気の遠くなる挑戦を始めたあなたに
『ワンガリの平和の木
アフリカでほんとうにあったおはなし』
ジャネット・ウィンター/作
福本友美子/訳 BL出版
小さな苗木をもつ手のひらの絵とともに、
主人公ワンガリ・マータイさんのメッセージから絵本は始まります。
「地球から木がなくなった。
わたしの使命は、
地球をみどりでおおうことだ」
アフリカのケニア、緑ゆたかな村に生まれたワンガリさん。
木がおいしげり、たきぎを拾いに森に行くと、鳥がたくさんいました。
畑にはサツマイモやサトウキビやトウモロコシがたくさん実る故郷です。
小さな頃からよく勉強ができたので、奨学金でアメリカの大学に留学しました。
6年経ち、勉強を終えて、ケニアに戻ってみると、森がなくなっていました。
「木は、どこへいったの?」
あんなにたくさんあった木は、大きな建物を建てるために、どんどん切り倒されてしまったのです。
ワンガリさんは、荒れ果てた土地をなんとかしなければ、と思います。
そして、家の裏の庭に、9本の苗木を植えました。
村の女性たちにも話して、木の苗を植えていきました。
それを見たお役人、「女なんかに、できっこない」と言いました。
それでも、ワンガリさんとケニアの女の人たちは木を植え続けたのです。
ワンガリさんは3カ月たっても元気にそだっている苗木には、お金を少し払うことにしました。そのことで、村の女性たちは生まれて初めて、自分でお金を稼ぐことができるようにもなりました。
木の苗を植え続け、ケニアに緑が戻っただけでなく、収入が増えた人も大勢できたのです。
2004年までに、3000万本の木が植えられました。
最初は、ワンガリさんが裏庭に植えた、たった9本の苗木だけだったのに。
強い意志があれば、そして他者と分かち合う心があれば、願いは叶い、砂漠も森に戻ることを、ワンガリさんは教えてくれます。
ケニアで本当にあったおはなし。手元においておきたい一冊です。