クラウディアのいのり (絵本のおもちゃばこ)/村尾 靖子
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愛するからこそ、さようなら

『クラウディアのいのり』

村尾靖子/文 小林豊/絵

ポプラ社




第二次世界大戦の時、本当にあった、男女のお話を絵本にしたものです。

戦争が終わり、ロシアに残ることになった日本人の男性は、心優しいロシア人の女性クラウディアと出会います。

約40年の歳月が流れ、日本で妻と娘さん、孫たちが男性の帰りを待っていることを知ります。

クラウディアさんは友人たちに働きかけて、男性を日本に帰してあげるのです。

自分はひとりぼっちで生きることになっても。

それが、愛する男性の幸せだと信じたからです。



絵本の最後に、「ときどき、思いだしてください」の文章で始まる、クラウディアさんの手紙は、女性としてのせつなさと、あまりにも重い戦争の罪にいたたまれなくなります。


「もはやわたしたちが、ふたたび会うことはないでしょう」とつづり、最後にこう締めくくっています。
「わたしのことは心配しないでください。(中略)
忍耐強く、勇敢に生きてゆきます。
涙をみせずに、おわかれしましょう。
つらく悲しいことだけれど、これがわたしたちの運命なのです。
わたしのいたらない点を、あなたはすべておゆるしくださると思います。
そして、あなたの心のかたすみにしまっておいてください、
わたしがあなたの誠実な妻であり、心からの友であったことを……」
1997321日 クラーヴァより(訳・犬伏洋子)



ときどき、思いだしてください。

わたしがあなたの、心からの友であったことを。