーボール
シーズンに放送された。
フルバージョンのCMでは、その足の持ち主が、Miami Heat(マイアミヒート)の
Dwayne Wade選手と、New York Yankees(ニューヨークヤンキース)のDerek
Jeter選手のものだったことが明かされ、「The next game begins when
the last one ends」というコメントで絞められている。
※Full Ver. CM Derek Jeter : http://www.youtube.com/watch?v=pa3KYcsU8ks
また、同社はこのフルバージョンの放送開始以前に、30秒バージョンのCMを
オンライン上ではリリースし、継続的に消費者の関心をあおっていた。
また、こうしたスポットCM以外の印刷広告物などでも、同じコンセプトを
貫き、また常に消費者に謎かけをしながら、少しずつ商品の全体像を
明らかにしていく手法を展開した。
その結果、消費者の間で「G2」が話題になる場面が増加し、結果として
商品認知度が高まり、高い売上を生んだのだ。
以降、現在も、様々な競技分野のアスリートを起用したプロモーション・広告
展開を続けている。同社の商品ウェブサイトでは、起用されたアスリート
達がそのプロフィールとともに紹介されている。
G2の大ヒットの陰には、このようないくつかの要素があった。
①消費者の「本当にヘルシーな飲料」を求めるニーズの高まりに応える
商品設計とその販売タイミング
②「スポーツをしていない時」に飲む「スポーツ飲料」という新しい
コンセプト
③②による、新しいマーケット開拓、販売チャンスの拡大
④消費者の興味・関心を惹く、プロモーション戦略
過去の「Gatorade Light」の失敗を見事に克服した同社。
日本での販売はまだ未定のようだが、販売が決定すれば、どのような戦略で
上陸してくるのか楽しみだ。
※PepsiCo Inc. Corporate Website: http://www.pepsico.com/
【今週の真似したいPRの切り口 From USA】
先日、昨年2008年に最も成功した(売り上げた)新商品がアメリカ
ラスベガスで発表された(Information Resources Inc.(IRI))。
その食品・飲料部門で1億5900万ドルを売り上げて第一位になったのが、
PepsoCo Inc.(以下:ペプシコ)の、「G2」という低カロリースポーツ
ドリンクだった。
ペプシコは、現在全世界200カ国以上で食品、飲料を製造・販売する
多国籍企業。1965年創業の同社は、現在アメリカニューヨークに本社を置き、
代表的なブランドには、ペプシコーラ、フリトレー、トロピカーナ
そしてゲータレードなどがある。
年間100もの新商品が出るといわれるアメリカ飲料業界の中で、なぜ
この「G2」はこれだけの売上を上げることができたのだろうか?
「G2」は2007年9月に発表された、ゲータレードの低カロリー版だ。
商品開発のきっかけとなったのは、炭酸飲料や清涼飲料水の販売鈍化
傾向と、消費者の「本当にヘルシーなスポーツ飲料」を求めるニーズの
高まりだった。
ペプシコは同社の新たな看板(基幹)商品を求めていたのである。
そうして登場した「G2」であるが、実はペプシコは以前に「Gatorade Light」
という低カロリー商品を販売し撤退した苦い経験を持っていた。
そこで、同じ失敗を繰り返さないためにも、商品コンセプトを考える段階から
知恵を絞ったのだ。つまり、単なる「ヘルシーなスポーツ飲料」では、
インパクトがないと考え、新たな「ヘルシーなスポーツ飲料」のコンセプト
を発表し、一貫してプロモーション戦略に盛り込んだ。
そのコンセプトとは…、
「off-the-field hydrator (場外のハイドレーター)」
↓
「アスリートがトレーニングや競技を行っていない時に飲む飲料」
アスリートが日常の場面で飲む飲料として売り出したのだ。「G2」は、
オリジナルのゲータレードと同じだけの電解質を含み、「従来の
スポーツ時にも適した飲料であるが、それだけではない」ということを
示し、手に取る消費者の範囲と、その機会を広げたのだ。
同社はまた、このユニークなコンセプトを面白い手法で消費者に
アピールした。
CMや印刷広告では、段階的に商品の全体像や、CMまたは広告自体の
全体構成を明らかににしてく手法で、消費者の関心を惹き、注目度と
認知度を高めた。また、ニューヨークヤンキースのDerek Jeter選手を
はじめ、著名なアスリートをスポークスマンとし、彼らに「G2」を
語ってもらい商品の価値を高めた。
※15Sec CM : http://www.youtube.com/watch?v=pbOFxFZ0YsM
※Full CM Derek Jeter : http://www.youtube.com/watch?v=pa3KYcsU8ks
こうして、これまでに無かった「スポーツ飲料」のコンセプトを提示し、
新たな市場をつくり、また販売チャンスを拡大したこと、さらに
消費者の興味・関心を集めるプロモーション戦略の実行によって、
「G2」はペプシコ社の新たな看板商品になったである。
※PepsiCo Inc. Corporate Website: http://www.pepsico.com/
【今週の目ウロコ度】
4ウロコ
「破天荒解」科目
今まで誰も成し遂げなかったことをやりとげること。
【編集後記】
【スゴイ★PR】編集担当の秦泉寺 明佳(じんせんじ さやか)です。
「スポーツ飲料」…だけど「スポーツしない時に飲む」飲料。
既存の商品が、利用者の「オン」の場面に対して提供されていたことから、
同じターゲットの「オフ」の場面を想定し、そのニーズに対し新たに
商品やサービスを提供する。面白い発想だなと思いました。
また、CMなどをストーリー仕立てにし小出しに情報発信をしていく方法
は、日本でもよく見られるようになってきていますが、謎かけの答えを
探したい、知りたいという人々の欲求を上手に利用した効果的な手法だと
感じました。
それにしても、「G2」。味はどうなんでしょうか・・・?気になります。
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