黒沢清監督の初時代劇『黒牢城』を観ました。米澤穂信の直木賞受賞などのベストセラー小説を原作に、人を殺さぬ信念を持つ城主.村重と、人質の天才軍師.黒田官兵衛が城内での連続殺人事件の謎に挑む話しです。君主だった信長の暴虐に耐えかねて、村重は城に籠城し城を信長軍に包囲されます。そんな中で次々と殺人事件が起きます。謎解きのキーワードは“黒”と“人を殺さない信念の城主.村重”で、信長の家臣だった村重はかつて気に食わない腰元を平気で殺す信長の命令で女を殺し、それがトラウマで“人を殺さない信念”を持つようになりました。そんな村重に信長の暴虐から救われた妻の千代保は、夫の村重に恩義を感じ村重に代わり裏切者達に仏様の天罰を加えます。最後は官兵衛を解放し、自分は毛利に協力を求めて城を抜け出す所で終わります。謎解きの意外なラストが待つ物語は、4章(四季の事件簿)に分かれた1年間の物語は、➀冬.自念(裏切者の父を持つ少年の死)②春.首(敵の首を巡る家臣たちの手柄争い)③夏.寅申(名壺の寅申と密書を持った家臣の死)④秋.天罰(謎の殺人事件の意外な真相)が描かれます。“戦いは心理戦が重要!”と言う現代的な解釈や、“黒”をイメージした人間のエゴ(保身や裏切りや信仰の欺瞞など)や、カギを握る黒田官兵衛の“黒”や薄暗い“黒牢”など作品全体を“黒”が支配していました。また主人公の村重の優しいが故の人間的弱さを持ったキャラクター設定なども素敵でした。乱世の戦国時代を生きた人々の様子や仏様信仰かぶれな等の時代背景も良く解るように描かれていました。新しいタイプの時代劇の面白さが詰まった秀作でした。出演は、村重を本木雅弘、妻を吉高由里子、黒田官兵衛を菅田将暉、家臣をオダギリジョーや柄本佑や青木崇高や宮舘涼太などなど。2026年製作の2時間27分の松竹配給の新鮮で面白い時代劇でした。