マンガの中の鍼灸 その2 ~スーパードクターK~ | もぎすのブログ

もぎすのブログ

思ったこととかマンガの感想とか趣味の話を書くところです。

 鍼灸が出てくるマンガを紹介するシリーズ。その2は週刊少年マガジンで連載されてました「スーパードクターK」をいきたいと思います。

 

 現在もイブニングで続編である「K2」が連載中。なんでしょう?「ハードボイルド医療マンガ」とでもいいましょうか(笑)凄腕の医者の一族であるKAZUYA、通称ドクターKが様々な病気やケガを抱えた患者を治していく。その名は世界的にも知られており、時には外国の要人の治療をしたり、宇宙で手術したり、後半はまさかの高校の保健室の先生になったり、シリアスありバトルありギャグあり恋愛要素もちょっとあり、なかなか盛りだくさんです。

 

 作中にはいろんな病気が出てくるのでけっこう勉強にもなります。大学の同期のやつは「試験勉強や」と言って試験の前日にこれを読んでて、たまたまですけど作中で出てきた病気が試験に出るていうミラクルが起きるてゆーね(笑)

 

 で、本題いきましょう。そんなドクターKシリーズにも鍼が出てきます。

 

 5,9,15巻

 

 この3つのお話では鍼麻酔が出てきます。

 

 5巻では顔に酸をかぶってしまった七瀬に植皮手術を行うために、

スーパードクターK 5巻 P.11

 

9巻ではヘリコプターの墜落事故に巻き込まれひどい火傷を負ってしまったカートに対してこれまた植皮手術を行うために、

スーパードクターK 9巻 P.159

 

 そして15巻ではたまにやるK一族の先祖の話で、江戸時代にとある地方の殿様の影武者を仕立てあげるべく、先祖である一範(かずのり)が整形手術を行うというもの。

スーパードクターK 15巻 P.158

 

 で、ここで問題なのが鍼麻酔のやり方。

 

 通常鍼麻酔てのは、いわゆる電気鍼、鍼に電気を通して痛覚閾値を上げて痛みを感じにくくするというもの。わりと強い電気を流し続けないと鎮痛効果が得られません。

 作中に出てくる鍼麻酔は首のあたりにどこからともなく「ピキュン!」と出してきた鍼(というよりは針)をプスっと刺すと鍼麻酔が完了します。

 

 ツッコミどころ満載ですね(笑)

 

 鍼刺しただけでは麻酔効果は出ないし、意識レベルを下げる鎮静効果は鍼麻酔にはないので、これは完全に誤った描写なんですよね。

 

 まぁツッコんだら負けみたいなトンデモ展開がある作品なので、「細かいことはいいんだよ!」ていう大きな心で読みましょう(笑)

 

 

 そして次が、鍼がメインとなる話があるんですよ。それが27巻「鬼は外」というお話。

 

 KAZUYAの友人である稲葉という鍼医(作中の表現であり、稲葉がはり師なのか医師なのかはわからない)が、坐骨神経痛と診断した患者に鍼をすると、呼吸困難と全身痙攣を起こすショック症状のような状態になってしまう。

スーパードクターK 27巻 P.38

 

 稲葉はどうしていいかわからず、KAZUYAに助けを求め、事なきを得る。KAZUYAの見立てでは、

スーパードクターK 27巻 P.39

 

「体調不良なうえに金属に過敏だったようですね まれにあるんですよ これなら大事にはいたりませんから大丈夫」

 

 んー、鍼あたり?もしくは金属アレルギー?いや金属アレルギーなら皮膚所見が出るか。どっちにしろこれは稲葉が問診や触診などの段階で確認しながら、刺激量などを考えなければいけないミスですね。

 

 そもそもこーいうことは鍼をやれば起こりうることで施術上のリスクとして教科書にも載ってることなので、「そ・・・そんなことが!?」とか言うてたらダメですよ(笑)

 

 そんなわけで今まで自分の腕を過信していた稲葉はそれ以来まともに鍼を打てなくなるが、KAZUYAの助けと息子の励ましにより、鍼医として復帰することを誓う。

 

 

 稲葉が行なう鍼は、鍼管を使った管鍼法。のわりには鍼はだいぶ長くて鍼柄がだいぶ出てる状態から切皮してますけどね。まぁ前述の鍼麻酔に比べりゃマシですよ(笑)

 

 なんかこんな感じの話あったよね?と思った方いるかと思います。

 

 そう、前回紹介したブラックジャックの話とだいたい同じなんです(笑)

 

 そもそもこの作品はかなりブラックジャックのオマージュが入っており、第1話なんかもかなりそっくりです。気になる方はぜひ読み比べていただきたいです。

 

 

 さらにあともう1つ。これは「スーパードクターK」の続編「DoctorK」での鍼の描写。

 

 こちらの8巻

 

 この中で、これまたK一族の先祖でKAZUYAの祖父にあたる一宗(かずむね)が第二次世界大戦中の旧ソ連でシベリア抑留され強制労働させられ体調を崩した日本兵に対し、

 

「熱を下げるだけならなんとかなるかもしれん...」

 

 と言って隠し持っていた鍼で首の前の方(喉頭隆起付近?)に鍼を刺し、軽く旋撚(刺した鍼を回転させる手技)する。

DoctorK 8巻 P.153

 

すると、

DoctorK 8巻 P.154

 

「ありがとう...なんだか...楽になってきたよ...」

 と体調が回復する。

 

 これは場所的に頸動脈洞刺鍼かな?自律神経に働きかけるので、解熱効果もなくはないか?

 

 こーいう薬も手術器具もないというような状況では、尖ったもので皮膚やツボを刺激したり、体を温めたりすることで治療効果が得られる鍼灸てのは便利ですね。

 

 まぁこのマンガではビルの崩落現場で割った一升瓶の破片をメス代わりに手術したり、山の中で酒から麻酔薬を精製して手術したりしますけどね(笑)そーいうのもこの作品の魅力ですなぁ。

 

 一宗も管鍼法で刺入してました。鍼柄ないから切皮の弾入の時に指刺さって痛そう(笑)

 

 

 現在連載中の続編「K2」では今んところ鍼灸は出てきてませんが、漢方薬の話やら柔道整復師の話は出てきてるので、近々出てくることを期待してます。

 

 で、入手の具合ですが、この作品もブラックジャックほどではないですが古い作品なので、単行本はなかなか入手は難しいかな?ブックオフとかでたまに飛び飛びであったりはしますけど。こちらも文庫版が出てるのでそちらでも探してみるとあるかもしれません。