昨日、改正入管法案が衆議院を通過しました。
これは事実上の移民法です。
憲法改正と同等か、あるいはそれ以上に国のかたちを変えることになる重要法案であるにも関わらず、
国民的な合意を待たず、国会審議が打ち切られたことに強い怒りを覚えます。
今回のブログでは、ロスジェネ世代から見た入管法審議への違和感について書いてみたいと思います。
まず移民受け入れの是非について議論する前に、
「そもそも本当に人手不足なのか?」
を徹底的に問い直す姿勢が、政府には決定的に欠けています。
人手不足とされる業界は、本当に「正当な対価」を掲げて求職活動を行っているのでしょうか?
コンビニ店員や運送業は激務ですが、この人手不足の時代に、それほど給与が上がっているとは思えません。
正当な対価を支払わない企業が人手不足に陥るのは、自己責任以外の何物でもありません。
賃金が低いために日本人が敬遠している例は、相当数に及ぶと想像しています。
であれば、移民を受け入れるのではなく、同胞である日本人の給料を上げる方が先です。
それが保守の思考であり、愛国者の考え方ではないでしょうか?
人手不足は賃金上昇のチャンスでもあるはずです。
なぜインフレを目指しているはずの安倍政権は、外国人労働者を受け入れることで実質賃金を低下させようとしているのでしょうか?
率直に言って、意味が分かりません。
ロスジェネ(就職氷河期世代)には勤労意欲があり、そして能力もありながら、
日本の景気が悪かった時代に就職の時期を迎えたというだけで、この20年間にわたり不当に低い賃金で日本を支えてきました。
失われた20年、日本国内の多くの企業は、
私たちロスジェネ世代を非正規雇用にし、
不当に人件費を削減することで倒産を免れてきた面があるはずです。
それは、各企業の正社員の年齢別分布の統計を見ても明らかではないでしょうか。
そして、ロスジェネ・氷河期世代が家庭を持てず、子どもを作ることができなかった最大の理由は、低賃金であり、非正規雇用です。
現在の人手不足は、日本社会がロスジェネ世代に報いる最後のチャンスのはずなのです。
少なくとも、政治は、彼らを救うためにこそ動くべきです。
それが出来なくて、なにが愛国でしょうか。
本ブログで繰り返し主張していますが、
生まれた時期によって、生涯賃金が極端に変わってしまうようでは、国家の体をなしていないのです。
国の財政政策が間違っていたために生まれたロスジェネを、国は、何度見捨てる気なのでしょうか。
「ロスジェネを雇うよりも、移民を受け入れて安価な労働力に頼りたい」というような企業を、国が応援してどうするのか。
日本国内の企業の経済活動を支えているのは、日本国民の高い教育と倫理、そして「円」の力です。
現政権が進めるような移民政策では、中長期的に、確実に日本の国力は弱くなっていくでしょう。
デフレ脱却など、夢のまた夢です。
労働経済学の専門家であるジョージ・ボージャス氏(キューバ移民、ハーバード大学教授)は、
その著書「移民の政治経済学」のなかで、
<経済効果という観点で言うなら、移民には短期的な効果はない。
とりわけ未熟な労働者を受け入れた場合は、福祉制度に深刻な打撃を与えてしまう。
加えて、雇用を奪われる労働者から安く移民を雇う企業に莫大な富が移転するという事態も招く。>
と論じています。
ポイントは、
<移民受け入れは、雇用を奪われる労働者から雇用者への富の移転の効果を持つ>
という部分です。
安倍政権は、このような批判に、なんと答えるのでしょうか?
たしかに介護業界などの人手不足解消は大きな課題です。
しかし、日本国内の低所得者層の賃金を上げる努力もなしに、移民政策をなしくずしに進めるなど、言語道断の行いです。
さらに、現政権はAIや自動化による人材不足解消については、どう考えているのでしょうか。
AIによる人手不足解消は諦めたのでしょうか?
人材余剰が発生し、
「人手不足が解消したので、すぐに母国に帰ってください」とは言えないはずです。
改正入管法は、移民に対しての扱いも非人道的であり、
日本国民に対しても非人道的な低賃金労働を強いる目的を持ったもので、断じて許すことが出来ません。
移民受け入れの前に、ロスジェネ世代救済のための議論を行うべきです。
※※※
わが党の提出した対案は政府案の修正案として、非常に良い内容だと思います。
私はこの修正案で一時的なルールを確立して外国人労働者を保護しつつ、
政権選択選挙の機会に、移民政策について国民に信を問うべきであると考えています。
すぎむら慎治
★町工場を経営する職人の父の背中を見て育つ
★明治大学 政治経済学部 政治学科 卒業
★日本テレビの情報バラエティを制作
「国民クイズ 常識の時間」(司会:古舘伊知郎・爆笑問題)等を担当
★日本初のネットTV局「USEN-GyaO」
★政治の道を志し、石井一議員の事務所を叩く
クツ磨きとカバン持ちの書生生活を経て、私設秘書として仕える
★私設秘書、公設第二秘書、公設第一秘書として、