恵比寿の東京都写真美術館で開催中の『養老孟司と小檜山賢二の虫展』に行った。




養老孟司と

小檜山賢二の

虫展

Insects: An Exhibition by

Takeshi Yoro and Kenji Kohiyama





\ 5/24(日)まで開催中 /




解剖学者であり、大の虫好きとしても知られる養老孟司。
そして、対象物の全てにピントがあう深度合成技法を駆使し、昆虫写真の新たな可能性を切り拓いた小檜山賢二。
長年の虫友だちであるふたりの展覧会。



↓かれこれ40年近く虫友だちだという御二方。




まず迎えてくれるのが、今展のフライヤーにもなっているグンジョウオオコブハムシの特大パネル。


南米に分布するハムシで、実際の大きさは9ミリ前後。

それが、小檜山先生のマイクロプレゼンスによって、人間よりも大きく、そりゃもう壁いっぱいに拡大されていた。


細部まで驚くほど鮮明で、虫というよりも、未知の造形作品を見ている気分になる。




どうなってんの

美しすぎでしょポーン気づき






そんな美しい虫たちの写真と同じぐらい印象的だったのが、随所に添えられた養老孟司先生の言葉。


最初にあるのは、養老先生からの指令。



好きだな、面白いなと思ったものをじっと見る。よーく、見る!






今回、小檜山先生のギャラリートークに参加した。


小檜山先生の解説を聞きながら展示を巡ると、虫の生態がわかって写真に深みが増す。



鳥に食べられないように、フンに擬態しているムシクソハムシ。




触覚がものすごく太いオサムシたちは、アリと共生しているらしい。

アリの巣そのものが生態系になっているという話も面白かった。


洞窟に棲むアシナガメクラチビゴミムシに至っては、



「使ってはいけない言葉だらけだ」



と苦笑。


暗闇にいるから、目が退化してるけど、生物学者の予想では、明るいところに出れば、目が出てくると考えられているらしい。

なんてすごいんだ!




奇妙な姿だけど飛ぶバイオリンムシ。

美しく飛びそうなのに飛ばないハンミョウ。




カブトムシは、飛んでる写真だった。

なんだかかわいい。


小檜山先生が、



「ツノがかっこいい」



と言う。


こういうツノを持った虫は、世界中探してもいないらしく、とても貴重な生き物だという。



「日本にいることが、うれしい」



その言葉に、私も力強く頷く。





虫探しは「宝探し」のようなもの。

地形や季節、植生などあれこれ考えながら、この時期にこの場所へ行けばこんな虫がいるだろうと予測を立てて、それが的中したときの喜びは虫屋なら誰しもが知っている。





「さて問題です。このゾウムシの目はどこにあるでしょうか?」






前にいた方が、顔の真ん中あたりを指して、この辺? と言うと、



「大人はだいたいそう」



と小檜山先生が笑う。


大人は、顔ならここに目があるはず、という概念にとらわれている。


子供はすぐに正解するらしい。




実際

息子も秒で正解だったニヤニヤ




答えは、ツノの先。


虫の名前は、メダカウシヅラヒゲナガゾウムシ。

オスだけが、飛び出した目を持っている。


なんて奇妙な虫なんだろうか。


この名前をつける時、ウマヅラにしたかったのに、ゴリ押しでウシヅラになってしまったというエピソードも面白かった。


この写真のゾウムシは、ラオスで採集されたものだけど、日本にも仲間のウシヅラヒゲナガゾウムシがいる。

写真と同じように、オスの目は飛び出している。


別名、エゴヒゲナガゾウムシ。

名前どおりエゴノキの種に産卵して、幼虫は種の中で胚乳を食べながら数年かけて育つ。


なんと、淡水小魚釣りのエサである「ちしゃ虫」は、このエゴヒゲナガゾウムシの幼虫らしい。


川辺に行っても見かけないけど、昔は釣りエサにするほど身近にたくさん生息してたのかな?


エゴノキを見つけたら、産卵痕を探してみよう。



種類が多いこと、そして、形や生き方がじつにさまざまであること。

これらをまとめて「生物多様性」という。虫はその典型ではないか。





今展で1番小さい虫は、トゲトゲクロサルゾウムシ。


採集した時は、小さくてわからなかったけど、顕微鏡で見てビックリしたらしい。


この小さな小さな虫が、



「マイクロプレゼンスの象徴だ」



と小檜山先生が言う。


拡大していくおもしろさ。

拡大することで、新しい構造が見えてくる。


↓実際のサイズは、右下の点。



Photoshopを使って、手作業で画像を切り貼りしていた初期の写真も展示されていた。


それが壁いっぱいのゾウムシ。

あえての巨大パネル。


小檜山先生は、



「今の写真と比較して見て欲しい」



と言う。


初期のマイクロプレゼンスは平面的。




現在では、完全自動で深度合成が出来る。

写真に明確な奥行きが生まれる。


全方向から撮影した写真と深度合成技術で、3Dモデルまで自動生成出来るようになっていた。

テクノロジー表現の最前線だな。




養老先生のコーナーもあった。




5歳の頃、よく、しゃがんで蟻の行列を長時間見ていた。
母は大いに心配したらしい。





↓分厚い図鑑のようなマイクロプレゼンス写真集。