息子と一緒に、カイコと触れあえるワークショップに参加した。


蚕が作り出す絹は、最高級の素材として、今でも世界中で愛されている。


近代の日本では、蚕は、国家の命運を握るほど、重要な存在だったらしい。


明治維新後、日本が欧米列強と渡り合うため、急速な近代化を進めていた時代。


富岡製糸場をはじめとする製糸業が、国家プロジェクトとして推進され、絹糸は圧倒的な外貨を稼ぎ出した。

日本の総輸出額の半分近くを蚕糸業が占めていた時期もあったらしい。




当時の日本は

絹で軍艦を買っていたポーンハッ




なんてね、なんというパワーワード!


当時の人々を貧困から救い、近代国家としての資金源を生み出したのは、この小さな蚕だったということか。






究極の家畜


そうやって人間にもてはやされてきた蚕は、野生のクワコから長い年月をかけて品種改良を重ね、徹底的に家畜化された昆虫だ。


人間の飼育なしでは、1日も生きられない。


自分で桑の葉を探して食べることもできないし、羽が退化して飛べないから、敵から身を隠すことも、安全な場所を選んで子孫を残すこともできない。


人間の手厚いお世話がなければ絶滅してしまう運命。


自然界で生き抜く能力を失う代わりに、大量の絹糸を生み出す能力を手に入れた。




これも進化か真顔




こんな昆虫は、唯一無二。






蚕の一生


今回のワークショップでは、蚕の一生を、すべて生体で観察することが出来た。


最初は、点のような小さな卵。

孵化したばかりの幼虫は信じられないほど小さい。


脱皮を繰り返して4齢幼虫になっても、まだ小さいと思えるサイズ。


でも、5齢幼虫になった途端、




巨大化滝汗




それまでとは別物かと思うほど、急激に大きくなる。


食べていたのは、桑の葉をペーストしたもの。

それをモシャモシャと猛烈な勢いで食べ続けている。


この食欲で、繭を作るための栄養とタンパク質を蓄えているらしい。


丸々と育った幼虫は、いよいよ繭を作り始める。

すっきりした繭ではなく、もっとぽやぽやのもさもさしたもの。


その繭の中で、幼虫はサナギになる。


今回は、繭を切って、中のサナギを見ることが出来た。


あんなにパンパンに太っていた幼虫が、




めちゃくちゃ

小さくなってるポーンハッ




あの幼虫の丸々とした体が、1000メートルもの美しい1本の絹糸へと生まれ変わったということか。


 


これは

「お蚕様」と

呼びたくなるわニヤニヤ




カイコは、繭の中で、サナギから羽化して成虫になる。

成虫の蛾は、酵素で繭を破って出てくる。


サナギも小さいけど、成虫も驚くほど小さい。


白くてふわふわで、



「かわいい」



と息子が愛でる。


成虫は、口が退化していて、食べることが出来ない。

成虫としての短い期間を繁殖のために生きる。


これは別に珍しい生態ではない。

他の蛾にも、そういう種類はいる。


でも、蚕は、人間に家畜化された昆虫であるという歴史があるだけに、なんだか儚さを感じてしまう。






ボンビコール


メスが放出するフェロモン「ボンビコール」についても話を聞いた。


ボンビコールは、人類が初めて化学構造を突き止めたフェロモンとして、とても有名らしい。


そして、これを感知するオスの触角は、昆虫界の中でもトップクラスの驚異的な精度らしい。


でも、そんな能力を持っていても、結局は人間の手の中でしか生きられない。




ああ、お蚕様よ。




↓そういえば、国立科学博物館の特別展「生きものたちの性」でも、ボンビコールが紹介されている。



実際に繭を触ると、カチカチに硬かった。

繭というか、殻だな。


これをお湯で煮て柔らかくして、端っこを見つけて引き出せば、そこから1000メートルほどの絹糸が出来る。


糸は途切れてないらしい。

全部繋がった1本の絹糸。




お蚕様

すごすぎるちゅー




蚕は、絹がとれるというだけじゃなく、近代日本を支えた歴史的な背景も知れて、とてもよかった。


お蚕様、偉大だわ。