いつかどんぐりの木が (海外秀作絵本)/岩崎書店
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『いつか どんぐりの木が Someday a Tree』 

イヴ・バンティング/作 ロナルド・ハイムラー/絵 

はしもとひろみ/訳 岩崎書店




先日、巨樹写真家の吉田繁さんの講演を聴きに行ったとき、この絵本のストーリーとそっくりの樹木の話がありました。

広い草原の中に立つ、一本のブナの木。まんまるい樹冠が美しい木です。「これほどきれいな丸い形になる木は、ほかにさえぎるもののない草原ならではの形なんですよ」と吉田さんは写真を見せてくださいました。


青い空いっぱいに枝をのばす、エメラルドグリーンの丸くて大きな木。

ある日、その木が枯れ始めます。

葉は落ちていき、枝も枯れ、丸い形はくずれていきます。

「もうだめだ・・・」このまま木は枯れてしまうと知った住民たちはある決断をします。

木を存続させるため、あらゆる延命措置をとるのか? 

それとも、何もしないで、木が枯れていくのを見守るか? 

あなたはどちらだったと思いますか?

延命措置とはたとえば、樹木医さんなどの知恵を借りながら、

枯れかけた部分に薬品を流し込むなどして、元の姿に近づけようとする努力。

絵本の中ではあまりくわしくは書いていないけれど、

木のそばに立つ人々が決めたことは、吉田さんが話してくれた木の最後とそっくりの、心あたたまる決断でした。

最後・・・いえ、最後ではありませんでした。

その木のいのちは今も、続いているそうです。

大きな木のそばで生活していた人たちによって、悲しみが喜びに変わっていきました。

人々はどうやって、木を救ったのでしょうか。

大切な木や植物が死にそうなとき、自分ならどうするだろう? と考えてみてください。