一枚の絵の力なんて野暮な質問があるとしたら、

「絵に力なんてないよ。」と答える。


描いた人だけのモノでもない、そこに何かあると信じる人全員のモノだ。


実体のない何かを信じようとするモノ達(人間)に力があるんだと思う。(小生も含めて)


例え刹那的でも、そういう体温を持った人達に、メタモルフォーゼに感動してくれる人、唐突にヘタクソなラップをして泣いてくれる人がただ一人でもこの世にいたのだとしたら、この世界は、アートで変えられるのではないかとさえ
本当に思えてしまうから不思議だ。


納品も兼ねて訪ねたコレクターさんの石鍋博子さんの
ガーデンパーティーとはそんな温かい人が集まる世界だった。


お開きになって、皆の色とりどりのドレスコードに合わせた靴が、何十個も母屋の玄関に転がっていて、

己の黒いシューズの底の抜け具合を、観ようと持ち上げた先に、無数の笑い声と笑顔が重なって、靴べらから透き通る温かい光が、

かかとがアスファルトにつく冷たさを、痛みを、僕に一瞬だけ忘れさせたんだ。



眼だけでアイズして別れたアーティスト達の後ろ姿が、

歯に挟まった、鮎の塩漬けが

僕にこの先進むべき道をしっかり教えていた。




なんて、借りて来た猫は、ぐるぐる回る夜空を見上げて思ったのでした。




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