ひどい生活保護バッシングを見かけたので、
今回は生活保護について書いていきます。
日本の生活保護制度で最大の問題点は、捕捉率の低さです。
私は、地方自治体に「生活困窮者の早期発見」を義務づけるべきだと考えています。
すでに厚労省はコロナの感染状況を確認するためにLINEを使っているのですから、
生活に困っていないかどうか、同じようにLINEで呼びかければよいだけです。
それだけで生活困窮者が行政にアクセスしやすくなります。
同時に、生活保護費の国庫負担を100%に引き上げ、自治体職員がいわゆる水際戦術を取る動機を完全に失くしてしまえばよいとも思います。
国費負担が100%になれば、生活保護者の補足率が《適切な数に近づくほど》、地方に回るお金の量が増えることになります。
現実に、生活保護受給者の「消費」は地方経済にとって極めて大きな意味を持ちます。
保護費支給日(毎月3日)が飲食店の書き入れ時となる街もあるほどです。
無論、そうした消費ばかりを頼りにする経済ではいけませんが、
生活保護バッシングがナンセンスであるひとつの理由、生活保護が国と地域にとって不可欠である(知られざる)一例として、ご承知おきいただければ幸いです。
昨年には、10万円の特別給付金を生活保護受給者にも給付するかどうかの議論がありましたが、
私はかなり早い段階から、断固、保護費と別枠で支給するべきだと訴えました。
その最大の理由は「社会に分断を生むべきでない」との思いからですが、
一方で、生活保護世帯は生活費を「地元で使いきる」傾向が強いので、緊急経済政策として非常に大きな意味があるとの考えもありました。
次回の特別給付金も、出来るなら、同様の給付方法をとるべきだと思っています。
また、地方自治体の方針や財政状況によって、生活保護の受給しやすさが変わってしまう状況は公平性の観点からも好ましくありません。
立法によって、現在の生活保護制度を、公平かつ迅速な福祉に変えていくべきです。
さらに職業訓練を充実させるとともに、事実上の貯金制限(のような制度運用)も撤廃していきたいと思っています。
また、先に書いたことと矛盾するようですが、
追加的な立法を行わずとも、
生活保護の補足率の改善に向けて行政ができることはまだまだたくさんあるはずです。
例えば2009年11月、民主党政権は『速やかな生活保護の決定』を求める通知を出しました。
当時の厚労省は「適用要件の緩和ではない」「生活保護が受けやすくなったわけではない」との見解を示しましたが、
実際には法改正なしに受給申請は円滑化されました。
政治が動けば、生活保護の補足率を改善することは出来るのです。
最後に、その意味において、
ネット上で著名人による生活保護バッシングが吹き荒れたなか、
厚生労働省の公式ツイッターが「生活保護は、国民の権利です」としっかりと発信したことには大きな喜びを覚えました。
厚労省の対応に、心より、敬意を表します。