心ざわつく車検の攻防 | 直球オヤジの自由奔走生活

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座右の銘は「"行きたい"、"やりたい"、"欲しい"と思った時が"その時"」。55歳で早期退職し、高齢者と呼ばれるまでの今が"その時"。趣味のバイクや自転車は年齢的に待ったなし。エコノミーな生活で趣味を楽しむ。これをどう追い求めるかが、このブログのメインテーマです。

先日、マイカーの車検を受けた。車検を依頼したのは全国にFC展開しているチェーンで、もうこの10年ほどお世話になっている。ここを選ぶメリットは安いこと。しかし、その為には少々緊張することもある。過去何十回も経験している車検なのに、毎回そんな気分にさせられる。それはなぜ?

若かりし頃には自分自身で車検を行う、いわゆる
ユーザー車検も何度かやったことがあるし、代行車検も経験しているし、仕事で忙しかった頃はディラー車検も経験している。そんな経験だけは豊富な私が行きついた先は、車検を事業の主体としたチェーン店だった(このチェーンの宣伝や批判をするつもりはないので、敢えてその名称は出しません)。

ユーザー車検は法定費用以外に殆ど費用が掛からないから安くあがるが、自分自身で点検をしなければならず(まあ、殆どテキトーなのだが)、それでもって車検場での書類手続きと検査ラインに並んで実際の検査を受けなければならない。プロの方々ばかりの場に素人が入っていくのは緊張するし、場合によっては車を検査する時点でNGをくらう可能性もある。そうなったらどうしようかと気が気ではなかった。確かに何万円かの費用は軽減できるが、精神衛生上あまりやりたくない。対して、オーソドックスにディラーで車検をお願いしたこともある。当時は仕事で忙しかったし、大衆ブランドとはいえ外車だったこともあり、細かいことは言わずにディラーにお任せした。その結果はビックリするような金額だった。

そういう変遷を経て、ほぼ最終的に落ち着いたのが車検を主体とする業務を展開するチェーン店だった。このチェーンは地元の中小の自動車整備会社を取り込んだFC(フランチャイズ)なので、店構えは町のあちらこちらで見掛ける「
〇〇モータース」。そんな個人商店との大きな違いは、そのチェーンのHPで料金や整備内容が明確になっていることで、金額の透明性が高い。とは言え、そこに書かれている料金表はあくまでも基本であって、多くの場合そこにデンデンと追加料金が発生し、最終的に支払う額ではないことは経験を重ねた人間なら知っているはず。ここが車検、それも格安をうたっている店の要注意な点だ。

そんな今回の車検、話は二か月前まで遡る。この店からDM(ダイレクトメール)が送られてきた。色々サービスがてんこ盛りだが、要は「早めに車検の予約をしてくれれば割り引きますよ。他にも色々サービスしますよ」と書いてある。貧乏人はこの手の話に弱いし、今回もこの店に頼むつもりだったから早速予約をしてもいいのだが、ちょっと待った。楽天サイトに「
楽天車検」というページがあり、ここから申し込むと楽天のポイントがゲットできる。そのポイントは500Pで、数万円の車検費用からしたら微々たるものかもしれないが、ここを経由するだけで500円得をするのだから、やらないのはもったいない。

こうして「楽天車検」からこの店に予約を入れた。この時点でゲットした特典は、

・早期割引 2000円
・インターネット予約割引 1000円

・ステッカー割引(※) 1000円
・楽天ポイント 500P

※このチェーン店のステッカーがリアウィンドウに貼られていれば適用

こうしたチマチマとした手続きの上で、車検当日がやって来た。手続きは流れ作業のように進むが、関門はこの後の実車チェック時にある。ここで
整備士から直接「おススメ」がある。30分程前に入庫した私の国産小型車のエンジンルームのボンネットが開けられていた。整備士の自己紹介があり、早速説明を受ける。「ざっと見た限り、現状で車検は通るものと思われます」「その点を踏まえて、いくつかご提案を」と言う。ギクッ!

ラジエター液はこれまでの7年間で交換されていませんが、一般的にラジエター液は7年程度とされています。交換されますか?費用は〇〇円です」。「いや、このままで結構です」と丁重にお断りする。

バッテリーが少々弱くなっております」と言って、バッテリーの診断結果を示される。NGではないが要注意のゾーンを示していた。「バッテリーは2年半ほど前に交換しましたのでこのままでいいです」。すると「バッテリーの寿命は2~3年です」と反論してきたが、それはあくまでも教科書的なものであり一般論に過ぎないことは知っている。私は市街地しか普段乗っていないので充電状態がやや低めだと思っているので、ここは押されずに突っぱねるとそれ以上おススメは無かった。

