関東甲信越ツーリング(その5)/私的名所旧跡巡り(前編) | 直球オヤジの自由奔走生活

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座右の銘は「"行きたい"、"やりたい"、"欲しい"と思った時が"その時"」。55歳で早期退職し、高齢者と呼ばれるまでの今が"その時"。趣味のバイクや自転車は年齢的に待ったなし。エコノミーな生活で趣味を楽しむ。これをどう追い求めるかが、このブログのメインテーマです。

私はただ走り回っている訳ではない。私だって名所や旧跡には興味があり、ツーリングの道中そこを訪ねる。ただ普通の人とはちょっと嗜好が違うだけ。今回のツーリングで訪ねたそんな私にとっての名所旧跡を列挙してみよう。

それがどんなに世間的に有名なものであっても、自分の嗜好と合わなければ全く眼中にない。例えそれが国宝であってもだ。今回も日光東照宮付近を通ったが、私のセンサーは
ピクリともしなかった。では私のセンサーが動いた場所とは何処か。

1.草軽電気鉄道旧北軽井沢駅(群馬県)
 かつて軽井沢と草津は鉄道で結ばれていた。それが
草軽(くさかる)電気鉄道である。1962年に全廃されてしまい、北軽井沢に当時の駅舎が唯一残っている。ここまで軽井沢方面からバイクで走って来たが、道中かなり登ってきた。こんな山岳地帯を鉄道が走っていたなんて、それだけでもう感動してしまう。

旧駅舎に着くと、当時走っていた電気機関車の実物大の木製模型が展示されていた。何とも不思議な形のもので、通称「
かぶとむし」と呼ばれていたそうだ。駅舎は善光寺を模したようなフォルムで、欄干には”H”の字が施されている。これはこの地区に学者・文化人に別荘地を分譲して誕生した「法政大学村」が開村されたことに伴い、大学村が駅舎を新築し草軽電鉄に寄附したことによるものだそうだ。



右側の電気機関車、通称「かぶとむし」が客車を引っ張っていた

欄干の”H”はデザイン上の偶然ではなく、法政大学のH

 

2.浅間高原レース場跡(群馬県)
 バイクを趣味とする人間としてここを忘れてはいけない。戦後の日本において、
二輪車黎明期に日本初の本格的なロードレースとして位置付けられるレースが、1955年から1959年までの間に3回開催された。その地が浅間高原にあり、1957年には国内2輪製造19メーカー(!)が設立した団体が運営する浅間高原自動車テストコースとなった。そこはどこで、今どうなっているのか。

場所は事前に調べたのだが、そこはただ
広大な牧草地が広がっているだけだった。行ったり来たりしたのだが、それらしきものは見つからなかった(後から調べたら、前述の草軽電気鉄道北軽井沢駅近くに、記念碑が建っているらしい)。それにしても半世紀以上の昔、こんな牧草地帯で日本で最初の本格的バイクレースが行われたとは、感慨ひとしおである。

 

※すいません。ただの牧草地だったので写真は撮りませんでした

3.高度成長期の遺構(旧太子駅)(群馬県)
 かつて国鉄(現JR)吾妻線長野原駅から分岐した国鉄
太子線があった。その始発駅だった太子(おおし)駅が残されている。そこに行くと奇妙な構造物がホームの向かいにあるが、それは当時のホッパー棟(積込物を一時的に貯めておく槽および設備を有する建物)の一部。係の方に聞いたら、この駅から鉄鉱石を京浜地区の日本鋼管(当時)の工場まで輸送していたそうだ。



ホームや車両も残されている

無蓋車の底部は、鉱物を降ろす時の効率を考え山形になっている

 

日本国内で採掘したものといったら石炭や石灰石、硫黄が多いのだが、鉄鉱石が採れたとはちょっと驚きだった。さらに驚いたのは、駅のある周辺で採掘していたのではなく、直線距離で8kmも離れた山奥に鉱山があり、そこから索道(ロープウエーやリフトの一種)を使ってここまで運び、貨車に積み込んでいたという。1971年に廃線となったが、高度成長期の遺構がここに残っている。

4.人造湖とは思えぬ湖(野反湖)(群馬県)
 私は湖が好きで、日本全国の湖は大方巡っている。しかし、
ダム湖となると急に興味が低下する。人工的に造った湖なんて、自然が形成したものと比べて価値が低いと感じてしまうからだ。その評価の妥当性はともかく、そんな人造湖でありながら、なかなかイイ雰囲気の湖が群馬県と長野県、新潟県の県境近くにある。それが野反(のぞり)湖だ。

国道405号を北上すると、あの山を越えれば長野県の超秘境秋山郷へと抜けられるのに、この国道40はいわゆる分断国道で繋がっていない。そんな道の終点にこの湖がある。一般的にダム湖は、急峻な山々が連なる深山幽谷にあることが多いが、野反湖は標高1500mを超える山奥にありながら、開放的で爽やかな雰囲気を醸し出している。周囲のなだらかな山の稜線がいい。最寄りの集落から未開通の国道の行き止まりまで、20km近くクネクネと走ることになるが一見の価値がある。「ダム湖だから大したことはない」などと、一刀両断で決めつけてはいけない。この景色を見て、そういう固定観念を少し反省したのである。


ダム湖とは思えない雰囲気

 

余談だが、福島県会津地方にあるカルデラ湖である「沼沢湖」にも立ち寄った。沼沢湖という名が気になる。沼なのか沢なのか湖なのかはっきりせいと言いたい。鳥取県にも「湖山池」という池があるが、湖なのか池なのか、はっきりしてもらいたい。

 

(後編に続く)