JR北海道が赤字路線の見直しを検討し、3線区を廃止する方向で沿線自治体と協議する方針を固めたとの報道がありました。
民営の会社として、「赤字ならば廃止する」という判断なのでしょうが、
そもそも鉄道路線は黒字であることが目的ではなく、地方の交通インフラのために存在するもののはずです。
赤字路線を廃止すれば、北海道の生活基盤が崩れてしまいます。
JR北海道の収支は改善したとしても、長い目で見て、住民にとっても国家にとっても小さくない損失になる可能性があるのではないでしょうか。
今回の報道を受けて、雑誌「現代」1985年8月号に掲載された田中角栄のインタビュー「国鉄廃止は愚の骨頂だ」を読み直してみました。
いまから30年前、国鉄民営化直前のインタビューですが、現在の事態を予言したような内容であることに驚きます。
角栄は言っています。
「たった100年前に人口4万人足らずの北海道が、今、人口570万人になるためには、彼らがどれだけの苦労をし、辛酸をなめてきたか。北海道の鉄道は全部赤字です。これから百年赤字だ。その代わり、鉄道の赤字の何万倍以上、国民総生産に寄与しているじゃないの。」
「それを短絡的に赤字だから鉄道をはずせと暴論を吐く。」
「何も北海道だけではなく、これは地方のあらゆる都市に共通していることでしょ。そういうことを考えない政治とか経済とかいうものは、もうたわごととしか思えないね、私には」
ここでは、国鉄の民営化それ自体の賛否について踏み込むことはしません。
メリットもデメリットも多くあったことかと思います。
ただし、私は、少なくとも「分割民営化」については見直さなくてはいけない時期が来たと考えています。
JR北海道だけが単独で民営化されれば、赤字路線を多く抱えて経営が苦しくなることは明らかだったはずです。
公共交通機関が収支改善を急ぎ、過剰な人員削減を行えば、事故の発生にもつながります。
インフラにおいては人員のゆとりこそが最大のコンプライアンスであり、これを維持する必要があるはずです。
大都市だけが鉄道インフラの恩恵を享受するような国造りは正さなければなりません。
そもそも、国鉄は日本全国から集めた公金で敷設されたものです。
国会は、早期に、赤字交通機関を維持できる仕組みを確立するべきでしょう。
今年の参議院選挙では、3名定数の北海道選挙区で、民進党の候補者が2人当選しました。
この結果には、現政権の進める「地方切り捨て」に対する批判票も多分に寄与していたことと思います。
「社会インフラの民営化」がもたらした地方経済の疲弊にしっかりと目を向け、
「政府が国民に提供するべきサービス」を安易に民営化することなく、しっかりと堅持していけるよう、今後も政治家として汗をかいて参る所存です。
すぎむら慎治
★町工場を経営する職人の父の背中を見て育つ
★明治大学 政治経済学部 政治学科 卒業
★日本テレビの情報バラエティを制作
「国民クイズ 常識の時間」(司会:古舘伊知郎・爆笑問題)等を担当
★日本初のネットTV局「USEN-GyaO」
★政治の道を志し、石井一議員の事務所を叩く
クツ磨きとカバン持ちの書生生活を経て、私設秘書として仕える
★私設秘書、公設第二秘書、公設第一秘書として、