ワイパーブレードは切れていませんので車検は通りますが、拭き残しや音がするようなら交換をお勧めします」。私はワイパーのゴムをちょっと触り、さほど硬化していないことを確認し「問題無いので、このままでいいです」と返答。

次は
発煙筒。使用期限が遠に切れていることを示される。「非常時に使えないと大変です。交換されますか?又はLEDランプが点滅するライトもありますが」と非常信号灯を差し出される。発煙筒の代金は数百円(600円程度だったと記憶している)とのことなので、その程度出費に拘るのも大人げないので承諾しようと思ったその時、私の車に「非常信号灯」があったことを思い出した。使ったことはないし、点灯するのかもわからないが、既にそれがあるので丁重にお断りした。

エアコンのフィルターが外され、エンジンの上に置かれている。「エアコンのフィルターがかなり汚れています。点検時に清掃はしますが、カビまでは取れません。交換なさいますか?」。「いえ清掃だけお願いします」。オイル交換のことも出て来たが、交換後まだ3000kmほどしか走っていないことを伝え、これもパス。

こうして
ここまで無事に全て拒否してきたが、最後はブレーキオイルだった。車検の無いバイク(250cc以下)で、10年近くブレーキオイルを交換しなくても何ら問題が出なかったことは経験的に知っており、車検毎にブレーキオイルを交換する必要性は低いと思っている。できればこれも突っぱねたいが、ありがたいおススメを全否定するのも気が引けた。以前の私なら「いりません」と一刀両断に突っぱねたかもしれないが、こんな私も人の親だし、歳と伴に丸くなった。交換の費用も目くじら立てるほどの額ではないし、そもそもこの店の車検整備費用はかなり割安。なぜかここで私の信念がぶれたブレーキオイルは交換してもらおう

最終結果は全勝とは行かず、9勝1敗というところか。このやり取りにおいて、相手側は決して
無理強いをしなかったことは言い添えておく。あくまでも任意というスタンスであり、「普通は皆さん交換なさいますよ」などという発言は無かったし、断っても「チッ!」というイヤそうな素振りも無く、おススメされる場合は「費用は〇〇円です」と明確に金額を添えて提示してきたことは評価しよう。その提示額にしてもさほど高い額ではなく、思わず「その程度の費用ならやってもらおうかな」「その程度の費用に拘るなんて大人げないと思われないかな」などと思い抱きがちだった。そうこうしながらもおススメ作業は淡々と進み、終わりを告げた。その結果の見積りは、諸経費込みで総額61798円。かなりイイ線いっていると思うが如何だろうか。内訳は以下の通りである。

発生費用
・車検基本料(整備費用):24171円
・ブレーキオイル交換:3600円
・諸費用(重量税、自賠責保険、印紙代):35650円
・消費税:2377円

割引
・早期割引:-2000円
・インターネット予約割引:-1000円
・ステッカー割引:-1000円

その他のサービス
・タイヤローテーション:無料
・楽天ポイント:500P
・ティッシュペーパー:10箱プレゼント
・水洗い洗車:無料

その後、
走行距離50kmまでガソリン代無料の軽自動車の代車をお借りして、私は放免となった。そして車検整備が終わる夕方になった。その間、「作業中に新たな問題が見つかりました。〇〇の部品を交換しないと車検が通りません」という連絡も無かったので、作業は滞り無く進んだはず。こうして支払いを終え、自分の車に乗り換えて帰宅となった。

2年に一度の車検。何度受けてもちょっと心がざわつく。金に糸目を付けず、「良きにはからえ」とばかりに全てお任せできれば楽なのだが、この
高額出費が2年に一度必ずやってくるのだから、庶民としてはテキトーで済まされない。昔、車検の是非が問われた時期があった。「日本車の信頼性は高いから、車検なんか無用。自動車業界の既得権益だ」という主張だった。もし車検制度が無くなれば巷に整備不良車が溢れるだろうから、この主張を全面的に支持しないが、2年毎にこんな攻防を繰り返さなければならないのもちょっと困ったもの。

私は曖昧なことが嫌いではっきりさせる性格だし、車のメカ的な事も一応は心得ているからこの程度で済んだのかもしれない。でも、意志薄弱で押しや推しに弱い人、自動車のことを全く知らない人がこの場に立たされたら、
”おススメ”に抗い切れず、「じゃあ、それでお願いします」となってしまう恐れは大だろう。

日本全国で保有されている車の総数は
8000万台(二輪車含む)を超える。ビッグモーター事件もあり、昨今では以前ほどエゲツナイことは出来ないはずだが、こんなにも膨大な車があるのだから、手練手管に長けたやり取りが日夜全国各地様々な場で行われていることだろう。それを思うと「ヤレヤレ」と思う車検体験だった。