- スウェーデンの森の昔話/ラトルズ
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アンナ・クララ・ティードホルム/編・絵
うらた あつこ/訳 ラトルズ刊●スウェーデンの森
スウェーデンの森というとどんな森を想像しますか?
昔、ヨーロッパはほとんどが森でおおわれていました。今ではすっかり都会暮らしに慣れた人も多いですが、スウェーデンでは森はまだ身近な存在のようです。スウェーデンで暮らしたことのある日本人に森について聞くと、「家のすぐ近くに森があって、庭の続きみたいなの。日本よりずっと森が近い感じがするのよ」と言います。春になったら花を摘みながらお散歩して、秋になったらベリーを摘みに行く、冬になれば森の湖がスケートリンクに早変わり! 森で過ごす楽しくてワクワクするいろんなことが季節ごとに当たり前のように行われるのだそう。友人たちのそんな話を聞いていると、この童話に登場するトロルや小人たちも、森のどこかにいて、実際に会った人もいるかもしれないと夢がふくらんできます。
なによりも、森は人が生きていく上で必要なものをさまざまにさずけてくれますね。家を建てたり家具をつくったりする木材、お皿やスプーン、バターナイフなどをつくるにも森の木が材料になり、木の実やベリーは食料に、暖をとる焚き木ももちろん森の木から……。北欧の人々にとって、なくてはならない時空―“スウェーデンの森”に古くから伝わるお話を12話も集めたぜいたくな一冊です。
●とくにおすすめのものがたり
スウェーデンで口から口へと、言い伝えられてきたお話。とくにお気に入りの物語は、
・怠け者の娘の身に起きた奇跡とは?「ティッテリチューレ」
・夫婦ゲンカからとんでもない事件に発展!「仕事をとりかえたおやじさんとおかみさん」・うっかりトロル夫婦のおはなし「トロルと雄山羊」
・くぎ1本でおいしいスープが作れる?「くぎスープ」
・北欧のかぐや姫?羽衣伝説?「太陽と月の娘」etc.
●この童話を書いた人ストックホルム生まれのイラストレーターで作家である、アンナ・クララ・ティードルムさん(1946-)がお話を集めて、あたたかな絵を添えました。現在、森の近くで暮らしているそうです。
翻訳した、うらたあつこさんはこんなふうに言っています。「目で読むだけでなく、耳で聞いて楽しんでいただけるように心がけました」と。遠い北欧で、口伝えで現代まで語られてきた昔話を、まるで誰かに話すように読んでもらいたいという願いがちゃんと伝わってきます。
絵本に登場する木Treesと花Flowers
表紙を開くと、さまざまな形の木が並んでいます。マツ、モミなどの針葉樹、シラカバ、オークなど。物語はどちらかというと、うっそうとした深い森の中で繰り広げられ、森のよいところだけではなく、暗くこわいところも表現されています。
スウェーデンの原風景といわれるガムラ・ウプサラ。2013年7月に訪れました。