『あめが ふるとき ちょうちょうはどこへ』
メイ・ゲアリック/作
レナード・ワイスガード/絵
岡部うた子/訳 金の星社
あめ、あめ、あめ、あめ。
あめが ふるとき、
ちょうちょうは
どこへ いくのかしら
雨がしとしととふりゆく野原をちょうちょうが飛んでいます。
雨にぬれて、どこかに向かっています。
遠い風景の中に、小さな家が見えます。家を目指して飛んでいるの? いえいえ、そうではないみたい。
ここはどこでしょうか。私の家のすぐ近く? そう思えてくるくらい、自然な風景が広がる、モノクロームの絵。
みつばちは巣に帰り、もぐらは穴にもぐり、ねこは走って家に戻ります。
でも、ちょうちょうは?
雨の日、心にうかんだ小さなぎもん。
家のなかで外をながめながら、ふと考えてみたのでしょう、作家の心はやさしくて。
こんなふうにのんびりと、この世にいっしょに生きている「命」のことをかんがえながら過ごす、雨の一日。
いつもの雨が心ゆたかな情景になってゆきます。