地獄の悪魔アスモデウス/あすなろ書房
¥1,365
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ウルフ・スタルク/文 
アンナ・ヘグルンド/絵 
菱木晃子/訳

●ものがたり
アスモデウスは地獄の悪魔の息子。でも、心が優しく、人にいじわるしたり、ののしったり、スープにつばを吐いたりすることができません。悪魔としての自覚が足りない息子をみかねて、父親の悪魔はアスモデウスを地上に送り出し、「人間の魂を奪ってくるように」と命令します。アスモデウスは上手くできるかなあと心配になりながらも、地上へ出る重いドアをゆっくりと押しました……。

悪魔が言うには、人間の中には自ら魂をくれる人がいるんだそうです。たとえば、

「自分はえらいといばりくさっている人間」

「物事をよく考えない、頭がからっぽの人間」

「悲しみに沈んでいる不幸な人間」


こんな人間はだましやすく、すぐに魂を差し出してくれるというのです。魂をくれる人を探すということは、死んでくれる人を探すということですよね。優しいアスモデウスにそんな残酷なことができるのでしょうか?

●この絵本を書いた人
文章を書いたのは、ウルフ・スタルクさん(1944-)。スウェーデンで人気の児童文学作家です。1993年、スウェーデン政府主催の文学賞、アストリッド・リンドグレン賞を受賞。現在も活躍しています。

ウルフさんの文章を読んでいると、どこか遠いところから物語を眺めている、そんな視線を感じます。“人間の心の中には善もあれば悪もある”という真実や、登場人物の一人一人の“生きたい”“幸せでありたい”“友だちがほしい”願いも強く感じます。

人生はままならない、けれど、希望はある
―と教えてくれる物語の数々です。

絵を描いた人は、アンナ・ヘグルンドさん(1958-)。ウルフさんの多くの童話に絵を描いています。二人で組んだ作品には、ドイツ児童文学賞を受賞した『おじいさんの口笛』や『青い馬と天使』(ともにほるぷ出版)、『チャロとライオン』(文化出版局)などたくさんあります。

音譜絵本に登場する木Treeと花Flower

スイセン、森の木々