"にわかファンが世界を変えるという話"

僕が、アートフェア東京に出た2021年、僕の展示ブースが写真を撮る人などで人集りになってしまい、地下アイドルのようだと揶揄された事があった。
何を馬鹿な事を言っているんだと思う。

野球もサッカーも、宝塚、芝居、歌舞伎、将棋も格闘技も、一年に一回しか観戦に来ない、にわかファンが支えている。素人を歓迎する仕掛けがなされている。

わかる人にだけ向けてやっていたらいいのだ。勝手に一般人は魅力に惹かれて沼る筈だという、上から目線はそろそろ捨ててはどうか。

以前、とある美術館が映えスポットを作って美術館女子というキーワードを作り広告を打った事があったけど、既存のアートフリークの方達が、美術史も理解していないチャラチャラした男女に神聖な美術館を汚されたくない。更に危険だと意見が増幅し即中止となった事があった。

ある意味そういう、正義は正しいとも言えるが、裾野を広げ、"アートの面白くなさ"にも謙虚に向き合う姿勢はあってもいいと思う。

産業を盛り上げるには、にわかファンの10人に1人をコアなファンになるよう取り込めるかが大きな鍵になる。

残念ながらアートは、"ゆっくりなコンテンツ"だ。昨日明日、画家がスターになったりはしないし、アートを購入したからといって生活を即変えたりはしない。長年みていたり、持っていたら、いつの間にか沢山気付かされる事があった。高価になっていたという世界だ。何をするにも変化が遅い。分かりにくい世界だ。僕たちは、アートを買わなくても知らなくても充分に幸せに生きられるのだ。

ちゃんとその取り扱いにくさ、非合理さを受け入れて、それでも、気にかけて貰えるには、どうしたらいいのか?生きるのにアートが必要と思って貰う為の特効薬などはない。泥臭く、一人一人、目を見て言葉を尽くして話して伝えていく他ない。

明日は、在廊日残り2日間だ。

人数ではない。作品を買うか買わないかではない。僕が、どれだけアートを愛しているか、何故そうさせるのかを見に来て欲しい。

<在廊日>
2月25日 14時〜18時
2月27日 16時〜18時(最終日)

杉田陽平
個展タイトル"THE DEEP"
会期:2/9(金)〜2/27(火)
会場:ルーフミュージアム代官山

lurfmuseum.art