- クラウディアのいのり (絵本のおもちゃばこ)/村尾 靖子
- ¥1,365
- Amazon.co.jp
愛するからこそ、さようなら
『クラウディアのいのり』
村尾靖子/文 小林豊/絵
ポプラ社
第二次世界大戦の時、本当にあった、男女のお話を絵本にしたものです。
戦争が終わり、ロシアに残ることになった日本人の男性は、心優しいロシア人の女性クラウディアと出会います。
約40年の歳月が流れ、日本で妻と娘さん、孫たちが男性の帰りを待っていることを知ります。
クラウディアさんは友人たちに働きかけて、男性を日本に帰してあげるのです。
自分はひとりぼっちで生きることになっても。
それが、愛する男性の幸せだと信じたからです。
絵本の最後に、「ときどき、思いだしてください」の文章で始まる、クラウディアさんの手紙は、女性としてのせつなさと、あまりにも重い戦争の罪にいたたまれなくなります。
「もはやわたしたちが、ふたたび会うことはないでしょう」とつづり、最後にこう締めくくっています。
「わたしのことは心配しないでください。(中略)
忍耐強く、勇敢に生きてゆきます。
涙をみせずに、おわかれしましょう。
つらく悲しいことだけれど、これがわたしたちの運命なのです。
わたしのいたらない点を、あなたはすべておゆるしくださると思います。
そして、あなたの心のかたすみにしまっておいてください、
わたしがあなたの誠実な妻であり、心からの友であったことを……」
1997年3月21日 クラーヴァより(訳・犬伏洋子)
ときどき、思いだしてください。
わたしがあなたの、心からの友であったことを。