トムテ/偕成社
¥1,260
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ヴィクトール・リードベリ/作
ハラルド・ウィーベリ/絵 
やまのうち きよこ/訳
 
●トムテってなあに?
トムテ(Tomte)は北欧の国々で信じられている妖精です。わずかな目撃情報によると、赤いとんがり帽子をかぶっていて、白くて長いひげのある小さな小さなおじいさん。農家の屋根裏や仕事場に住み、何百年もその家族を守ってくれる幸運の妖精なんですって。ノルウェーやデンマークでは「ニッセ(Nisse)」と呼ばれています。あなたも北欧を旅したら、トムテを探してみてはいかがですか?

 

●ものがたり

しんしんと冷える真冬の夜、一人のトムテが夜番をしています。人々が寝静まった夜、トムテだけは起きていて、毎晩、見回りをするのです。鍵がちゃんと閉まっているか確かめたり、羊や馬たちは元気か、親切にしてくれる夫婦と子供たちはゆっくりと休んでいるか…トムテが暮らす家の家族が幸せでいられるように見守るのが彼の役目なのです。でもトムテはふと思います。
 
ひとは どこから くるのだろう
ときは どこへ ながれていくのだろう
 
絵本を読むわたしたちにも、トムテは問いかけているようです。
 

●この絵本を書いた人

物語をつくったのはスウェーデンの詩人、ヴィクトール・リードベリさん(18281895)。19世紀を代表する詩人であり、神学者、法律家、ジャーナリストとしても活躍しました。代表作は小説『シンゴアラ』。哲学的な詩が多いといわれる彼が書いた『トムテ』もまた、哲学的であり、宇宙的な広がりを感じさせます。
 

絵を描いたのは同じくスウェーデンの画家、ハラルド・ウィーベリさん(1908-)。自然や動物を得意とする画家で、1921年にはブタペストの世界動物画展で最優秀賞を、1976年にエルザ・ベスコフ賞を受賞。賞の名前がつけられたエルザ・ベスコフさんもスウェーデンの偉大な作家です。

 

 絵本に登場する木Treesと花Flowers

まっしろな雪が降りつもる景色のなか、モミの木が青白く光っています。長い冬のあとの春を思い浮かべたトムテの心にはスズランやナズナが咲きほこります。