第5話「亜実のクラスメイト」
皿洗いが終わったあと、スギは秘かに亜実に内緒で、買い出しの前に本屋に向かった。
いつの日か亜実が行ってみたいと言っていた所…
「ぬくもりの里」
亜実をぬくもりの里に連れて行ってあげたい…。
それは亜実へのサプライズプレゼントにしようとスギは企てていた。
そこでスギは、ぬくもりの里のことが詳しく載っている旅行雑誌を手にレジへと向かった。
亜実と出会って3年…。
交通事故で入院していた時も、毎日のように見舞いに来てくれた亜実。
リハビリなどで1年掛かったけど、毎日亜実は笑顔を見せてくれた。
ようやく退院したスギを、亜実はあの家に迎え入れてくれた。
おかげで、スギは今ではあんな事故を起こしたのに体が痛むことはない。
……ただ……
スギが昔のことを思い出そうとした時だった。
??「スギくん?」
スギ「え?」
スギが振り向くと、そこには20代前半だろうか?
おそらく亜実と同じくらいの年だろうか?
1人の若い女性が立っていた。
「……ごめんなさい、どこかでお会いしましたっけ?」
スギは目の前にいる女性の顔を観ても思い出せなかった。
「………」
女性はスギをじっと見つめて…
「急に馴れ馴れしく名前呼んでごめんなさい…私は、亜実ちゃんの高校時代のクラスメイトなんです…」
そう言いながら、スギに女性は1枚の写真を見せる。
それは…スギの目の前にいる女性と亜実が笑顔で写ってる自撮りの写真だった。
「亜実のクラスメイトですか?」
「はい…この前バッタリ道で会ったんですけど…聞いてませんか?」
「亜実はあんまり自分のことを話してくれないんで…」
スギがそう言うと、女性は手で口を押さえながら笑いだした。
女性「亜実ったら…全然変わってない♪」
スギ「昔から…なんですか?」
女性「そう、自分のことはホント何も言わないの♪」
スギ「たしかに…亜実っぽい…」
スギがそう言うと、女性はまた手で口を押さえ…スギも一緒に笑った。
女性「スギくん、時間あったら…ここで亜実について語らない?」
女性は目の前にあるカフェを指差した。
いつのまにかタメ口で話しかけられているが、亜実の知り合いだからというのもあってスギは悪い気はしなかった。
それに亜実の昔話には興味があった…
……けど
「……ごめん、実はまだ買い出しの途中なんだ…」
スギの答えに女性はビックリした顔で…
「なんだ…本屋に居たから、てっきり自由時間なんだと思ってた…」
「あ…ごめん、このことは…亜実には内緒で…」
せっかくの亜実へのサプライズが彼女からバレてしまうかも知れないので、念のためにスギは口止めを頼んだ。
「了解♪……じゃあ、亜実にヨロシク言っといて…また店に行くからって…」
「じゃあ、亜実に伝えるから名前教えて?」
すると…また手で口を押さえながら…
「ごめんごめん…私ったら、名前言ってなかったね♪」
「高木由麻奈……由麻奈って言えば亜実も分かるから…」
つづく
この小説のようなものは、あくまでもスギマンの妄想であり、登場人物とか家族構成とか関係性は全てフィクションです(笑)
今回こあみの出番なかったので…(((^_^;)
では、また(^ω^)