『きがくれたおくりもの』
おおはしえみこ・作
高見八重子・絵
すずき出版
雨が降らなくなってしまった森の中。
大きな木のほらから、ふわふわの毛をしたリスの親子が空を見上げています。
小さなリスは「水がのみたいなあ」とつぶやきます。
それを聞いて、大きな木は心がしめつけられるよう。
木はざわざわと枝をゆらして、葉っぱの先からしずくをぽたり、落としました。
リスのぼうやは「おいしい!」とにっこり。
でもその後、雨は全然ふりません。
ある日、リスのぼうやは熱を出してしまいます。
お母さんリスは、おろおろしますが、ぼうやは弱くなっていくばかりです。
「のどがかわいたよ」と小さな声で言うのを聞いていることしかできません。
大きな木も、心配でたまりません。
「なんとかして、ぼうやを助けなければ!」と、体にぐっと力を入れました。
すると、思いもかけないことが起こったのです!
木が起こした奇跡とは何だったでしょうか。
この大きな木は、
心から誰かのために役に立ちたいと思ったら、
自分が思いもかけない力が出せることを教えてくれます。
淡いパステルの絵があたたかく、
ページをめくるたびに、
人を大切にする心を取りもどす一冊です。