8月3日、自民党の行政改革推進本部が厚生労働省の分割案を提言したとの報道がありました。

 

私は基本的には労働省は独立して存在するべきであると考えていますし、

日本の労働環境が急速に悪化した一因には労働省の合併に伴う弱体化があった、との持論を持っておりますので、

今回の提言には注目していきたいと思っています。

 

ただし、本件については、ひとつ大きな危惧があります。

 

かつて、自民党の小泉進次郎議員が中心となってまとめた厚労省分割案は、

労働省の機能がさらに縮小しかねないものに見えたからです。

具体的には、以下のような分割案が提示されていました。

 

(1)<2省分割案>

社会保障(年金・医療・介護)

国民生活(少子化対策・子育て支援・雇用・再チャレンジ・女性支援)

 

(2)<3省分割案>

社会保障(年金・医療・介護)

子ども子育て(少子化対策・子育て支援)

国民生活(雇用・再チャレンジ・女性支援)

 

 

現在の厚生労働省には、仮にも労働省の名前が残っていますが、

上記の分割案では、いずれも「労働」の2文字が消えています。

 

わが国には言霊があり、省庁から労働の文字を消すという発想には政治的意図を感じざるをえません。

 

自由経済を象徴する国であるアメリカ合衆国にも労働省は単独で存在しており、

だからこそ、アメリカの経済は上手く回っている側面もあるはずです。

 

日本政府内に働く人を守ることに特化した組織(省庁)を再建する議論が必要です。

労働行政の改善が構造的になされていくよう、野党の政治家として、しっかりとした論陣を張って参りたいと思います。

 

国民民主党では、

大西健介(衆議院議員)や井坂信彦(衆議院議員)が、厚生労働省の在り方について積極的な質問を行っています。

以下のリンクも是非ご参照ください。

 

「厚生労働省再編案に関する質問主意書」 井坂信彦

 

 

※※※

参考に、本件の報道について読売新聞から引用します。

 

<中央省庁の再々編に向け、自民党の行政改革推進本部(本部長=甘利明・元経済再生相)がまとめた提言の原案が2日わかった。厚生労働省の政策立案を強化するため、分割も視野に業務量の削減を求めていることが柱だ。防災に関する司令塔組織の設置も明記している。月内にも安倍首相に提出し、検討を促す方針だ。


 原案の表題は「2030年を見据えた行政改革についての中間報告」。1府12省庁とした01年の省庁再編について、「数を減らすことで所掌範囲が巨大となり、逆に機動性が損なわれた」と指摘し、「生産性の高い政府」を目指す改革が必要だと強調している。

 

 厚労省に関しては、社会保障分野の重要性が高まったことで「大臣等の国会対応、業務量が極めて多くなっている」と分析し、厚生省と労働省を統合したことによる相乗効果が見られない政策もあるとしている。> (引用終わり)

 

 

 

杉村プロフィール

すぎむら慎治

 

★町工場を経営する職人の父の背中を見て育つ
★明治大学 政治経済学部 政治学科 卒業

★日本テレビの情報バラエティを制作
「国民クイズ 常識の時間」(司会:古舘伊知郎・爆笑問題)等を担当
★日本初のネットTV局「USEN-GyaO」の企画立案と番組制作をプロデュース
★政治の道を志し、石井一議員の事務所を叩く
クツ磨きとカバン持ちの書生生活を経て、私設秘書として仕える

★私設秘書、公設第二秘書、公設第一秘書として、多方面にわたり政治の事務方を担当する