替え針はレコードプレーヤーのメーカーごとに仕様が違う。しかも発注は小ロット。CDなどデジタル媒体の普及でレコード自体が時代遅れとなり、同業他社は次々と撤退していった。「田舎の町工場が生き残るには、よそがやらない面倒なことをやるしかない」という信念で少量多品種生産に勝負を賭けてきた。
現在、同社で作っている針は2200種類、カートリッジの金型もすべて揃っている。針先のダイヤモンドを溝の形に合ったひし形に改良して録音時の音を再現したり、振動を電気で伝えるレバーの素材もルビーなど音を伝えやすい硬い素材にしたりするなどの高付加価値化に向けた取り組みを熱心に行った。その結果、価格は普及品の5倍になったが、音質の良さが世界のファンの心をつかみ、オンリーワンの座を獲得することになった。
『日経産業新聞』2017/02/15付。
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