1955年の作品
圭子(野添ひとみ)と、俊子(中原ひとみ)の姉妹は、
山の中の発電所の社宅に住む、両親のもとを離れ、
学校に通うために、都会の伯母の家に、お世話になっていた。
姉の野添は17歳、5人姉弟の長女のせいか、家庭的な大人しい性格だが、
妹の中原は、3つ年下で、典型的な天真爛漫タイプの少女だった。
中原は、年の割に背が低いので、「近藤のちび」、
そのため、「こんち」というあだ名で、呼ばれていた。
姉妹の伯母、お民(望月優子)のつれ合いの、銀三郎(多々良純)は、
大工の棟梁で、大の酒好きである。
時には、諍いもあるとはいえ、夫婦共、至って、好人物で、
姉妹は、この庶民的な伯母夫婦に愛されながら、すくすくと成長していた。
中原は、ある日、同級生の、としみ(野口綾子)の家へ遊びに行き、
としみの姉(田中稲子)と、弟が、2人共、障害者なのを知って、
幸福は、金で求められるものではない、と思った。
冬休みがきて、2人の姉妹は、山の中の父母の家へ帰り、
久し振りに、戻ったわが家で、近所の青年男女と共に、つつましく、楽しい正月をすごした。
新学期がきて、姉妹は、伯母の家に戻ったが、
そこで、近所に住む、貧しい、はつえ(城久美子)の家族と知り合ったり、
花札とばくで、伯父が警察へ連れて行かれたりする、というような経験をする。
やがて、野添は、高校を卒業し、中原は、寄宿舎へ入った。
山の発電所にも、人員整理の波が押し寄せ、真面目な父親の健作(河野秋武)は、
周囲の人々の、苦しい生活をはばかって、中原の修学旅行をも控えさせたが、
中原は、そうした悲しみにも耐えることになる。
やがて、野添の嫁ぐ日、が来る。
中原は、野添が、正月のかるた会でも一緒だった、岡青年(内藤武敏)
と好き合っているのに、どうして、結婚しないのだと、納得できないでいたが、
結局、嫁いでいく姉、を見送った、というお話。
私は、相当な映画好きで、しかも、女好きなので、
銀幕の中の女優に、いつでも、恋をしている。
むしろ、好きじゃない女優って、いるんだろうか、って、考えてしまうくらい、
好きな女優ばかりだな、って思っている。
しかし、その中でも、突然、誰かに、
「好きな女優は誰?」って、質問されたら、
私は、間髪入れずに、即答できるのが、芦川いづみ、浅丘ルリ子、松原智恵子、
そして、野添ひとみ、だと思う。
もう、それくらい、私は、野添ひとみが、大好きなのだ。
ただし、おそらく、私と同じくらい、彼女を好きな男が、あまりにも早く、現れてしまったため、
彼女は、23歳で結婚、25歳という若さで、一旦、銀幕の世界から、退くことになってしまった。
まあ、だからこそ、私の心の中で、「完全無欠の正統派天使」のまま、なのかもしれないが。
だからこそ、いつも、考えてしまうのが、彼女が、もし、川口浩と、出会わなければ、
そして、松竹のままで、大映に移籍していなければ、
野添ひとみは、間違いなく、松竹のトップスター、になっていたんじゃないか、って。
松竹の女優と言えば、誰だって、倍賞千恵子、を思い浮かべるに違いない、と思う。
でも、私は、胸を張って、野添ひとみ、だよ、って。
そんな情景が、目に浮かぶのだ。