3331 Art Fair ‒Various Collectors’ Prizes‒」
2017年3月17日(金)~3月20日(月) 会期中無休
9:30〜19:00 (日曜日17:00閉館)
3331 Arts Chiyoda
3「3331ArtFair‒VariousCollectors’Prizes‒」
〒101-0021 東京都千代田区外神田6丁目11-14
今回は、抽象画の新シリーズとなります。
今回の展示は、「炎上し儚き想い出を照らす涙の船」(制作年2008)という過去作品をイメージの源泉にして、何か新しい事をしたいなという思いから
、抽象画シリーズを構想しはじめました。
「炎上し儚き想い出を照らす涙の船」(制作年2008)
この過去の作品の手法「skin painting」ができた背景には幼少期の記憶があります。マチエールを剥がれた皮のように扱うこの手法は、自分の身体的な体験などを元にしています。また、それに加えて、子供の頃の絵画体験、具体的には、私が画用紙いっぱいに植物を描いていたところ、担任の先生が画用紙を新しく付け加えてくれた事により、自由に線が引けたということがありました。このような拡張する絵画を抽象画という概念で実践できないものかと考えました。
抽象画表現をするにあたり、過去の巨匠から、現在活躍している作家までをリサーチすることから始めました。私の制作はいつもそこから始まります。
具体的には、海外では、ポール・ジェンキンス、ゲルハルト・リヒター、ベルナール・フリーズ、ヤゴ・ホータル、ダミアンハーストなど、また国内では、田中敦子、白髪一雄、中西夏之、小林正人など、です。
リサーチのチョイスの仕方は、できるだけ自分の過去作品のイメージに近い表現の作家をよく確認するようにしました。主な理由は、線のニュアンスが近似している方が、描いている時の躍動感や力感が良く共感できるからです。
白髪一雄作品
ゲルハルト・リヒター作品
ヤゴ・ホータル作品
ポール・ジェンキンス作品
中西夏之作品
新作の色彩にかんしての独自の工夫として、一番表面にくるタッチの部分に、「悲しみを照らす船」のような特徴的な長いドロッとしたストロークの皮を置きたいと思ったので、できるだけ強調するため、バックは無機質な青や、赤、黄色、エメラルドグリーンなど単色にしています。
バックが赤で、キャンバスの裏からペロンと回り込んで前に来ている作品は、小さなタッチの集積ではなく、大きなタッチを色々な角度からシンプルに彫刻的に見せようという試みです。上にくるタッチとして、白っぽい虹色の美しい皮膜ができたので、バックは補色の赤一色にしています。
画面を大胆に対角線に横切ったり、ビビットな色の扱い方などは、ポール・ジェンキンスの作品にエッセンスを学んでいます。面的なタッチが増えて単調にならないよう、緊張感を出すために異なる要素を入れるように、チューブから出したままの線を即興で加えたりする技法は、上記の自作(船の絵画)の要素を継承しています。
アトリエの壁に2枚の作品を掛けたとき、何か違うリズムはできないものかとパレットで遊んでいたところ、赤い絵の具の缶をこぼしてしまい、その偶発的な出来事をきっかけに、画面を赤い絵の具で9割包み込むような作品ができました。
パレットで、タッチの訓練をしているときに副産物として美しい線が引けたので、それだけで見せようと思いできたのが青い作品です。この作品の特徴は、空中にもタッチが描けているところにあります。
空中ではなく、キャンバスの側面をはって壁に伝っていく瞬間を描いた紫と黄緑の作品。これは、物質感を際立たせるために途中からキャンバスが透明アクリル板になっております。
サイズ感は、サイドも意識してほしいので箱型に近い厚みをしているキャンバスを選びました。
子供のときに感じた絵画の拡張を、このように表現しました、どうぞお気軽にお声かけてください。