給与ファクタリングをめぐり集団提訴が始まりました。
本日付けの日経新聞より引用します。
【訴状などによると、利用者9人は給料ファクタリングについて、給料をもらう権利の売買ではなく、実態は貸金だと指摘。手数料の多くは金利に換算すると年率300%前後に上り「民法で定める公序良俗に違反し、無効だ」と訴えた】

 

今回の集団提訴が大きな切っ掛けとなり、給与ファクタリングについては規制も進み、注意喚起も増えていくでしょう。
 

残るは、企業の売掛金や株式を担保に暗躍するファクタリング業者です。
こちらはまだ判例がありません。
しかしコロナ禍によって、この数ヶ月で相当な数の被害が出ているはずです。

 

ファクタリングについては、先日も泉ケンタ政調会長が金融庁に問い合わせを行っています。

政府に対策を急ぐよう、引き続き働きかけて参ります。

 

 

※※※
本日付けの東京新聞に重要な記事が掲載されていました。稲垣太郎記者による報告です。
 

先に要点を引用します。

【ヤミ金業者が著しい高利で貸し付けた場合、元本についても返済する必要はないとする判例もある】
【「弁護士会に連絡してもらえれば、職場に電話をされたり、強引に返済を迫られたりしそうな際も代わりに交渉することが可能」】

 

全文は↓で読めます。
https://amp.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202005/CK2020051302100026.htm

 

 

※※※

<新型コロナ>給料ファクタリングに注意 実態はヤミ金、被害拡大に懸念

 新型コロナウイルスの感染拡大で生活困窮者が増えると予測されるのに伴い、「給料ファクタリング」と呼ばれる金融取引の被害拡大が懸念されている。給料をもらう権利を業者が買い取る形にして金銭を渡し、後日、手数料名目の莫大な利息を加えた金額を戻させる仕組み。金融庁は「実態は違法なヤミ金業者。絶対に利用してはいけない」と警告する。 (稲垣太郎)

 

◆給料「前借り」 LINEで簡単に契約成立

 「お客さまの基本給を買い取りし、それを給料日に買い戻していただく」。記者がインターネットで見つけた業者に電話をして業務内容を尋ねると、若い男性の声でそう言われた。「いくら借りられるのか」との問いには「金融業ではないので『貸す』という概念ない。今はコロナの関係で高額な買い取りはやっていなく、二万円とか三万。二万円だと三万五千円ぐらいで買い戻してもらう」との説明だった。

 ファクタリングとは、未回収の代金を取引先から受け取る権利(売掛債権)を企業から買い取り、自ら回収して資金を得ることを指す。これ自体は通常の商取引に当たる。問題は、給料を借金の担保のように扱う業者が出始めたこと。一般社団法人「日本ファクタリング業協会」(東京)には、昨年五月ごろから被害に遭ったという問い合わせが増え、これまでに約千三百件の相談が寄せられている。

 ネット上には、業者の怪しげな広告があふれている。明るい色のイラストや写真を使い、「借金ではありません」「安心して利用できます!」「即日現金化!」といったうたい文句が並ぶ。被害者の救済などに当たる「東京ファクタリング被害対策弁護団」代表の釜井英法弁護士によると、電話をかけるとLINE(ライン)で身分証明書の写真などを送るよう促され、簡単に契約が成立。あらかじめ手数料を引いた金額を受け取るという流れだ。

◆異常な手数料 「借り続ければ返せなくなる」

 ただ、法律で利息は年20%以下に制限されているにもかかわらず、「手数料は年率換算で低くても200%、高いと1000%を超える。借り続ければ返せなくなる」(釜井氏)。同弁護団によると、五万六千円を借りた二十代の男性は、給料日に七万円を返済したものの再び業者に連絡するようになり、雪だるま式に金額が拡大。最終的に約二十の業者と取引し、ヤミ金にも手を出していたという。

 業者は、貸金業ではなく、手数料には法的な上限はないため違法ではないと主張するものの、金融庁は今年三月、「貸金業に当たる」との認識を示した。ホームページでも「違法なヤミ金融であり、大声での恫喝(どうかつ)や勤務先への連絡といった違法な取り立てを受けたりする危険性がある」などとして注意を促している。

 新型コロナの影響で経済が急速に悪化している。目先の現金が必要だとしても、安易に考えて業者に連絡をした先に待っているのは、多額の支払いだ。各金融機関は住宅ローンや生命保険料の支払いを猶予するとしているほか、各地の弁護士会も相談窓口を設けるなどしている。ヤミ金業者が著しい高利で貸し付けた場合、元本についても返済する必要はないとする判例もある。

 釜井氏は「弁護士会に連絡してもらえれば、違法な契約だから返済する必要はないとアドバイスできる。職場に電話をされたり、強引に返済を迫られたりしそうな際も、代わりに交渉することが可能だ」と話した。

(5月13日 東京新聞 朝刊より)